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(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

5年前の話
出演:ホライゾンさん、チャドウィッグさん、ペトルーシュさん

ロケ地:ギルド下元宮

あらすじ
5年前。部隊に入って間もない少年は、友人が一人もおらずずっと一人で行動していた。
その中で部隊の大佐である、ホライゾンはそんなずっと一人の少年に興味を持つ。


 


晴れた日だった。
梅雨前には珍しい、快晴の空。
暦が夏に近づいた時、彼は突然現れた。
元々総隊長から、適当な言い訳をつけて加入させたとは聞いていたが、
助けたいという理由で、何度も同じ嘘をつくのはやめた方がいいとおもう。

新人としても平凡で、訓練も休まずに参加する彼は、周りからとても真面目な印象を持たれていた。
だが他の隊員とつるんでいるところを、まるで見たことがなく、食堂にいる時も一人でいる所しかみない。

普通なら一ヶ月前後で同室の人間と打ち解けるのに、その様子すらみえず、時々見かけるたびに、また一人なのかと不思議に思っていた。

半年の訓練も期間を終えて、無事二次職の転職試験に受かった彼は、実務隊員として投入されることになり、その真価を発揮することになる。
初めは人探しや道案内、ペット捜しなどの簡単なものからこなしていたが、数週間、数ヶ月と経つに連れて、実働兵クラスぎりぎりの対人任務を受注するようになり、三ヶ月後には、悪質な冒険者との肉弾戦を介し、血だらけで戻ってくることが目立つようになってきた。
初めは、派手にやったという事ぐらいで、気にもとめなかったが、その頻度が徐々に狭まり、最終的に三日に一度は重症者をだして戻ってくるようになっていた。
そんな中、本部は過剰な制圧を行う彼に、厳重注意と一週間の謹慎処分も与えたが、制服が汚れれば怒られる。と覚えただけらしく、関わった加害者は、出血のない骨折やひどい打撲などの重症で戻ってくるばかりだった。
そんな乱暴なこともあったためか、同じ隊員からも距離をおかれ、見かける時はいつも一人の彼を、アークタイタニア・ガーディアンのホライゾンは、今日も元宮のロビーでみかけた。
毎日、同じ時間にここへ来て、掲示板のよりポイントの高い仕事を探す、通常の任務なら"ナビゲーションデバイス"でボタン一つで受注出来るのだが、実働兵には実働兵クラスの任務しか表示されないため、数人で受注するランク外のものは、貼り出されたものをデバイスから登録することになっている。
普通の隊員なら見向きもしないものだ。仲間がいてはじめてやろうと思うもの、それなのに、彼は毎日それを確認して受注手続きを一人で行う。
出世がしたいなら仲間を作ればいい、訓練兵時代を見ても、決して苦手ではないはずなのに、なぜ彼はそれをしないのか。
今日もホライゾンは、彼の背中を見送っていた。

そうして数日後、またいつもと同じ時間に掲示板のを見る彼を、ホライゾンはみかけた。
珍しく時間に余裕があり、ホライゾンはゆっくりと彼へと歩み寄る。

「いい任務ないかい?」

集中していたのか、思わず体を震わせる。
驚いて言葉を失っているようだが、低く礼をして姿勢を正した。

「おはよう、ございます」
「おはよう。今日もご苦労様」

視線を合わせないのは、怖がられているのか。
怒られるとでも思ったのか。どこかしら深刻な表情をみせている。

「名前は?」
「実働兵、エミル・ガンナーのジンです。大佐……」
「ジン君か、ここの任務は難しいよ? 友達と受けた方がいいんじゃないかな?」
「……はい。ごめんなさい」
「? いつも一人で受けてるみたいだけど、理由があるのかい?」
「その、その質問は命令、ですか?」

