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裏切りの背徳者:第五話 真実
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連載企画:詠羅と結城隆臣さんのリレーシナリオ


前回
裏切りの背徳者:第一話 胎動
裏切りの背徳者:第二話 苦悩
裏切りの背徳者:第三話 始動
裏切りの背徳者:第四話 奪取

第五話:真実


 著:結城隆臣さん


あらかたの敵を無効化にしたところで、ぬえから通信がデバイスへ届いた。
確認すると、地下でカナトが無事見つかったこと、ジンが負傷していることと人手が欲しいとのことであった。
カロンが側に立つリゼロッテに視線を送ると、彼女が『エー』と面倒くさそうな表情をした。
どうやらカロンの視線を『行ってきてくれ』に受け取ったらしい。
「そうじゃねぇよ、ちょっくら行ってくるからここ任せたぜ?」
「はいはい」
ひらひらと手を振るリゼを尻目に地下へと向かう。
何故か嫌な予感がした。

階下に降りると、カナトがぐったりと倒れているのが確認出来た。
その側にはぬえが立っている。
カナトの側に近付いて脈を確かめると、若干弱いがしっかりと脈を打っており、カロンはホッとした。
ぬえの方を見ると、どこかをジッと見つめていた。
視線を追うと部屋の奥に銃を持ったジンが立っている。
その手前、倒れているのはここの連中の1人か。
ジンの雰囲気がいつもと違う事に気付いて何故か鼓動が早まっていくのを感じる。
ジン何をする気だ……?
一気に緊張が身体を駈け抜け口の中が乾いていく。
ゆっくりとジンの銃を持つ腕が上がっていく、銃口の先は無抵抗に横たわる人物へ向けられた。
まさか……やめろ、やめろ、ジン、やめろ……!
そんな気持ちが胸を走る。
カロンはスライディングを唱えた。
「なにしてるの! ジンさん!」
同時にぬえが叫ぶ。

銃声が轟いた。
と、同時にジンの前に飛び出したカロンの左肩に突き抜ける痛みが走る。
銃弾はカロンに当たったことで方向が逸れ、正面で横たわる人物へは当たることはなかった。
内心安堵の溜息を吐く。
「殺すな……ジン」
振り返るとジンがゆっくりとこちらに倒れ、カロンはそれを受け止めた。

デバイスのメッセージを見たのか、銃声を聞きつけたのかどちらなのかは分からないが数人が地下室に降りて来ていた。
どよめく中、1人前に歩み出す者がいた。
ホライゾンだ。
眉間にしわを寄せて、手をきつく握り締めている。
怒っているのは一目瞭然だった。
普段物腰穏やかで感情を強く表に出さない彼が怒るなど、珍しい。
怒りに満ちた瞳を向けられ、カロンは一瞬ひるんだ。
「大丈夫?」
フォートレスサークルがカロンの足元に展開され傷付いた身体を癒していく。
「あ、ああ……。でも、俺よりも、カナトを……」
「怪我人は黙っているんだ。この状況を見れば何をしたのかは何となく分かるけど、無茶はだめだよ。カロン」
「けどさ……」
「……どうして君達はそんなにも命を粗末にしようとするんだ! 君がジンの銃弾によって倒れたら、倒した相手以外何も変わらないじゃないか!? むしろジンにとってその方がもっと辛いことになるのはわかっていることだろう!?」
激しい怒りの感情をぶつけられ、カロンは俯いた。
幸い銃弾は致命傷にならない場所を通り抜けたが万が一ということもある。
とっさではあったとは言え、今思えば他に何らかのやり方があったかもしれない。
「……すみません」
カロンは静かに謝った。



