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(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

晩御飯の献立について話ながら死闘を繰り広げる話
ロケ地:鉄火山演習場

あらすじ
国家間の近郊を保つため週に何回か開催される混成騎士団演習。
ジンは評議会より、演習への参加を要請されていた。
初めてではないためいつもどおりに仕事をこなそうとしたジンではあったが、それがカナトにバレてしまう。


 アクロポリス。
かつて、王国として栄えたこの都市は、クロノクエイクによって崩壊し、
東西南北の国家、ノーザン、モーグ、アイアンサウス、ファーイーストの国々によって、領有権を争われていた。
しかし、延々と続く戦争に疲れ果てた人々は、四つの国々による、分割統治を行うことに同意し、一つの騎士団を結成する。
これが、アクロポリス混成騎士団。
各国の騎士団が団結した平和の象徴とも言える産物だ。
だが、争ってきた人々は、団結という肩書きの元で争い、現在でもそのしがらみや利権を考える摩擦を生んでいる。
それを解決しようと実施されるようになったのが、混成騎士団演習。
騎士団たちをあえてぶつけることで摩擦の解消を行う、冒険者参加型のゲームイベントだ。

このイベントに参加し、演習場鉄火山の頂上付近に座る一人のエミル族がいる。
岩陰に身を隠し、岩の隙間から、光砲・エンジェルハイロゥを構え、
上部にある装着式のサーモスコープを覗き込む。
イヤーカフタイプの通信装置から聞こえてくるのは、エミルと同じ軍に所属する。
南軍兵達の音声通話だ。

"さぁ、始まったけどどうする?"
"ここは防衛よ。最後まで守り切る。得点稼ぎは遊撃隊に任せるわ"
"了解"

偉くお気楽でアバウトな会話だ。
とても国家の利権が絡んでいるとは思えない。
しかし、参加する冒険者にとっては、演習など安全の約束されたただのゲームであり、そうなってしまうのもある意味仕方が無い。

それでも、自分の様に、ギルド評議会から南軍を勝たせるため、参加を要請された人間もいるのだから、あながち無関係でもない。

評議会がこうして、勝たせるための人材を派遣するのは、混成騎士団の感情の偏りを防ぐためと、
軍事力抑制のためのバランス調整を行うためだ。
アクロポリスを囲む国々のなかで、特に南軍を動かすアイアンサウスは四つの大国の中でも最強を誇る軍事国家。
演習に負けることで、さらなる軍力の強化を行われてしまえば、それでこそ世界の均衡は保てない。
演習はそう言う意味も込められた、バランサーでもあるのだ。

"入口を突破されたらどうするんです?"
"大丈夫よ。今回は強力な助っ人がいるから、ホークアイさん!"

誰のことだと思う。

"ジンさん、ってば!"
"「え、俺!?」"
"他に誰がいるんですか! 頼りにしてますよ!"
"「俺、ガンナー、なんですけど……」"
"しってますよ。後ろをお願いしますね"
"「できる限りは」"
"思う存分実力を発揮してください"
"「プレッシャーに弱いんで勘弁……」"

南軍に笑が起こる。
目立ちたくはないが、個人的な参加回数も多い上、知り合いもいるので仕方が無い。
お馴染みになってしまえば気にされないとも思ったが、逆に目立ってしまっている気がする。
南軍が入り口に固まり、防衛を開始する。
出て行くのは、憑依を限界まで詰んだ。フルタンクの遊撃組5組みだ。
南軍本隊は指揮官と共に入り口の防衛へはいる。
ジンは、長さ一メートルはある、ボルトアクション式対物ライフル。
光砲・エンジェルハイロゥを構え、入り口の付近をサーモスコープで凝視した。

そして、視界に脇に現れる人型の影を、スコープにとらえる。
裸眼ではそれを確認できない。
クローキングで姿を隠す、スカウト系だ。

"「温度センサーに敵接近確認。後方より西軍本隊がきてる」"

この言葉に反応した南軍は即座に支援を開始、魔法による弾幕を展開した。
それでも抜けてくる者はいる。
ジンはそんな防衛戦を突破してきた敵を撃つ、南軍防衛の砦だ。
即座にエンジェルハイロゥの次弾を装填。命中補正を行い、精密射撃を唱える。
バシュという。サイレンサーの発砲音が響き、弾丸がクローキングを使っていたアサシンのこめかみを突き抜ける。
一瞬でアサシンは、姿を表したと同時に、光に消えた。
自軍ロビーへの強制送還だ。

"流石"
"えげづねぇ……"