答えたくないのか。
ぐっと噛みしめるジンに、ホライゾンは少し申し訳ない気持ちになってしまった。

「命令じゃないよ」
「……!」
「いつも一人だったから、すこし気になってね。答えたくないなら無理しなくていい」

はっとして、顔をあげてくれた。
はじめてみた彼の目は、銀色をしており、まっすぐにこちらをみている。
少し躊躇いを見せたが、ジンは再び俯きぼやく様に述べた。

「……他の人もいると、ポイントが分散するって、聞きました、から」
「分散? しないよ?」
「え……」
「みんな、ここに書いてある分だけちゃんと配分される。だからーー」

この時点でホライゾンは、全てを察した。仲間から嘘の情報を教えられ、彼はそれに直向きに向かっていっていたのか……。

「あ、ありがとうございます」
「ジン君」
「でも俺、やっぱり一人で良いです」

深いと、思った。
一礼をして出かけて行く背中は切なく、思わずため息が落ちる。

「ランカーになりたいそうですよ。彼」
「チャドか……」
「おはようございます。隊長」

突然現れたのは、背中にタイタニアの翼をもつ男性。
アークタイタニア・カーディナルのチャドウィッグ。ギルドランク3rdだ。彼はホライゾン隊の副隊長でもある。

「何故君が知ってるんだい?」
「ランカーになりたいって、しつこく詰め寄られたんですよ。どうやったらなれるかって……」
「……なんて答えた?」
「……あそこに書いてあるのを毎日こなせば、ギリギリ行けるんじゃないかとは言いましたね」
「君と言う男は……」
「上に媚びろとでも言えばよかったですか?下手な戦力を上に挙げるより、便利な下がいた方が楽でいいじゃないですか……」
「そんな事で、もし命を落としたら……」
「その為に、訓練をしているのではないですか、矛盾してますよ発言が……」
「チャド……」
「心配し過ぎですよ。なんだかんだで今迄一人でこなしてますし、経験はありますしね」

チャドウィッグの言葉に、唇をぐっと噛む。
いっそ引き抜いてやろうかとも思ったが、味方が居ない彼を引き抜いた所で、更に彼の居場所が狭くなるだけだろう。
その日の彼は、久しぶりに制服を真っ赤に汚し、酷く疲れて帰る様をホライゾンは見かけた。
手に包帯が巻かれていたのは、痛めでもしたのか。
その次の日も彼は、いつもの場所に見にきていて、ホライゾンは頬に絆創膏を貼るジンへ再び歩み寄る。

「怪我は平気かい?」
「あ、その、おはようございます。平気です」
「そっか、ランカーになりたいって聞いたけど?」
「!? 何でそれを?」
「その方法を教えたチャドウィッグは、僕の仲間だからね」
「……俺が、無理矢理聞いたんです……」
「それもきいた。何でランカーに?」

戸惑い目を逸らしてしまった。
答えてくれないかと思ったが、ジンはまた、小さな声でぼやく。

「……最強の武器が欲しいんです」
「武器が? なんでだい?」

嫌な予感がして、とっさに聞き返してしまった。
彼の経緯は知っている。両親を赤の他人に殺されたのだ。復讐を考えているのかもしれない。

とても気になりはしたが、彼はそのまま黙ってしまった。
答えが聞けず残念だが、何も聞かぬまま諭すのも違う気がして、ホライゾンは俯いた彼の頭を撫でる。

「答えてくれてありがとう。また、聞くからその時に教えてね」
「……はい。ごめんなさい」

そうしてジンは、今日も出かけていった。
それからまた数週間と過ぎて、彼の成績が他の実働兵より域を抜いて来ている事に、少尉以上の彼らは注目しはじめていた。
しかし、一度処分を受けたにも関わらず、今だ加害者へ過剰に危害を加えるジンを、少尉達は嫌煙し、いつの間にか誰も興味を示さなくなってきていた。

