プロフィール

詠羅P

Author:詠羅P
Lupi鯖:ダウンタウン
アイコン:セロさん

*更新情報
eco_JK ログ
カウンター
最新記事
お話一覧(時系列順
カテゴリ
拍手
web拍手 by FC2
リンク
JKツイッター
最新コメント
アンケート
QRコード
QR
権利表記

(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

外伝:キリヤナギとグランジの話
出演:キリヤナギさん、グランジさん

あらすじ
トンカにてキリヤナギと戦ったグランジ。
しかし、グランジはあえなく敗れキリヤナギに捕縛されてしまう。
そうして数週間留置され、グランジは再びキリヤナギと対面した。

参考:エピローグな話(後編)


 

「やぁ、グランジ君」

なにもない場所へグランジはいた。
目隠しをされて連れてこられた場所。手には軽い手錠をかけられ、簡易な椅子に座らされる。
後ろに多くあった気配が消え、一つが残った時、グランジの目を覆っていた黒い布が解かれた。

暗い場所、周りが見えず椅子だけあるその場所は、周りの空間が闇に包まれ、自分を中心に半径一メートルほどの空間しか見えない。
ゆっくりと後ろから視界へと入ってきたのは、つい先日戦った男。エミル族のガーディアン・キリヤナギだった。

何も思わない。ただ何故こいつが自分の前にいるのか。
ただそれだけが疑問だった。
眼帯をつけ、隠していた右の瞳は金の輝きを秘め、うつろな目つきでキリヤナギを見上げる。

「オッドアイだったんだね。何で隠してたの?」
「右目の視力は殆どない……」
「そうか……左目は?」
「数秒先が見える……」
「なるほど、右目はその代償なのかい?」
「……」

すると突然、ガシャンと金属がこすれる音が鳴った。
視線を向けると、銀の紋章のついたケージの中に、王冠を載せた黒猫がいる。ラオだ。
グランジは再びキリヤナギの方を向き、唯一の疑問を彼へと向ける。

「ここは、どこだ?」
「ギルド元宮の特別管理室。君と話をしたくてね……特別に用意してもらったんだ」
「話すことは何もない」
「僕があるさ。君がどういう経緯で、ハイエミルになったのかを聞きたかった」

どうでもいい質問だと思った。
今更、自分の過去にこだわる理由もない。
拘束されている状態で、抵抗するのも無意味だと判断し、グランジはゆっくりと口を開く。

「26年前。俺は、死んだ」
「……何故?」
「もう、殺しはしたくなかった……。でも殺さなければ、救われない人がいて、殺すことによって人は人を憎む。その連鎖を、俺は幾度となく作ってきた。贖罪があるなら、俺は誰に殺されても構わないと思い、俺は殺し続けた……だが世界は、俺を殺さなかった」
「そうか……でも、君は死んだ。何故だい?」
「誰にも殺せなかった人間を殺せるのは、自分しかいない……」
「自殺……という認識でいいのかな」

答えないグランジの態度を、キリヤナギは肯定として受け取った。
ふと脇をみると、ケットシーがケージを揺らし何かを言いたそうにしている。

「ちがうにゃ、グランジは生きたいといったのにゃ! だからプロデュースしたのにゃ」
「……」
「君が自殺して26年。どうやって今まで?」
「にゃ、ハイエミルとして生まれ変わり、グランジは、新たな生命として、20年間ノーザンの地下で眠っていたのにゃ」

「目覚めてからの六年。俺はラオと、貴様を探し続けていた」
「そうか、よくわかったよ。でも26年前は、僕もまだ封印されていて此処にはいなかったはずだけど……」
「何百年も昔から、お前の存在は知っていたのにゃ、でもにゃー達には、どうすることもできにゃかった……」
「なるほど、つまりケット・シーの君達は、僕たちへ関わることはできるけれど、己の力では何もできないんだね」