演習と言う一つのゲームに、死亡はあり得ないが、死亡に限りなく近い致命傷を追った場合。
演習のシステムは安全対策として、強制的に参加者をロビーへと戻す。
非人道的ではあるが、こちらは仕事だ。手を抜くわけにはいかない。
即座に、ボルトアクションのレバーを引き、次弾装填。
西軍の本隊が防衛を行う南軍本隊とぶつかり、本格的な防衛戦を開始する。
ジンはそこへ援護射撃を行い、敵軍の要。ウァテス系とウィザード系を集中的に強制送還させて行った。
当然。抜けてきた連中も忘れない。
演習の獲得ポイントを頭で計算し、ジンは確実に敵を落として行く。
狙った場所のズレを修正し、正確に当てる。
手元にくるいがでないよう、集中させて、研ぎ澄ませて行った。
あと数発で、マガジンの交換と言うところで、背後に気配を察知。
ハイロゥを投げ捨て、横転して回避行動を取る。
“ブランディッシュ”アサシンのスキルだ。
即座に立ち上がり、クナイを突き出してくる相手の攻撃を交わす。
上半身の動きだけで交わしたジンは、アサシンの腕をひっつかみ胸ぐらを取る、そしてそのまま、背中を向けて投げ飛ばした。
背負い投げだ。
ゴツゴツした大地に叩きつけられたアサシンは、即座に胸のドックタグ外す。
同時。ジンはわき腹の短銃を抜いた。
どん。と派手な破裂音が響く。
額へ打ち込んだので、当然強制送還だ。
相手が消えたことを確認し、ほっと息をつく。

"ジンさん。大丈夫?"
"「防衛線を張る前に、紛れ込んだ敵がいるみたいだ。警戒を……」"
"わかったわ。ごめんなさい"
"「できる限り駆逐する」"

そう言って、本隊が像前にもう一つの防衛線を張る。
先ほどのアサシンは、侵入できたのも関わらず、像を狙わなかった。
個人戦ではなく、軍の勝利が何よりも優先されるのに、
なぜかまっすぐに自分を狙ったのは、何か理由があるのだろうか。
私怨ならまだいい。可愛いものだ。
他に何か目的が……?そんなことを考えながら、ジンは狙撃を続ける。
周りに警戒を怠らず、再びマガジンを入れ替えようとした時、
左側の死角に気配を感じた。
誰も居ない。

"狙撃なくなったぞ"
"ジンさん。無事ですかー"
"「こっちは、何の問題も……」"

そう応答した直後。
床に落ちていたドックタグから、タイタニアが飛び出してきた。
憑依防具だ、さっきのアサシンが残していったもの。
左斜め後ろ、ジンは右利きで死角だ。
当然。反応は遅れる。
即座に左手で腰の短銃を抜いたが、振り下ろされた赤い太刀により叩き落とされる。
左手首にも負荷が掛かり、痛みが走った。
それでも、回避はやめない。即座にその場を離れ、距離を取る。
そして向き合った相手に驚いた。

「なにしてんだよ。ジン」
「か、かなと!?」

思わず声がおどけた。
目の前に居るのは一年ほど前から一つ屋根の下で暮らす相方。
タイタニア・ジョーカーのカナトだ。
普段から生活のことばかり考え、演習になど話題にすら出さない彼が、
何故こんな場所に居るのか。

「お前こそ、なんで……」
「わかり切った事を……」
「は?」
「帰るぞ。今すぐ」

唐突に赤い太刀を構える。
ジンは左手をかばいつつも、自衛の為に右手で短銃を構えた。

「意味わかんねぇよ。俺は帰らねぇからな」
「ガキみたいな事を言いやがって……こっちの迷惑も考えろ」
「はぁ? どんな迷惑だよ」
「……晩御飯が冷める!!」
「どんな迷惑だ! 」

思わず突っ込んだ。どっちが子供か分からない。

"ジンさんどうしたの? 敵?"
"防衛線がそろそろヤバい。援護射撃まだか!!"

登山口は西軍以外にも、他軍すら押し寄せて来ている。
防衛戦を行なっているせいで、軍の自得点が集中して来ているのだ。
味方の救済の声が聞こえる中、ジンは一つの選択を迫られる。
いつも背中を預け、生死すら共にした相棒と、南軍。
答えは一つしかないが、ゲームと言う一つの概念が、ジンをそうさせた。

「晩御飯がなんだよ! 終わったら帰るから、お前こそ帰れ!」
「 そう言うところがガキって言うんだ!!」

スタイルチェンジを唱えるカナト。
神の守護を纏い、四枚羽の天使は空へ飛び立った。
ジンはそれを追いかけ、短銃での狙撃を行う。
だが、空を自由に舞う相手へ当てれるほど、銃は万能ではない。
カナトはそれを知っている。

ジグザグに舞い、カナトはジンへ接近を試みる。
見知った相手だ、苦手な立ち回り、癖、動きも把握できているが、
お互いにそれは同じ、唯一違うのは、経験ぐらいだ。
ある意味決定的な差でもあるが、乗り越える事はできる。

ジンが打つのをやめ、後退を始めたときを見計らい。
カナトがディレイキャンセルを唱える。
羽を風にのせ、滑るように接近。

「ジョーカー!!」

渾身の力で太刀を振り下ろす、同時、真っ黒な光が空間を飲み込み、
二メートル前後のクレーターが出来た。ジンはその着地を狙い。
マガジンを再装填した短銃で応戦。しかし、飛び立たれて交わされた。