地上へ戻ると無効化された連中が縄で縛られ外に並べられていた。
その側でカナトとジンがシートの上に寝かされている。
あらかた後始末も済んでおり、どうやらそれらは全てセオの采配だったようだ。
カロンはさすがだな……と、思わず感心しながら建物の外壁に寄りかかるようにしつつ腰掛けた。
離れたところでデバイスの操作をしていたホライゾンが飛行庭を呼び出したので、セオが指揮の下並べられた連中が乗せられていく。
そして、カナトが担架で運ばれたところで、ジンがむくっと起き上がった。
リカルドとカルネオルが心配そうに声をかけているところを見たが、ジンはぼうっとしているのか微動だにしない。
「1度、アップタウンヘ戻るけど、みんなはどうする?」
ホライゾンが飛行庭の紐を握りながら声を上げた。
その声に反応したナハト、ぬえ、リゼロッテが乗り込む。
セオは既に飛行庭の上にいるようだ。
「俺はちょっと現場を見ていく」
立ち上がりながら言うと、ホライゾンが微笑みで答えた。
「分かった、また後で戻ってくるから」
飛び立った飛行庭を見送った後、カロンはジンの方へ視線を移した。
ジンの側でリカルドとカルネオルが変わらず心配そうにしているが、ジンは何かを2人に語り、苦笑を浮かべている。
大丈夫そうだな……。
そう思いながら、カロンは荒れた建物の中へと足を進めた。


リビングに入ると、鍵付きの戸棚が置いてあることに気付いた。
乱闘していて気付かなかったな……。
そんな事を思いながら鍵を破壊しその中を見ると、カナトの個人情報が載った書類が収まっていた。
「くそっ」
やはりここもそうなのか……!
カロンはそれを握りつぶした。
おそらく他の連中もカナトの情報を得ているに違いない。
状況は何も変わってはいなかった。
散乱するがれきをどかしながら何となく地下へと向かう。
地下の奥に何か光る小さい物が見えカロンはそれを手に取った。
それはジンが撃った銃弾の薬莢で苦笑しながらポケットにしまい込む。
振り返って外へ足を向けようとしたときだった。
背後に人の気配を感じて、カロンは口を開いた。
「誰だ?」
「よぉ、久しぶりだな」
声に暗闇の中から1人のエミルの男が姿を現す。
コマンドの職服を着用しているところからスカウト系の職業のようだ。
どうやらクローキングで隠れていたらしい。
聞き覚えのある声にカロンは眉をひそめた。
この男、どこかで会ったことがある……?
「雰囲気が違うが、お前、ギルフォード……いや、プルートだな?」
プルートと呼ばれてカロンは身体を硬直させた。
「お前は……」
「いつぞやは世話になったな。また今回も見事に俺の居場所を潰してくれてよう」
がっし、と胸倉を捕まれる。
左肩に負った傷がずきんと痛んだ。
「つっ!」
「おうおう、怪我していたんだな。これは痛そうだなぁ? ん?」
「何を……」
卑下したような瞳で見つめられ、カロンは強く睨み返した。
「どうやら俺を忘れているようだから、教えてやる。俺の名前はエディーウィナー……。覚えているか?お前が壊滅させた賭博屋の用心棒だよ! 確かお前はギルフォードって名乗っていたはず……思い出したか?」
「……!?」
カロンの頭の中にはっきりと記憶が蘇る。
それは数年前にスパイとして潜入した大賭博場の記憶。
賭博屋の娘に内通し、屋敷を出入りしていた頃よく会話をした間柄だった男だ。
気さくな男だった、カロンも会話をしていて楽しかった。
あの頃の思い出が一つ一つ浮かんでは消えていく。
「あの日、俺は……何となくお前の雰囲気がいつもと違うから隠れて見ていたんだ。ずっと、影で見ていたんだぜ? そしたらお前、いきなり俺の仲間をぼっこぼこにして行くじゃねぇか! ……信じられなかったよ、信じたくなかったさ……仲間だと思っていたお前が……。何の事情かしらねぇが……今度は、これだよ、なぁ? プルート。何とか言えよ!」
カロンは男から視線を逸らした。何て答えれば良いのかとっさに考えが浮かばない。
「俺はお前と別れてから、てめぇん事を自分なりに調べたんだよ。何でお前があんな事をしたのか知りたかったからな。あん時、てめぇプルートって呼ばれていたからそこから捜し回ってよ……。そりゃぁ苦労したさ、何せ、てめぇは秘密結社の工作員だったからな……。でも、やがて揃った小さなパーツパーツを組み合わせて俺は1つの推測を立ててみた。てめぇは歴とした犯罪者なんだろ? いっちょ前に何もしていませんよって顔してあっちこっちに潜入して、何人も殺しているんだろ? それに、さっきお前と一緒にいたのは評議会の連中じゃねぇか。なんで、そんなのがてめぇとつるんでんだよ。なぁ……人殺しのプルート。今までお前が殺した人数を言ってみろ! 犯罪者だろうが、てめぇはよう! 何様のつもりだ!」
男が握り拳でカロンの頬をなぐる。
衝撃で唇が裂け、カロンは血ツバを吐き捨てた。
「……お前に何が分かるんだ……」
「はぁ? 言いたいことがあるんならはっきり言いやがれ!」
再び男の拳がカロンの頬に向けて放たれる。
「俺はなぁ、2度もお前に居場所を潰されて、もう、たまんねぇんだよ。俺はお前を殺す。仲間のためにも俺のためにも」
殴った反動で男が胸倉から手を離し、カロンは床に倒れた。
頬をさすりながら起き上がり、男との間合いをとる。
「……あの時、俺は……お前には死んで欲しくないと思っていた。捕まったり倒されたりした中にお前がいなくて、上手く逃げ延びたものだと思ってどこか安心していた……けど―――」
「俺を殺すか、プルート。殺すよな? 俺は今、お前にとって邪魔な奴だろうからよ。他の連中と同じように俺も消せば良い!」
カロンは唇を強く噛みしめた。
頷くでも無く首を振るでも無く、男を強い瞳で見つめる。
男は察したようだった。
「こいよ、殺してやる」