「不思議ですね。1番なのに一人なんて……」
「誰のせいだと思う?」
「さぁ……僕はアドバイスしただけですし、しりませんよ」

脇をみればいつも通り彼が掲示板を見ている。
今日はいい任務があったのか数分でその場から姿を消した。

「あ、隊長。今日は遠出を避けた方がいいと思いますよ」
「何故だい?」
「アストラリストさんに寄れば、夜には嵐かもと言うことらしいです」

ふと窓をみると確かに分厚い入道雲が、此方へと近付いてきている。
通り雨もありそうだ。

チャドウィッグの言った通り、夕方になるに連れて雲行きが怪しくなり、気がつけば雷も鳴りだしている。
ホライゾンはたまたま執務室へ戻る途中。
帰還したジンを見かけてほっとし、その日は早めに帰路へ付いた。
しかし、帰還したジンは、明日までの運搬任務が、嵐ともあってポイントを上乗せされており、迷わずそれを受注。治安維持部隊のファイアードラゴに乗って、ノーザンプロムナードへと向かった。

案の定その日は嵐で、雷に大雨、暴風が酷く吹き荒れ、早めに帰宅できた事に安堵。
明日には収まる事を祈り、床についた。

嵐の次の日は驚く程に晴天で、晴れやかな気分ではあったが、出勤をしてみると事務所には物々しい雰囲気が漂っていた。

気になり、ホライゾンが事務所の様子を見にいくと、応対室のソファーに寝かされる一人の少年がいる。
顔を真っ赤にしてぐったりとしているのは、ホライゾンがいつも同じ時間に見つける彼、ジンだった。

「どうしたんだい?」
「ホライゾン大佐。実はさっき任務からかえって来られて体調不良を訴えられたと言うか……」
「突然、気を失ったように倒れてしまったので」
「聖堂には?」
「それが、行きたくないとの一点張りで聞いてくれないのです」

大体状況は分かった、寝かされ毛布をかけられるジンは、苦しそうに肩で息をして居る。
肺炎か?

「ジン君。聞こえるかい?」

ゆっくりと目を開けたジンは、体を動かす事すら辛そうにもみえる。
意識はあるのか

「何処に行ってたんだい?」
「ノーザン、プロムナード……配達……」
「あの嵐の中をかい……?」

小さく頷かれ、ため息をついた。
安心をしていたが甘かったのか。

「とにかく、ここでは辛いから聖堂へーー」

そう言った直後ホライゾンの服の裾が掴まれ、驚く。
その動作に集まっていた大人も言葉を失っていた。


「いや……です」
「でも、君自身が危険だ……」
「ダメ、なんだ……聖堂は…」
「!?」
「武器が欲しい理由、話すので、だから……」

まともに話せて居ない。
しかしこのまま放置しても、おけない。
仕方が無いか。

ホライゾンは、嘆息して一人事務所の外へ、ナビゲーションデバイスを取り出し、副隊長のチャドウィッグへと通信を繋いだ。

「チャド、いるだろ?」
「なんですか? 隊長」
「ジン君が高熱をだして事務所で倒れてる。今すぐ聖堂へ行って解熱剤をもらって来い」
「仕事はどうするんです?」
「僕はランカーだ……文句は言わせん」
「……なら、了解です。持ってきて飲ませますよ」

チャドウィッグとの通信を終えて、ホライゾンは立て続けに自宅へと電話をかけた。
そこで妻、ペトルーシュへと連絡をいれる。
彼女は現状をきいて納得し、ホライゾンの提案をすぐに受け入れてくれた。
事務所へと戻ってきたホライゾンは、意識がもうろうとしているジンをそっとなでて、やさしく問いかける。

