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(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

midnight*shuffle
著:結城隆臣さん

出演:リゼロッテさん、カロンさん

ロケ地:ダウンタウン

あらすじ
ホライゾンの傘下に入ることになったカロン。ガーヴィンは、いつも通りラウンジの定位置で突っ伏していた。
しかしウェトレスとのやり取りもなく、意味深な雰囲気を放つ彼の前へランキング7thのリゼロッテが現れる。
普段と違う、黒のドレス姿で現れた彼女にカロンは驚いてしまう。


 「お、ま、た、せ」
そう言って、ゆったりと赤い髪をアップに結んだイクスドミニオン・ホークアイの長身な女性が ニッコリと優雅に微笑んだ。
ライトアップされた夜の街路樹の輝きが眩しいのか、ドレスをまとい着飾ったその女性が美しく て眩しいのかよく分からないが、彼はうっすらと目を細めた。
読んでいた本を閉じ、立ち上がる。
「お、おう……」
「やだ、なぁに? 緊張してるのん?」
クス、と煽るような笑みを向けられ、彼は視線を逸らした。
「ばかやろう、そんなんじゃ……ねぇよ」
「それじゃぁ、エスコートよろしくお願いするわねん」
出された右手を受け取ると、2人はダウンタウンへ向けて歩き出した。



―――それは、数日前に遡る。
新しく上司となったホライゾンから命令されていた出張も終わり、普段の暇なようで忙しい生活 が戻って来ていた。
ホライゾンからは『僕の部下ってのは“今のところは形だけ”で、普段通り過ごして良いよ』と、言われているのでとても気楽であるが、同時にいつ何を言われるか分からないような気もし てちょっと緊張感がある。
だが、いつも通り、イクスドミニオン・イレイザーのカロンはだらりとラウンジのいつもの席で 突っ伏していた。

その近くを心配そうな顔をしたウェイトレスが、チラチラとカロンの方を見ながら歩いている。
毎日のように顔を合わせ、1日1回はお尻を撫でられメニューでビシィと叩いていたのだが、こ こ数日お尻を撫でられるどころか、近寄りがたい雰囲気で声をかける事もできていない。
彼女にとってある意味ありがたい話はあったが、それが縁で今では週1回程度だが遊んだりもす るようになった間柄、ちょっと心配でもある。
時計の長針が12の所に戻り、ボーンと大きな音を立てた。
他のウェイトレスがフロアに戻り、彼女に手を振る。
休憩の時間だ。
後ろ髪引かれる思いで彼女は奥の休憩室へと向かった。

それとほぼ同時刻にハイヒールの足音を軽快にならせて、1人の女性がラウンジにやって来た。
『いらっしゃいませ』
と、迎え入れるウェイトレスを尻目に、その女性が一直線にラウンジの奥へと向かう。
「はぁい、カロン」
名前を呼ばれてカロンはゆっくりと目を開けた。
目に入ったのは黒いドレス。
そのまま視線を上に送ると、豊かな双丘が通り過ぎ、白い首筋からその上に、にやりと笑った赤 髪の女性の顔があった。
目と目が合う。
「リゼ……?」
「なによ」
「……っ!」
カロンはもう一度目の前に立つ女性の足元から頭の先へと視線を動かした。
「リゼロッテ!?」
「そうよ、失礼しちゃうじゃない」
カロンの身体に電撃が走る。
過去に何度かリゼロッテが盛装している姿を見た事は、あった。
得に何にも興味も湧かず、不釣り合いな格好だと笑った事もあった。
だが、幾度か見ていく内に徐々に目を見張るような美しさを感じるようにはなり……そして、今 日のこれである。
着ているのは、ただの黒いドレスだ。
細かいレースが施されてはいるが、一見ただの黒いドレスだ。
他に得に宝飾品を付けている訳でもなく、ドレスを纏い、髪を結い上げ、そこにいるだけである 。
なのに何故か美しいと思って見とれてしまう。
「……マジ、かよ……」
カロンは呟いた。
カロンとして演じ、感情もそれに習うように得てはいるが、そこまで強烈に思う事は余りなかっ た。
「何か言った?」
「今度、食事でも行かないか?」
口が勝手に動いてしまう。
「食事ならここでも取れるじゃないの」
「い、いや……」
「ははーん……そう言う事ね―――」



……―――
デートの申し込みと引き替えにあの後彼女に頼まれた仕事が悲惨だった事は言うまでも無いが、 何だかんだで現状は今に至る。
ダウンタウンで映画を見た後、近くのレストランに入って食事をする。