「くっそ! キリがねぇ……」
「帰る気になったか?」
「かえらねぇよ!!」
「毎度だまって出かけて…月光花さんも心配しているんだ」
「ゲッカも……!?」

月光花は、ジンの幼馴染のエミル。女性だ。
確かに評議会から仕事を受けている事は、二人に話していない。
心配されたくなかったのだ。全て守り通すと決めたから……。
月光花の話題をだされ、ジンの手元にスキができる。
当然、カナトはそれを見逃さない。
動揺し、手元に迷いが生まれたのだ、撃てる訳が無い。
再び接近し放つ。

「ジョーカー!!」

間一髪で後ろへ飛び、直撃を回避。
しかし爆発の余波で吹っ飛ばされてしまった。

「帰るぞ。」

背中を強打し、握力が緩む。当然、衝撃で銃が手から離れた。
まだ起き上がろうとするジンへ、カナトは容赦なく太刀を突き付ける。

「カナト……今日の献立はなんだ?」
「鰻の蒲焼だ。月光花さんが買い物へ行ってくれた。この時期に食べるものらしいからな」
「……そうかよ。なら――」

ジンが動いた。背中のホルスターから取り出す予備の銃。
20発装填できる自動式のピストルだ。

「本気で帰る訳にはいかねぇよ!! 」

発砲。
カナトの左腕を貫通。太刀を放してしまった。

「月光花の料理はな……。今まで何度殺されかけたかわかんねぇ……」
「くっ……」

演習であるがゆえ、怪我を負う事はない。
だが痛覚そのものへダイレクトに伝えてしまうので痛みはある。

「悪いカナト。すぐ戻るからさ、先に寝てくれ……」
「バカが。何でも黙って行動しやがって、少しこっちの見にもなりやがれ!!
取り残されて、心配しか出来ない月光花さんの気持ちを、
お前は、どこまで踏にじれば気が済むんだ! ジン!」
「悪い……」

そう言って、ジンが銃口を天に掲げる。

「“テンペストショット!”」

発砲。
空に放たれた弾丸は無数に分散。
雨の様に降り注ぐ、弾丸の一つ一つは先端を鋭利に尖らせ、引力と共に大地へ突き刺さるのだ。
当然人間の体など、本来なら原型もとどめない。
演習場であるなら、生命の安全は保証されているので、強制送還で住むだろう。
放たれた弾丸が鼠算式のように増殖し、空を覆っていく。
すべてが終わったと、ジンは思った。
次に顔を挙げた時には自分が勝ち、目の前の相棒は居ないと、そう確信した。
しかし、突如胸ぐらをつかまれ、引き寄せられた。

「"ジョーカー・アート!!"」

真っ黒な光が、カナトを中心に炸裂した。

****

「へぇー! すごい! カナト君。ジンに勝ったんだ」

アクロポリス、アップタウンの飛空庭。
ここに住む三人の冒険者は、遅めの夕食をとっていた。
唯一の女性である月光花とともに、鰻の蒲焼を食べるカナトとジンは、目も合わせることなく唯、黙々とそれを食する。

「まぁ、まぐれですが」

この言葉にジンが身を震わせた。
どこがまぐれだ……。

「てんめぇ馬鹿にしてんのか、カナト!!」
「? まぐれ以外に何があるんだ?」
「お前が、ジョーカー・アートでたまたま生き残っただけだろうが!!」
「だからまぐれだろう? 」
「ちげぇよ! 言わせんな!」
「? 理解に苦しむ」

首を傾げる。
ジンからみればどうカナトが生き残っていようが居まいが、負けて居たということだろう。
対人に関しては全く無知のカナトに理解できないのも無理はない。

「完敗だったってことでしょ? なっさけないわねー」
「うるせーよ、ゲッカ。油断したんだよ。次は負けねぇ」

鰻の蒲焼を掻き込むジン。
月光花はそんな彼をほっとした目で見つめ、微笑んだ。

「おかえり」
「!? ……ただいま」

カナトは当然聞こえぬふりだ。
ジンはそんな態度が気に入らないが、
鰻の蒲焼がまともな味をして居ることに少し驚きをかくせない。

「これ、月光花がつくったの?」
「うーん。つくろうとおもったんだけど、買い忘れたものがあってね。
戻ってきたらカナト君が作っといてくれたの」
「へぇー……」

棒読みの返事に、当本人は無反応を決め込む。
そういえば買い物と言っていた気がする。

「土用の丑の日に鰻を食べて、健康に夏を乗り切らないとね!」
「なんか縁起がいいとか、そう言うのじゃないのか」
「何を期待してたのよ。ご飯ついてるし」
「へ、は、早くいえよみっともねぇ!」
「ばーかばーか」

こうした賑やかな食卓をみて、カナトも家族と過ごした日々を思い出す。
実家で暮らし、弟と音楽を学んだあの日を……。

「カナト……」
「……どうした?」
「ありがとな」
「気にするな」

そうして、また一つのパーティーの冒険が始まる。
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本編 | 【2012-08-07(Tue) 02:28:59】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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