「ジン君。聞こえるかい?」

小さく頷く彼にホライゾンがほっとする。
聖堂に行きたくないか理由はわからないが、後でまた聞く機会もあるだろう。

「聖堂に行きたくないなら僕の家につれていくよ。いいかい?」

頷き、安堵する。
移動がしたくないわけじゃないのか。

「なら、夕方まではここで寝ている事。チャドを残すから何かあれば言うんだよ」
「でも……任務しないと……ランカーに…なれな……」

切実な言葉だった。
大人からすれば、たかがそのぐらいとでも思うかもしれない。
しかしそれは、彼にとっての唯一の願いで、その身を投げる覚悟で望んでいる事なのだ。

「大丈夫。君はもう実働兵では1番だ。だから、安心しなさい」

信じてくれるかは、わからない。
だがそれは紛れもない事実だった。
虚ろなジンの瞳を見ていると、まるで小さな川のように涙が溢れ、ソファーへとこぼれる。
頷いた事を確認し、その後ホライゾンは、ランカーの権限で定時より一時間早く上がった。

解熱剤を服用したジンは、夕方からホライゾンにおぶられ、彼の自宅へとつれて帰られる。
元々準備をしてくれていたホライゾン夫妻は、ベッドの一つを開けてくれていて、ジンはそこへ寝かせてもらった。

「酷い熱だけれど、ただの風邪ね。昨日の嵐に降られたのかしら?」
「あの大雨の中を走って、ノーザンの寒冷地帯も抜けたらしい。よく頑張ったと思うよ」
「そんなの、誰だって病気するわ……無茶よ」

濡れタオルを額に乗せる少年はまだ15歳だ。
若さもあり無茶をしてしまう時期なのはわかる。だがなぜそこまでして彼はランカーになりたいのだろうか。
夕食をとり、ホライゾンは床に就く前、一度寝室へと様子をみにきた。
すると解熱剤がきれたのか、ひどく汗をかいており額のタオルを載せ直す。
うなされているのか、起こすこともできず見守っていた。

「ごめんな……さいーー」

でてきた言葉に思わず顔を上げた。溢れて零れる涙は一滴一滴が頬をつたう。

「とぉさん……かぁさん……」
「……」
「守れなくて……ごめん……」

そう声に出した直後。
15歳の彼の目がゆっくりと開いた。
怖い夢を見たのか涙が止まらず、顔も真っ赤で隠そうとする。

ホライゾンは何も言わず、そんな少年の手を握り、そっと落ち着かせるように撫でてやった。

「よく頑張ったね……もう大丈夫だよ」

何も言わずジンは、涙をこぼし続けそのまま眠ってしまった。

次の日、ホライゾンはいつも通り出勤し、ジンの欠席処理を三日分とって夕方には上がった。
妻のペトルーシュによると、熱は少しづつ下がってきているようだが、食欲が戻らないらしい。
その日の夜も様子をみにいくと、虚ろな目でぼーっと横になるジンがいた。

「大丈夫かい?」
「大佐……ごめんな、さい」
「謝らなくていい。責任を感じるなら、もうわがままはだめだよ」

なんとか話はできそうだ。
今だ起き上がるのが辛いらしく、横になったまま眠ってしまいそうな気もする。

「どうして、聖堂は嫌だっの?」
「……幼馴染がいて……見られたく、なくて」
「幼馴染?」
「女……月光花。ウァテスだから」
「そうか……どうしてそんなに見られたくないの? 仲間なら、むしろ頼ってもいいんじゃないかな?」
「あいつは……俺がいないと、ダメだから……」
「?」
「俺が、守んなきゃ……だから、頼りたく、見られたくなくて……」

思わず表情がおどけた。
この少年は、その年で戦う意味を得て居るのか。
一つの驚きと見くびっていた自分に情けなさを感じ、ホライゾンの表情が綻ぶ。

「そうか……なら、武器が欲しいのも仕返しと言うわけじゃないんだね?」
「仕返し?」

首を傾げたジンにホライゾン「あれ?」と、違和感を覚える。
途端よぎったのは、総隊長に軽く聞いた、彼がここにきた理由だった。

「……仕返しは、もうしました」

そうだ。
村をおそった数名の人間は遺体で発見されたのだ。
殺したのは……。

「……ごめんなさい」
「謝らなくていい。いやな事を思い出させてしまったね」
「……」
「……あさってまでは、休めるよう手続きはしたから、治るまで泊まって行きなさい。ご飯はちゃんと食べないとだめだよ」
「……」

