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裏切りの背徳者:第二話 苦悩
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連載企画:詠羅と結城時臣さんとの連載リレーシナリオ

前回:裏切りの背徳者:第一話 胎動

第二話:苦悩


 著:結城隆臣さん


「わー! すんません! 出来心だったんです!!」
そう言って薄汚れた格好のエミルの男が、リカルドの前で土下座をして謝った。
リカルドはイクスドミニオンのガーディアンで評議会のランカーである―――ランクは9位だ。
今日も今日とて、攫われたアークタイタニアの救出任務に当たっている。
男の身柄を手伝いに来た実働兵に託し、捕らわれたアークタイタニアが無事なのを確認した後、リカルドはその男の根城を調査した。
あまりにも事件が起こりすぎている……何らかの共通点があるかも知れない。
何件かの事件に携わっていくうちにリカルドはそう思い始めた。
ファーイーストでジンの友人であるカナトが攫われかけてからと言うもの、そこを起点としてアークタイタニアが攫われるという事件が各地で起こり始めた。
元々、アークタイタニアは希少な人種であることもあいまってか、誘拐事件が起こることはそれほど珍しくはなかった。
だが、今回は短期間に連続で事件が起こっている。
その事実は風に乗って噂という形で広がり、今やアップタウンに住まう冒険者達で知る者は少なくはない。
評議会でも早々にこの事件に着手はしていたのだが、あまりにも早く広まっていったためランカー達の手を借りなければならない事態にまで発展した。

男の根城には、複数枚の書類があった。
ざっと目を通すとそれは全てアップタウンにいる未登録のアークタイタニアのジョーカーの個人情報だった。
……あっさり捕まる程の手際の悪さの割には、よく調べてあるな。
そう思いながら、1枚1枚めくるその中に写真付きの物があり、リカルドの目にそれが止まった。
「これは……?」
ピンぼけでノイズの酷い写真だ。元の画像が小さかったのだろう引き延ばした際にノイズがさらに荒くなったようだ。
かろうじて性別と種族、着ている服が分かる程度……どうやら黒い羽のタイタニアの男でハルシコートを着用しているようだ。
腰に携えているのは剣なのか鞭なのか今一良く分かりにくい。
その写真から何となく嫌な予感がしてリカルドは他の書類にもう一度目を通した。
そしてどれも写真付きの書類と大体同じような人物のデータである事に気付く。
内容は大体、アークタイタニア・男・ジョーカー、背格好は170cm前後、黒っぽいコート類を好むと言うもの。
予感が膨らみ、リカルドは再度写真を見た。
共通するデータと写真から一致する人物が記憶の中にいないか確かめる。
「……まさか!」
リカルドは書類をまとめると急いで評議会へと帰還した。