ジンが目を開くと、視界の中に心配そうにこちらを見つめるリカルドとカルネオルの顔が見えた。
一瞬ジンは混乱した。
どうして自分はここに居るんだろう、何をしているのだろうと。
起き上がり、周囲を見渡す。
建物が目に入り、そうだ、ここはカナトが連れ去られた場所で、自分はさっき敵を撃とうとしてカロンを撃ったのだと、そんな事がぼんやりと頭の中に浮かんだ。
目を横に動かすと離れた場所でホライゾンが飛行庭へ登っていく所が見え、正面へ戻すと、外壁に寄りかかるようにカロンが立ち上がる様が見えた。
ああ、無事だったんだ……よかった。
自分の中の誰かが囁いたような気がした。
ジンの心は今ここにあらずの状態だった。
意識がはっきりせずリカルドとカルネオルが何かを言っているが上手く聞き取れない。
今自分は彼らに何て答えているんだろう、どんな顔をしているんだろう。
何となく二人から離れたかった。
「ごめん、一人にして……」
ジンはそう言うと、ふらふらと歩きながらカロンの背中を追った。
何故そうしたのかは彼自身もよく分からなかった。
ただ、カロンに話したいことがあった。
何を話したいのか、はっきりとしたモノは思い浮かばない。
でも、声をかければ言葉にならない何かが伝わるような気がした。
建物内のがれきが一本の道を作るように片付けられていたので、ジンはカロンが向かった先をすぐ知ることが出来た。
地下室の入り口近くへ来たところで、ジンは地下室から誰かの声がするのに気がついた。
聞いた事が無い声。
この先にいるのはカロンだけのはず。
ジンは耳を澄ました。
「……したさ、何せ、てめぇは秘密結社の工作員だったからな……。でも、やがて揃った小さなパーツパーツを組み合わせて俺は1つの推測を立ててみた。てめぇは歴とした犯罪者なんだろ? いっちょ前に何もしていませんよって顔してあっちこっちに潜入して、何人も殺しているんだろ? それに、さっきお前と一緒にいたのは評議会の連中じゃねぇか。なんで、そんなのがてめぇとつるんでんだよ。なぁ……人殺しのプルート。今までお前が殺した人数を言ってみろ! 犯罪者だろうが、てめぇはよう! 何様のつもりだ!」
工作員……? 犯罪者……? 殺した……!? 人殺し……!
『人殺し』という言葉で、ジンの意識が一気に現実へと帰って来た。
どう言う意味だ……?
ジンの心臓が激しく鼓動する。
手にはじんわりと汗が浮かび、生唾を飲み込んだ。
地下室へ向かおうと一歩足を進めたところで、今度は別の声が聞こえた。
「……あの時、俺は……お前には死んで欲しくないと思っていた。捕まったり倒されたりした中にお前がいなくて、上手く逃げ延びたものだと思ってどこか安心していた……けど―――」
それはカロンの声だった。
いつもの変わらないカロンの声だった……だが、その声のトーンがまるで違うようにジンには感じられた。
全身に震えが走る。
それは恐怖という名前を纏って、ジンの足をその場に固定させた。
まだ地下からは声が聞こえていた。
「こいよ、殺してやる」
その言葉と共に金属同士がぶつかる音が聞こえ始める。
ジンはその場にへなへなと腰を落とした。
カロンは犯罪者? 殺人者……? プルートって誰だ。カロンは何者なんだ?
今まで気さくに声をかけてくれていた、カロンの笑顔が一瞬で心の中で崩れた。
その時だった。
ふと、肩を叩かれた気がしてジンは振り返った。
「……ホライゾンさん?」
そこにいたのは、優しそうに微笑むホライゾンだった。
「地下にいるのはカロンだね?」
小声で耳打ちされ、ジンはゆっくり頷いた。
「分かった。ジンはこのまま僕の飛行庭へ行って待っていてくれないかな? カロンを呼んでくるから」
ホライゾンの手を借りてジンは立ち上がった。
「でも、俺……」
剣戟の音はまだ続いている。
ジンは地下へ行こうと体の向きを変えようとした、が、それをホライゾンが止めた。
「いいね? 庭で待つんだ」
ホライゾンの微笑みは普段と変わりはない様に見えた。
だが、その瞳は冷たく、鋭くこちらを見つめている。
ジンは指示に従いざるを得なかった。