頷いた少年の頭を撫でる。
そうすると再び涙がこぼれだし、その日も眠るまで側に居てやった。

日付けが変わり朝を迎えると、熱もなんとか下がり、食欲も戻ってきているようだった。
妻、イクスドミニオン・ガーディアンのペトルーシュと話もできるようになったらしい。

夜になりホライゾンが帰宅すると、起き上がり手伝おうとするジンを見かけて若さの回復力への羨ましさと安心でほっとした。

「ありがとう、ございます」
「熱が下がってよかった。ぶり返すと行けないから、大事をとってもう一日泊まりなさい」
「え……」

「一日程度なら、届け出を出さなくても大丈夫だよ」
「でも、申し訳ないので、一度戻ります……」

「別に気にしなくてもいいに……息子一人増えた所で大差ないしさ」

そう言われ嬉しくもあり懐かしくもある空気に、ジンは心から込み上げるなにかを感じた。
そうしてよぎったのは、聖堂にいる彼女の事。

「やっぱり、明日は一度戻ります……」
「……そっか、そこまでいうなら此方も引きとめないけど、今日はゆっくり休むのよ」
「はい。ありがとうございます」

「何か戻りたい理由でもるのかい?」
「え……」

ホライゾンに聞かれて思わず返答に迷った。
確かに、別の理由もないわけでは無い。

「えっと……、寮に隠してるお菓子が……きになって」


……。


「お菓子?」
「い、いつも消費期限ギリギリのを安く買ってるんでその……」

返答が突然なくなり、ジンは焦った。
しかし途端に三人が笑いをこらえるので、顔を真っ赤にする。


「確かにそれは、重要だね」
「甘いもの好きなの? かわいい」

「えっと、その……」

どう返答していいかわからず冷や汗を流していると、ホライゾンが頭を撫でてくれた。
結局その日は、お風呂も貸してもらい。ジンは早い目に床に就く、数日ぶりにお腹いっぱいになり、横になってうとうとしていると、寝室の扉が開いてホライゾンが中へ入ってきた。

「とうさ……ホライゾン大佐」

ニコニコとするホライゾンをみて、思わず目を逸らした。
恥ずかしい。

「ちょっと聞きたい事があってね。覚えてる?」
「武器? ですか?」
「うん。どうしてそこまでして武器が欲しいんだい?」

一瞬、躊躇ったジンだったが、少し考え落ち着いて口を開いた。

「部隊に入ったばかりの時は、強い武器さえあれば、安心だと思ってました。でも、武器を使うのは人間で、人間が居ないと武器は使えないってわかって……」
「……」
「何を言われても、俺が、悪いってわかって……」
「それは……」
「悪いなら、どうしたら良いかってずっと考えていたら、もう悪い事を広げないように出来ないかなって思い、ました」
「……!」
「いなくなるのは、もう見たくないから、その為に最強の武器が欲しくて……」

15歳の少年の話とは思えなかった。
家族を失い、その場で復讐を行った人間の言葉だと思う。
どれほどまでに、彼は深く悩んだのだろう。
友達などできるわけがない、理解者がいないのだと、ホライゾンはこの時悟った。
15歳の少年は不本意にも辛すぎる現実に直面し、大人にならざる得なかった。

目を逸らしてしまったジンへホライゾンは「そうか……」と小さく述べると、再び優しく頭を撫でる。
数日散々泣いた為か、今日は泣き出す事は無く、恥ずかそうに頬を染める。
辛さを吐き出せたとわかり、ほっと安堵した。