『カロン』として仕事を早々に終わらせたガーヴィンは、イレイザーの職服のままクロキンを纏って急いで組織の本部へと向かった。
今日も評議会の方では人攫いの件について議論が交わされていた。
何人かのランカーが取り締まりに走っているらしいが如何せん後手に回っているらしい。
何としても早く止めなければならない。
真実を知っている身として責任感が彼を急かした。
「おや、そこにいるのはプルートじゃないか、戻って来たのかい?」
本部に着きクロキンをといて早々声をかけられ、ガーヴィン(プルート)は振り返った。
「リゲル……」
そこにはウエーブのかかった黒い長髪で、真っ赤な腰までのスリットが入ったセクシーなロングドレス姿の女性が立って居た。
すらりと伸びた白い足はそのままに太ももには短銃がくくりつけられ、深紅のハイヒールを履いている。
種族はエミルだ。
「随分と焦っている顔だね、プルートらしくない。何かあったのかい」
リゲルはガーヴィンとほぼ同期の仲間だ。
何度も一緒に仕事をし、仕事の相談事から身の上話まで赤裸々に語り合った、お互い信頼し合っているある種のパートナーでもある。
リゲルが優しくガーヴィンの頭を撫でる。
ガーヴィンは何故か肩の力がするっと抜けていくような気がした。
「お前さんは根を詰めすぎなんだよ。また何か溜め込んでいるんだろう?」
ふわりと、抱きしめられる。
何故かこみ上げてきた涙をぐっと堪えてガーヴィンはリゲルから離れると、口を開いた。
「……人攫いに狙われている人が居て、それを護るよう……指令が下った」
「うん?」
「それは俺―――いや、『カロン』の友人で……アークタイタニアのジョーカーなんだ」
「……ほう。巷でアークタイタニア誘拐事件多発しているもんねぇ……それで、狙われた……そんな感じ?」
「ああ、だが……実は、どの事件も全てその友人を狙うために仕組まれた事なんだ」
「それはどう言う意味だい」
リゲルが怪訝そうな表情で腕を組んだ。
「詳しくはお前が相手でも説明はできない」
「そうかい。でもまた、『カロン』の関係者を警備しろって……面倒な事を言うねぇ上も。『カロン』で側にいられないのかい? その方が楽だろう」
「できない」
「ほう?」
「俺は、『カロン』でアークタイタニア誘拐事件を担当はしていない」
「はーん、成る程。『カロン』ではどうどうと動けないって訳か」
ガーヴィンは静かにうなずいた。
「それに特定の人物を優先して保護していれば、逆に不審がられる」
「まぁねぇ……って、まさか……とは思うけど、この件の発端ウチらん組織が原因とか言わない?」
「それは否定出来ない」
「げー……そんな卑劣なことするのは、ベガ様辺りかなぁ。まったくなんて奴」
リゲルの推測が的を射た発言で、ガーヴィンは思わず苦笑した。
「……おそらく今動いているのは、単純に行動するきっかけを得た金目当てのチンピラみたいな物だ……。俺は後から動く用意周到な奴らから……潰した方が良いと思っている……」
「情報はあるのかい?」
「ある、リストをもらった」
「その中から早く動きそうな所をピックアップしたいんだね?」
「ああ」
「このリゲルさんに任せておきな。手伝うよ」
「すまない……」
「そうだね、この借りは今度アップタウンの最高級レストランでフルコースのディナーをごちそうしてくれたらチャラにしてあげるよ」
「分かった」
ガーヴィンはリゲルの手を借りて数カ所の人攫いの業者をピックアップした。
そこからさらに、評議会がチェックしている所を省く。
「片っ端から片付けるのかい?」
リゲルに言われてガーヴィンはうなずいた。
「ひとまず一人でも何とかなりそうな所ばかりだけど、何かあったらあたしも手伝から、無茶はするんじゃないよ」
「分かっている」
そう言ってガーヴィンは闇夜に消えていった。



リカルドがこの家に来るのはいつぶりだろうか、何となく緊張した面持ちで、ドアベルを鳴らすとジンの声が聞こえてドアが開いた。
「……遅くにごめん」
「リカじゃないか。どうかしたのか」
「話があるんだ、カナトさんは……?」
「カナト? 今寝ているけど……」
「良かった。ジンだけに、話したい事がある」
「へ……ひとまず上がって、お茶でも用意するよ」
リビングに案内され、リカルドはどう切り出したら良いものかと考えた。
台所へ向かったジンがお茶の用意を済ます前にまとめよう……と思った時だった。
「それで、話って?」
と、ジンがリカルドに声をかけた。
リカルドは戸惑いながらも語り始めた。
各地で起こっているアークタイタニアを攫う事件には共通したものが見受けられると言うこと、そして、写真に写る人物はもしかしたらカナトではないかということ。
「まさか……ピンぼけでよく分からない写真だし……」
お茶を運んできたジンが、リカルドに提示された写真を見ながら答えた。
リカルドは鞄からいくつかの書類を取り出してジンに渡した。
「今日捕らえた人攫いが持っていたものの写しだ。他に、同等の任務をしているランカーにも確認をとって貰ったが、……似たような調査書を持っている奴がもいたらしい」
「どういう……」
「何らかの目的で、カナトさん、もしくはカナトさんに似たアークタイタニアが狙われている」
「なんで……」
「分からない。たが、これがカナトさんのことなら、カナトさんが危ない」
ジンがゴクリとのどを鳴らして空気を呑んだ。
怒りからなのだろうか、感情を抑えようとしているのか、肩が震えている。
「気付いたのは今日だ。まだ正確な情報は分からない。ジンは知っておいた方が良いと思った」
「サンキュー、リカ……連中の思い通りにはさせねぇ」
「俺も、協力する」



ここで何カ所目だ?
もはや自分のモノか相手のモノか分からなくなった返り血を拭ってガーヴィンはため息を吐いた。

ここはとある人攫いのアジト、古ぼけた倉庫を勝手に根城としていたようである。
この人攫い達はエミルで剣士のリーダーを筆頭に、エミルとドミニオンの2種族のメンバーから構成されている、情報収集に重きを置いて、一攫千金を狙う者達である。
人数はリーダーを含めて4人しかいないが、少数である身軽さを武器に数々の悪名をあげていた。