たわいない話をしながらも穏やかに過ぎていく時間の中で、リゼロッテはカロンに違和感を覚 えた。
別な言葉で置き換えるなら“ずれている”と言うべきか“ぶれている”と言うべきか。
カロンの後ろに何か別な影が見え隠れする。
付き合ってるんじゃないかと感じていたウェイトレスとの関係も最近よろしくないように見えるし、人の下につく事を嫌がっていたのにホライゾンの傘下に入った理由も気になる、そして妙にカロンとジンとの距離が縮まった様にも見えていた。
全ては先日のアークタイタニア連続誘拐事件から変わったようにも思える。
適当に話を合わせながら、心の奥底で分析するような目でカロンを見る。
普段なら余り読めないカロンの気配が何となく読める、そんな気がした。

この子は……。

リゼロッテは元々、カロンには何か後ろ暗い何かがあるような気がしていた。
だが、共に仕事をして行き築き上げた信頼だけは変わらないだろうと信じてはいた。
おそらく、この男は何らかの理由でカロンと名乗りここに居るのだろう。
利害が一致しているのなら得に言及する必要も無い、そう考えていた。

今、目の前にカロンからはカロンという上っ面ではなくその内面の何かが感じられる。
その何かはどう言う理由か分からないが悲鳴を上げ、この男の精神を苦しめている。
そう言う事か、リゼロッテは理解した。

この子は今泣いているのだ。
まるで子供のように。

しかし、甘えられてもこちらも困る。
自分たちはランカーで、守るべき対象を守って行かなければならない。
そう言う立場に立たされているのだ。
苦しいのはお互い様である。
そこをどうにかして行くのがオトナという物だ。
自分を出汁に使われたようで若干癪にも障る。
締めておこう……それで分からなかったらカロンもその程度の男だったのだ。
そう思いながら、笑顔を浮かべる。



カロンはリゼロッテとの会話にいつの間にか引き込まれていた。
いつもなら軽くかわせる冗談がなかなかに堪えた。
調子が悪い。
カロンとしてこう動くだろうと思いながら彼女をデートに誘ってみたものの、どうやら自分はカ ロンではなく素でリゼロッテと会話をしてみたかったようだと、ハタと気付く。
同郷であり、似た様な環境を過ごしてきた間柄として、純粋に興味があったのかも知れない。
そして自分が今抱える、立場の重圧を理解してくれそうな気がした。
甘えである。
分かってはいた。
誰に話したって現状を変えるのは自分自身であり、他人ではどうする事も出来ない事も。
情けないとも思う。
けれども、ただただ辛かった。





食事が終わり内心溜息を吐きながら、リゼロッテはサイドカーに乗ると自宅がある方をカロンに 示す。
家が近づいたところでバイクを止めて貰い、降りると彼女は口を開いた。

「あ、さっきの話だけど……って、ありゃ」

こっそりとイヤリングを外し地面を捜す振りをしながらバイクの下に投げ落とす。

「ちょっとイヤリング落としちゃったわ……。たぶんバイクの下だから、代わりに取ってくれな い? このドレスの裾汚したくないのよ」
「ん? ああ」

カロンがバイクから降り、隣にやって来たのを確認する。
リゼロッテはその後ろに静かに回り込んだ。

かがみ込むカロンの背中に両手を廻し抱きしめる。

「リ、リゼ!?」
「……これは特別。この後の事は、ボウヤ達には内緒ね、……個人的なお話し」
「……?」
「今日のアンタは取ってもステキだったのと、優しくて思わずキュンときちゃったわ」
「……」
「後は、……そうね、大事な事忘れてた。最後にしたかった事があるの、こっち向いて……?」

カロンが静かにこちらを振り返る。
その顔を包み込むように両手でリゼロッテは触れた。
そのまま、その手を両肩に滑らせる。

「もう、子供じゃないんだから目はつぶらないわよ」

静かにカロンの唇に自分唇を近付けようとした。

「―――!?」

次の瞬間カロンはそのまま地面に突っ伏すように倒れ込んだ。

「あたしらが子供じゃないっての以外は、ほぼ嘘」

リゼロッテはカロンの腹部に深々と激しく蹴り上げたひざを軽く払うと、その場に仁王立ちした 。

「今ので分からなかったら、アンタもそれだけだったって思っておくわ」

ジッと倒れ込むカロンを見つめる。
カロンがゆっくりと立ち上がると、服に付いた砂をはたき落とした。

地面に落としたイヤリングをこちらに差し出すように手をよこしながら、カロンが言葉を発する 。

「ごめん……。今日は、ありがとう」

その顔はスッキリとした、普段のカロンの表情に戻っていた。

「ふふん。このお礼はそうね、ケーキで許してあげるわん。ラウンジの、あれ美味しいのよねん 」
「わかった。好きなだけおごるよ」
「ったく、個人的な相談がしたいならはなっからそういえだ、あほう。 あんまりなめんじゃないよ”兄弟”」

イヤリングを受け取ると、優しく微笑んでリゼロッテはゆっくりと足を自宅の方へ向けた。
折れた男の心をしゃきんと直すのもいい女の勤めよね。
もてる女は辛いわー。
そんな事を思いながら。
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頂き物 | 【2012-12-16(Sun) 00:00:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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