「えらいね。でも、無茶はよくない。君がそう思っても、君自身が元気で居なければ、周りの人は当然心配をする。だから、自分自身もちゃんと守るんだよ」
「俺は……その……」
「月光花ちゃんに見せたくないなら、見せない為の努力もするんだ……そうすれば君はもっと強くなれる」
「本当、ですか?」
「うん、ランカーなんかより、もっと強くなれる……大切にしなさい」
「はい……」

その時、ホライゾンは初めてジンの笑顔をみた。
年相応の褒められて喜ぶ顔。嬉しそうな表情をまた見たいと素直に思った。

次の日の午後、ジンは借りたベッドやシーツの洗濯を手伝い、三日間お世話になったホライゾン夫妻の自宅をでた。
本部に戻った際、執務室にいるホライゾンに挨拶をして、ジンは次の日から通常任務へともどる。
時々掲示板を眺める彼を、ホライゾンはよく見かけたが、無茶はやめたのか怪我の頻度は少なくなり、加害者も足を撃たれた程度で護送される事が増えた。

そんな出会いから、もう五年が経ち、現在の彼は5thランカーで友人とルームシェアをしている。
他のランカー達とも気が合い、ようやく友人と言える人々が彼に集まってきたのだ。
数年前に一度行方不明となり、不安にもなったが、それがきっかけで相方も出来たらしい。

そんな話を夕食中にしていると、唐突に来客のベルが家中に響く、夜であるため、ホライゾンがペトルーシュと一緒に出ると、花束を持ったジンが、入口に立って居た。

「夜分にごめんなさい。あの……結婚記念日。おめでとう、ございます」
「まぁ、ありがとう」

「今年もか、ありがとう。気にしなくてもいいのに」
「べ、別に気にしてるわけでもないというか、その……お二人には、幸せでいてほしいんで!」

「いま丁度夕食だったんだ、たべてくかい?」
「あ、すんません。家に相方またせてるんでーー」

そう言った直後、ジンの腰から何かの通知音が響き思わず嘆息。
ホライゾンは、はははとわらった。

「そっか、わざわざありがとう」
「俺も、またよろしくお願いします」
「うん。いつでもおいで……」

へへ、っと笑い、当時の少年は大人になって帰って行く。
五年は決して長くはなかったが、少年を大人にするには、十分過ぎる程の時間だった。

ホライゾン夫妻はそんな彼を見送り、夕食の席へもどる。


END



*GEST
Chadwig.jpg

アークタイタニア・カーディナルのチャドウィッグ

年齢:25歳くらい
身長:180cm
誕生日:不明

性格・生い立ち
空から落っこちてきたタイタニア、原因は不明。孤児院で育つ。
何でもそつなくできてしまう天才肌で欠点は飽き性。
彼の辞書に努力・根性・熱血等の言葉はなく、冷ややか、人と交わるのは苦手。
営業スマイルと優しい口調は彼なりの処世術。
面倒くさがりな効率主義者。天邪鬼。
バイセクシャル。

Chara:結城隆臣さん
ホモじゃないです。バイです(`・ω・´)




ペト姉さん

イクスドミニオン・ガーディアンのペトルーシュ

年齢:34歳くらい
身長:170cm
誕生日:不明

性格・生い立ち
優しく頼りがいのある性格、面倒見がいい姉御肌。
ドミニオン界で生まれ育ち、戦火を逃れてエミル界へやってきた。
職業の関係でホライゾンと出会い、結婚、二児の母となる。

Chara:結城隆臣さん
姉さん女房大好きです。
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本編 | 【2013-04-04(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(2)
コメント

5年前ってレベルキャップどんなもんの時代だっけ?(’’
2013-04-10 水 21:10:30 | URL | (’’ #- [ 編集]
コメントありがとうございますw
ゲーム内でのECOの時代はほとんど覚えておりません。申し訳ございません。
記憶をたどるとモーグが実装されたあたりでしょうか? お役にたてずごめんなさい
2013-04-11 木 13:29:37 | URL | 詠羅 #- [ 編集]
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