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エイプリルフールの話(その3)
著:結城隆臣さん


あらすじ
4月1日。ギルド元宮のラウンジに訪れたジンは、カロンの席に座る一人の女性を見つける。
彼女は本部の人間ではないというが……?

jk_vi-na.jpg



 *ジン視点

ギルド本宮のラウンジ。
今日はカロンが普段独占しているその席に、一人の大柄な女性が座っていた。
濃い紫と黒を基調としたドレスをまとい、長い真紅の髪を左肩の方でまとめ、下ろしている。
切れ長のアメジストの瞳が涼しげで、すっと通った鼻や豊かな唇が美しさを際立たせていた。
立てば身長が180cmを優に超え、あまりの背の高さに視線を集めている。
だが、その女性は優しそうな微笑みを常にたたえながら、優雅にコーヒーを飲んでいた。




ジンがなんとなしにカロンを探してラウンジへ足を踏み入れた時だった。
視線をカロンがいつもいる席に向けるとそこにいる女性と目があった。
ニッコリと微笑まれて、思わず心臓がどきんと高鳴る。

「え、えーと……」

なんと返したらいいか分からず、戸惑っているとその女性がジッと自分を見つめていることに気づいた。

もしかして、俺に興味がある?

ジンはそう思い、女性に近づいた。

「えと、こんにちは」
「こんにちは」

帰ってきた声は、低めではありながら穏やかな女性のそれであった。

「お、俺、エミル・ガンナーのジンです。……あなたは?」
「ドミニオンのヴィーナです」

女性―――ヴィーナが口を開くたびにふんわりと微笑む。
視線は目に常に向けられて思わず視線を逸らす。

「ここ、座ってもいいですか?」
「……どうぞ、お掛けくださいまし」

ジンはヴィーナの正面に腰掛けると紅茶を頼んだ。

「ヴィーナさんも何か頼みますか?」
「いえ、わたくしにはこれがまだありますから」

コーヒーの入ったカップを持ち上げ、小首をかしげるように笑う。
仕草一つ一つが女性らしく可愛いい。
大柄な見た目とは違いもしかしたら繊細な女性なのかもしれないと、ジンは思った。

席について、ヴィーナのほうを見る。
気づかれてニッコリと微笑まれる。
そしてドギマギして視線を逸らす。
また、ヴィーナを見る。
微笑まれて……そんなことの繰り返しをジンはしていた。

何話したらいいんだよ……!

心の中はパニックである。
やがてヴィーナが腰を軽く浮かせた時だった。

「あ、あの……治安維持部隊の人ですか?」
「いいえ、違いますわ。どうしてそんなことを?」
「いや、その……ここ、実は友人がよく座ってる席で」
「そうなんですの?」
「……俺何言ってんだろ」
「面白い方ですのね」

また微笑まれる。
失敗した……ジンは思った。
だが、言葉のイントネーションがなんとなくアイアンサウスにいる人に似ていることに気付いて、ジンは過去にカロンにされたナンパ術を思い出した。

「……アイアンサウス出身ですか?」
「あら、分かってしまいます?」
「なんとなくイントネーションが……そっちっぽかったから……いいところっすよね、アイアンサウス」

すっと、ヴィーナの手を見る。
女性のものの割にはがっしりした手つきをしていて、格闘家の雰囲気を感じさせた。

「体術習ってます?」
「ええ、習っておりますわ」
「俺も習ってるんですよ、でもなかなか上達しなくて」
「わたくしもですの」
「そうなんですか?」
「わたくし、このとおり大柄なので、お相手して下さる方がおりませんの……なので……」
「お、俺で良かったら! いいっすよ!」
「……まぁ! 良いんですの?」
「今からでも大丈夫っすよ! って、ヴィーナさんがよかったらっすけど……」
「ぜひ、お願いいたしますわ」

二人で席を立ち、ラウンジを後にする。




「大変ですわ、わたくし、この服では組手をすることができませんわ……」

ギルド元宮を出て間もなくしてヴィーナが口を開いた。

「あ、そ、そうっすよね、気付かなくてすみません」
「いいんですのよ。幸い、わたくし着替えを持っておりますの、どこかに着替えられる場所があればいいのですが……」

困ったように口元に手を当てオロオロするヴィーナを見てジンは胸をどんと叩いた。

「俺んちでもよかったら、着替える場所提供できますよ」
「……本当ですか?」
「庭も広いから、そのままそこで組手しましょう」
「……まぁ、お庭で? 楽しみですわ」




「ただいま」

玄関を開け、ヴィーナを案内する。
家の中に人の気配はなく、カナトは出かけているようだった。

珍しいこともあるもんだなぁ。

そう思いながら万が一帰ってきた場合も考えて、自室へ導く。

「俺の部屋っすけど、ここでどうぞ」
「ありがとうございます」

ヴィーナが部屋に入って行き、荷物を床に置いて髪を持ち上げた。
白い項が目に入って急いで部屋を出ようとする。

「待ってくださいまし」

不意に声をかけられ、足を止める。

「なんでしょうか……」
「背中のホックをはずじて、チャックを下げてくださいませんか?」
「え、え?! えー!」

驚いて思わず声を上げてしまった。

「お願いいたしますわ」
「わ、分かりました」

ジンは震える手で首筋のホック外してやり、そのままチャックを下ろした。
下着が見え顔を背ける。

「下着も、外してくださいます?」
「え? あ、あの……」

ジンがその下着に手をかけた時だった。
背後に人の気配がして振り返った。

「し、失礼した!」
「か、カナ!」

後ろにいたのはカナトだった。

「ちょ、待て! 誤解だ!」

追いかけようとしたが、不思議そうな表情で振り返ったヴィーナを一人にするわけにも行かず、ジンはその場でパニックに陥った。

「お知り合いですの?」
「お、俺の相方っす。アークタイタニアのカナトって言って……」
「わたくしに気にせず、呼びに行ってくださいまし。誤解を受けてしまったのでしょう?」
「き、きっと平気っすよ」
「いえ、いけませんわ。わたくしにも弁解させてくださいまし」
「……じゃぁ、ちょっと行ってきます」

ジンは自室を出た。
家の外に出ていってしまったかなと思いきや、意外にもカナトはリビングにいた。

「カナ……」
「い、今の大柄な女性は……?」
「ああ、今日ギルド元宮で知り合って、組手の相手探してるって言うから……一緒にやろうって。服見たろ? あれじゃできないから着替えを手伝ってたんだ」
「そうだったのか」
「突然で申し訳ありませんでしたわ」

ヴィーナの声が聞こえてそちらの方を見ると、ジンの部屋から顔を出してこちらを見ていた。
ドレスの胸元を抑えているのは着替えている途中だからか
カナトが姿を確認して顔を赤く染め、視線を逸らした。

「い、いえ、詳細は把握いたしました。お騒がせしまして」
「こちらこそ、失礼いたしましたわ。ジンさん、申し訳ないですわ、手伝ってくださいます?」
「あ、は、はい」

ジンは促されるままに部屋に戻り、ヴィーナの着替えを手伝った。



つづく
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頂き物 | 【2013-04-01(Mon) 19:00:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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