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エイプリルフールの話(その4)
著:結城隆臣さん

あらすじ
ギルド元宮のラウンジ。そこにいつもとは違ったワンピースの彼女がいたが……?


 ギルド元宮のラウンジ。
そこにヴィーナはやってきた。
高いヒールのブーツに濃い紫と黒を基調としたドレスをまとい、長い真紅の髪を左肩の方でまとめ、下ろしている。
穏やかな動きでとある座席へと一直線に向かい、やってきたウェイトレスにコーヒーを注文する。




その姿をキッチンから眺めている者がいた。
セオだ。
最初は背の高い女性もいるものだと思ってはいたが、よくよく見ると何処と無く見覚えのある顔つき。
にじみ出る雰囲気は……彼もよく知るところであった。
ウェイトレスがコーヒーを運ぼうとしたのを止め、自身でそれを持っていく。

女性の前にそれを置き、小声で声をかける。

「一体何をやっているんですか、……・カロンさん」

コーヒーを持ち上げて、女性がにっこりと微笑んだ。

「ヴィーナですわ」
「まぁ、今日はエイプリルフールですから、大目に見ましょう」
「ありがとうございます」

そして、セオがキッチンに戻って間もなく、ジンがやってきた。
セオは嫌な予感がしたが、忠告する暇もなく女性の前に腰掛けてしまい、内心頭を抱えた。
そして、心の中で彼に幸あれと祈った。




「えと、こんにちは」
「こんにちは」
「お、俺、エミル・ガンナーのジンです。……あなたは?」
「ドミニオンのヴィーナです」

ヴィーナ―――、カロンは内心ジンの一挙一動が全く自分が誰であるのか気付いていないことを示していて、面白かった。

「ここ、座ってもいいですか?」
「……どうぞ、お掛けくださいまし」

席に着いたジンがこちらを見る。
ニッコリと微笑み返すと。
頬を赤くして視線を逸らし、やがてこちらを再び見返す。
ウブさが全面に現れ可愛いと思った、だが、そこからの進展が全くない。

おいおい、何やってるんだよ、ジン。
これじゃ女はつまらないって帰っちまうぞ。

そう思いながら、やや呆れて立ち上がろうとした時だった。

「あ、あの……治安維持部隊の人ですか?」

やっと話し出したか。

カロンは心の中でため息をつきながら椅子に腰を戻した。
南出身者を装うつもりでアイアンサウス訛りで喋りだす。

「いいえ、違いますわ。どうしてそんなことを?」
「いや、その……ここ、実は友人がよく座ってる席で」
「そうなんですの?」
「……俺何言ってんだろ」
「面白い方ですのね」

不意にジンが口を閉ざした。
カロンは不思議に思いながらそれを見ていると、やがて真面目な瞳でしゃべりだした。

「……アイアンサウス出身ですか?」
「あら、分かってしまいます?」
「なんとなくイントネーションが……そっちっぽかったから……いいところっすよね、アイアンサウス」

視線が自分の手に落ちる。

よく人を見るようになったな、とカロンは思ったが……以前にジンに見せたナンパ術の一つだなとも思う。
真似して実践してる様子がより可愛らしく見えた。
そして、ここはさらに上手で攻めてやろうとカロンは心の中に潜む悪魔を躍らせた。

「体術習ってます?」
「ええ、習っておりますわ」
「俺も習ってるんですよ、でもなかなか上達しなくて」
「わたくしもですの」
「そうなんですか?」
「わたくし、このとおり大柄なので、お相手して下さる方がおりませんの……なので……」
「お、俺で良かったら! いいっすよ!」
「……まぁ! 良いんですの?」
「今からでも大丈夫っすよ! って、ヴィーナさんがよかったらっすけど……」
「ぜひ、お願いいたしますわ」

釣れた。

カロンは思った。
そして、二人でラウンジを後にする。


着替えを出汁にジンの家へ向かうことに成功したカロンはさらにジンに着替えまで手伝わせることにした。
途中カナトに目撃されるというアクシデントもあったが、はだけたドレスから見えた背中くらいでは、ジンもカナトもカロンだと気付く訳もなかった。

「い、いいんですか? 俺が下着とっちゃって」
「構いませんわ」

戸惑った表情を浮かべながら、たどたどしくブラジャーのホックを弄り出すジンを背後に、カロンは笑いが止まらなかった。

これで上半身をあらわにして振り返ったらどうなるのだろうか。

等と、悪戯なことしか思い浮かばない。

「外せた」
「ありがとうございます」

カロンはゆっくりとジンの方へ振り返った。

「はぁい、ジン、エイプリルフール!」
「うぁああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

カロンはカツラをずらし、自身の青い髪を見せながらニヤリとほくそ笑んだ。

「か、か……か……!」
「うるさいぞ、ジン」

ヴィーナさんの真実


声に反応したのか駆けつけたカナトの目もみるみる丸くなっていく。

「じょ、冗談が過ぎませんか、カロン殿」
「今日は一日この格好であの場所にいる予定だったのに、ナンパしてきたジンが悪いんだぜ?」
「……ほう」
「だ、だって、じっと俺の方、見てたから……!」
「ばっか、見てるからって脈アリとは限らねぇんだよ!」

慌てふためくジンの頭をわしゃわしゃと撫でながらカロンはそのままドレスの上半身を剥いだ。

「あー苦しい。女はよくこんなガードルとか締めてられるよな、俺には無理だ」
「そこまでされてたんですか……」

カナトが呆れたような表情を浮かべて近寄って来た。

「脱ぐの大変でしょう。手伝います」
「わりぃ」
「しかし、丁寧に化粧まで。黙っていれば本当に女性にしか見えませんね」
「だろ? 俺の本気。カナトも一度化けてみるか?」
「遠慮致します」

カロンは服をいつもの職服に取り替えた。
ジンの方を見るとぽかーんと大口を開けている。

「化粧ってすごい、女顔の男の人みたいだ……」
「なんだ、ジン。お前のほうが化けてみたいのか」

振り返り、カバンの中から化粧道具を取り出す。

「え、え?」
「カナト、抑えてろ」
「分かりました」

「ちょ、ま、カナ、うわあああああああああああああああ」

それ以降、ジンが化粧に目覚めたとか目覚めなかったとか、それはまた別なお話である。
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頂き物 | 【2013-04-01(Mon) 20:00:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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