ガーヴィンの後ろには、骨を折られたり筋を断たれたりした男達が3人うめき声を上げながら転がっている。
リーダーが不在ではあったが、そんな事は気にならなかった。
ガーヴィンはピックアップしたリストにチェックを入れようと懐からメモを取り出した。
見れば、まだ五本の指にも達していない。
「くそっ」
ガーヴィンは強く壁を殴った。
反動で天井から埃が舞い散る。
その時だ、ふと人の気配を察して振り返ると、アジトの入り口辺りに屈強そうなエミルの男が立っていた。
ブレイドマスターの職服を着ているところから、2次もしくは3次の剣士であることが推測できた。
……リーダーが戻ってきてしまったか。
ガーヴィンは爪を握る両手に力を込めた。
「……おい、おいおい。これはいったいどう言うことだよ、ああ?」
「……かし、ら、あ……アイツが……」
転がる1人がガーヴィンを指さす、かしらと呼ばれたこの男と目が合った気がした。
「そうか、てめぇがウチのカワイイ奴らをこんなにしたのか。俺はブレイドマスターのガンジだ。この辺じゃちょっと名が知れているんだぜ? 覚悟はできているんだろうな?」
ビュッ!
空気が切れる様な音と共に、男がガーヴィンの前に立った。
無拍子!
ガーヴィンが身構えるのと同時に居合が飛んでくる。
「ぐっ」
「ち、やるじゃねぇか」
瞬時に身をひねって爪で剣先を上手いこと流したつもりが、わずか数cm届き脇腹を軽く切り裂かれた。
「こいつらが伸びているって事は、お前、そんじゃそこらのヤツじゃねぇな。どうしてこんな事をした」
素早い剣捌きを爪でかわしながらガーヴィンは答えた。
「話すつもりはない」
「まぁ、どうせ同業者だろう? 有力な情報を得た俺達を潰しにでも来たんだな?」
ニヤリと、かしらが笑う。
「だが、お生憎様……誰がそれをお前何かに譲るものか」
剣撃に力が込められたのか打撃の威力が増した。
一撃一撃が重くなりガーヴィンの体力を徐々に削っていく。
危険を感じて瞬時に足払いからラッシュで男を殴る……が、なかなかしぶとく倒れない。
この組織は既に彼1人、もはや活動所では無いはず……たが、目的を達成したとは言え、この男が言う有力な情報が気にかかり逃げるわけにもいかない。
ふと、かしらが自分を攻撃する手を止め、間合いを取った。
「俺を倒したかったら殺る気で来な? 兄ちゃんよ」
手を振り挑発してくる。
反射的にガーヴィンはイレイザーを使った。
当たり所が悪ければ殺してしまうかも知れない、が、そんな悠長なことを言わせてくれる相手でもない。
「刹那……悪鬼!」
「…カウンター! リミテイションエッジ!」
刹那をかわされ振り上げられた剣をもろに左肩で受け止める。
職服についていた鎖が偶然にも剣に引っかかり、斬られることはなかったが酷い打ち身を左肩に浴びた。
幸い折れはしなかったが激痛が走る。
鎖骨にひびが入ったかもしれない。
そして大ぶりな技でできた隙にガーヴィンの悪鬼が入る。
力が込められた握り拳がかしらのみぞおちに入り、胃液を吐いてゆっくりと地面に倒れた。
かしらが動けなくなったのを確認して、ガーヴィンはゆっくりと姿勢を正した。
左肩が強くズキズキと痛むが、構っている余裕がガーヴィンにはない。
転がっていた意識のある1人の男の胸倉を掴んで無理矢理起こす。
「有益な情報というのはなんだ」
「し、知らねぇ! かしらは秘密主義何だ……。俺達なんかが知る訳がねぇ!」
「使えない……」
ガーヴィンは男から手を離すと、ぐったりと横たわるかしらの懐を漁った。
この男の言う通り秘密主義なら何らかの手がかりを持っているかも知れない。
案の定、出てきた書類に目を通す。
やはり、適当な情報であっても分かる者には分かるのか、そこにはカナトの緻密な個人情報が書かれていた。
そこまでしてまで大金を得たいのかと思いはしたが、その内容はガーヴィンにとって衝撃的なものであった。
カナトの父親が……評議会の関係者……!?
まさか、そんな……だからこそ評議会はカナトを取り込みたいのか……?
グルグルとガーヴィンの頭の中を様々な可能性が交錯し、彼は頭を抱えた。
急にめまいが襲ってきて、足元がおぼつかなくなる。
慌てて近くにあった棚に手をかけ、身体を支えた。
いや、今は……そんな事より、この事態を収拾することが先決だ……。
他にも同じ情報を得た連中がカナトを狙うかも知れない。
可能性は否定出来ない……カナトが危ない!
ガーヴィンは書類を懐にしまうと、次の目的地へと駆けだした。


To Be Continued…
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本編 | 【2012-11-19(Mon) 00:00:50】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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