「……」
「それにしても皮肉だね。殺しをやめたくて自殺した君が、再びよみがえり殺しをやる。そのことに抵抗はなかったのかい?」

「死んだ後の話は、ほとんど覚えていない。だが最後に抱いた感情は覚えている……。」
「……」
「”救われたい”と、ただそれだけを、願った」
「……そうか。なら僕を殺したとして、君は救われるのかい?」
「解らない……その答えを見つけるために、俺はラオと旅をした。貴様をさがして……」
「……ハイエミルになっても、死は誰も救わない。それは君が、同じ世界でよみがえってしまったのだから、変わらない事実だよ」
「ならば、俺の求める救いはどこにある? キリヤナギ、貴様はそれを知っているのか?」
「君の考える"救い"がどんなものなのか、僕にはよくわからない。でも言えるのは、僕を殺しても、君は生前と同じ感情を持ち、絶望するだけだ」
「なら、どうすればいい。救いのために再び生きた俺は、一体何の為にここにいる?」
「生きるためさ」
「……!」
「人は皆、生きるために生まれてくる。その存在に意味はない。ただ生きることだけが、人間なんだ」
「……」
「グランジ。僕を守ってくれないかな」
「何を……」
「僕はキリヤナギ。元ファーイースト王国第一王子。キリヤナギ・オーセン・ロー・ファーイースト。この時代に生を持つハイエミルだ。現代ではもう、いつの時代かわからない時に、王族の人間として魔力を得るため体内へモンスターを封印された」
「……!?」
「今はそのおかげで、簡単には死ぬことはないんだけど……抑えている封印を壊されれば、すぐに力が暴走して、壊れてしまう」
「死ぬのか?」
「うん。だから頭や胸を拳銃で撃たれても、”ネクロリザレクション”が無限発動して死ねないんだよね」
「……」
「でも僕も人間だ。寿命の壁は越えることはできないし、いずれは人間としての死を迎える。ならそれまではグランジ。君が僕をまもってくれないかな? 『殺しは人を救わない』という僕の言葉を信じるなら、君は僕を殺せなくなる。ならば僕を守り、救いの意味を探すといい」

「にゃ、死にたくない奴の言い訳にしかきこえないにゃ……」
「ならケット・シー、君は何故、『殺したくない』といったグランジ君に、僕を殺せといったんだい? それこそ矛盾しているよね」
「にゃ……」

「決めるのは、グランジ。君さ」

そういうと、キリヤナギは腰のダインスレイブを抜く。
剣先をグランジの手錠にかざし、魔力を込めると、音を立ててそれが外れ床へ落ちた。
さらにキリヤナギは、左腰に吊ってあった銀の銃をグランジへと差し出す。

「……これは」
「君の銃だよ。ボロボロだったから修理しておいた。弾も込められているし、引き金を引けば撃てるよ」

グランジが銃を受け取ったのを確認し、キリヤナギは胸元のベルトを外す。
首筋のタートルネックがずらされたかと思うと、そこには、黒いベルト式のチョーカーと、銀の紋章付きのチェーンが、まるで首輪のようにつけられていた。

「これが僕の封印。生命線だ。これを君の銃で壊せば僕は死ぬ」
「……」
「僕を殺し、君が救われるなら良しとしよう。でももし、僕の言葉を信じるなら、打たないで僕を守って」

両手を差し出し、キリヤナギが目をつむる。

「10を数えるね。0になって僕が生きていたら、君は僕のものだ」

何も答えない。ただ銃口を、キリヤナギの首元へと向けた。
カウントが始まる。10からだ。
はっきりとした声に、苛立ちすら感じる。
5。
少し数えるのが早くないか? まだ7ぐらいのような気がする。

怖がっているわけではない。試そうとしている縁も見受けられない。だがそれ以前に、こいつの言葉に嘘が見えない。
人間は嘘をつくと、必ずどこかにほころびを見せる。
経験上自分の勘を疑ったことはないが……。

3。
こいつの言う言葉はすべて本当の事だ。ならばあとは、自身の選択次第だろう。

1。

そう考えた直後。
ゼロという言葉を聞く前に、グランジは引き金を引いた。
爆音が響く。
キリヤナギは大きくのけぞり、ゆっくりと後ろへ倒れた。

静寂。

しかし直後。
キリヤナギの横たわった床から、闇の魔法陣が発動。
彼の額の銃痕が修復され、まるで夢から覚めるように、キリヤナギは起き上がった。

「いったぁ……もう、びっくりするなぁ」
「なるほど。便利な魔法だな」
「あまりうれしくないよ。この力の所為で、昔はいろんな人に迷惑をかけちゃったしね……」
「……貴様を見極めたいとおもった。それだけだ」
「そっか、いいよ。君が僕の言葉を信じられないと思ったときは、その引き金を引くといい。それまでは、僕の言う事は絶対ね」
「いいだろう。ハイエミル・キリヤナギ、貴様の救いの言葉を信じよう」
「えへへ、うれしいなぁ。じゃあ、職服あげるから、とりあえず採寸いこっか」
「……」

そうしてその数日後。
グランジがカナトの自宅へと赴く。


web拍手 by FC2
本編 | 【2013-01-04(Fri) 23:13:58】 | Trackback(-) | Comments:(0)
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する