「カロン?」
突然名前を呼ばれて、カロンは驚いて体を揺らした。
振り返ると、そこにはホライゾンが立っている。
「な、なんだ……、ホライゾン……か」
ほっと内心胸をなでおろす。
たった数十秒前に、男を気絶させることが出来たばかり、起きている状態であればこの男がなんと叫んでいたかわからない。
「この男は?」
「残党ですよ……ここに隠れていたようで」
ホライゾンに苦笑して返す。
今はカロンのフリをするだけで精一杯な気がした。
「なるほど……ね」
ホライゾンが男の元に近寄り、そっと首に触れる。
「残党なら連れていかないとね。カロン、運ぶのを手伝ってくれないかな」
「もちろん。こんなにしたのは俺だし……」
上半身をホライゾンが持ち上げたので、カロンは足を押さえた。
1階に戻り数歩進んだ所でふと、ホライゾンが口を開いた。
「カロン君、君は……人を殺したことがある?」
あまりに突然の発言でカロンは思わず持っている足を落としかけた。
「な、何を……」
「人の急所を心得ているように見えたから……。気にしないで」
ホライゾンがにっこりと微笑んだ。
その微笑みがカロンは恐ろしく見えた。

To Be Continued…

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本編 | 【2012-11-27(Tue) 00:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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