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反逆の大地-Hells of Rebelion- 第十三話:願われた神
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【連載】詠羅×リュウド×ラフォル リレープロジェクト
反逆の大地-Hells of Rebelion-

第十三話:願われた神

*目次
第一話:始まりの離別
第二話:世界のあり方
第三話:捜索と出会い
第四話:冥界と言う世界
第五話:2つのあり方
第六話:偽りの仮面
第七話:結論。そして旅立ち
第八話:開戦
第九話:機械の人間
第十話:孤高なる決意
第十一話:神の審判
第十二話:偽りの神と王


 

著:リュウドさん

「ん……」

 目を覚ました時、ドラッキーは眼前の光景に目を見開き、思わず涙を流す。

「……おはよう……ドラッキー」
「っ……!……主さまぁっ!!」

 主人の暖かな体温を感じ、夢じゃない事が分かると、張り詰めていた緊張が解け感情が爆発する。
 何日も、何日も焦がれた大切な人の体温が、今自分の手の中にある。

「ごめんな……助けるのが遅くなっちゃって……でもまだ終わってないんだ。だから、ドラッキーは安全な所へ」

 そう言うと、満身創痍の身体を無理やり立ち上がらせて、眼前の男と向き合う。

「まさか…………逃がすとでも思っているのか……」

 フリーデンは怒りの形相でラフォル達へと距離を詰めていく。

「ひとまず見事だった、と言っておこう……だが、その後のことはどうする?こちらは貴様を殺してその娘をまた供物にすれば良い……ただ、それだけの話だ!」

 怒声と共にフリーデンの斬撃がラフォルに向って振り下ろされる。

「ぐっ……ぁぁぁあああッ!!」

 ラフォルは両腕で構えた黒銀の剣で、凄まじい剣圧を放つ魔剣の一撃を受け止める。全身が軋み、激痛が走る。だが最後まで諦めるわけにはいかなかった。肉体の限界を超えんばかりに耐え凌ぐが、次第に魔剣の圧力に押され、身体が大地へ沈んでいく。

「ほう……!まだそんな力があるとはな!だが、今度こそ終わらせてやろう!!」

 フリーデンは魔剣を握る腕に全力で力を込め、ラフォルを押し潰さんとする。
 その時だった、今まさにトドメを刺さんとするフリーデンの動きに不可視の阻害がかかる。その正体を探るフリーデンは、自身の影にクナイが突き刺さっている事に気が付いた。
次の瞬間、宙を舞い死角から迫るドラッキー。だが、その攻撃は軽く振り払われ、ドラッキーの小さな身体は吹き飛ばされてしまう。

「人の真似事でこれだけの動きができるとはな……!だが、所詮は女子供に過ぎん。なに、心配するな。事が終れば貴様も愛する者の元へ送ってやる!!」
「逃げろ……ドラッキー……」

 共に吹き飛ばされ、地面に這いつくばるラフォル。その顔を苦悶に歪ませながらもかろうじて立ち上がり、一歩踏み出してドラッキーに逃げろと命じる。だが、ドラッキーはそれに応じない。むしろ、ラフォルを庇おうと前に出る。

「主様を一人置いて、小生はそれでどうするんです!?主様がここで果てるというのでしたら、小生もお供します!生きる時も、死ぬ時も、小生はずっと主様のお側にいたいんです……だから!!」
「ふん、相変わらず健気な事だ……だが、君には役目があると言っただろ?その役目を終えたらすぐに主の元へ送ってやる。だから、それまでは……大人しくしていろぉ!!」

フリーデンはその手を振りかざすと、地面から黒く禍々しい手がいくつも沸きだし、ラフォルとドラッキーの身体を拘束してその自由を奪う。

「くぅっ……!こんな、ものでぇ……!」
「っ……ドラッ……キー……」

 ラフォルは必死にその拘束を打ち破ろうともがき悶えるが、強化されたヒンダーハンドは強靭な力で身体を締め上げる。ドラッキーは勿論の事、体力を消耗しきったラフォルにも、それを振り払う力は残されていなかった。

「そこで大切な人が死ぬ姿をしっかり見ておけ。珠玉の絶望に染め上げた想いだ……破壊神も喜ぶだろうよ」
「っ!」

 ――主様と一緒なら、死ぬのだって怖くはない……!でも、主様が諦めないのなら小生も最後まで諦めたりしない!!人間になりたいという想いで小生はアルマになれた……想いが力になるというのなら……

「この力を、どうか主様に……!!」

 そう叫ぶと、ドラッキーの身体から淡い燐光のようなものが溢れ、強烈な光が周囲を覆った。
 光が弾け視界が戻ると、地面には想いの力を失い、モンスターの姿に戻ったドラッキーが横たわっていた。
 その光景にフリーデンは絶句する。

「なん……という……事を!!」

 呆然とし、ぐらりとフリーデンは顔を項垂れさせるが、瞬時にそれは、悪鬼の如き怒りの形相へと転じた。

「こんな……こんな!くっ……モンスター如きがぁっ!!力を失った貴様にもう用などない!!そこまで死にたいのなら!!望み通り貴様から殺してやる!!殺してやるぞ!!」

 紫黒の魔剣を携え、怒りの形相のままドラッキーへと歩み寄るフリーデン。
 それを阻止しようと、ラフォルはヒンダーハンドの拘束を振り払おうと必死にもがくが、敵わない。
 血走った眼でドラッキーを見下ろし、フリーデンはゆっくりと魔剣を振り上げる。

「……やめ……ろ…………」

 刃が振り下ろされんとしたその瞬間――

「やめろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」

 ――ラフォルの叫びに応えるように、想いが力に変わった。

「…………っ……がっ……」

 ラフォルの握る黒銀の剣は、その想いに応えるように、白き光を纏いフリーデンを貫いていた。

「馬鹿な……何だ……これは……!」

 愕然と問いかけるフリーデンに、

「イリス……武器…………」

 忘我となったラフォルが自然とその言葉を呟いて返す。
 ドラッキーのおかげなのか、イリス武器は突如としてその機能を取り戻し、力を発現した。
 想いの力そのものを刃とした、白く輝く剣『白想剣』――

「なん……だ?何なんのだ……それはっ!?」

 『白想剣』に腹部を貫かれ、逃れるように後ずさったフリーデンが血を吐きながら問いかける。だが、満身創痍のラフォルはそれには答えない。

「ごめんドラッキー……必ず、生きて帰ろう……二人で一緒に!!」

 想いの力を捨て、その姿をモンスターへと変えたドラッキー。ラフォルの握る『白想剣』はそんなドラッキーの想いに呼応して発現した。
 刀身から溢れる、暖かな想い。それ等は満身創痍だったラフォルに戦う力を行き渡らせる。そこから主を想うドラッキーの力を感じ取り、ラフォルは理屈ではなく、感覚でそれを理解した。
 白く輝く刀身を一振りし、剣を構え直す。

「これで……終わらせる!!」
「終わらせるだと!?馬鹿め、終わるのは貴様だ!!まさかそんな物で私を倒せるとでも思っているのか!?」

 咆哮と共に迫るフリーデン、黒炎の竜を撒き付かせた魔剣もまた、唸りを上げてラフォルへ襲い掛かる。

「あぁそうだ!!これは、そのための武器だからだぁぁああああ!!」

 想いと共に振り抜かれる白く輝く光刃。
 光剣と魔剣がぶつかり合ったその瞬間、凄まじい光が迸り、破壊神の力を宿した魔剣は、白き刃の前に砕け散った。

「馬鹿な!?……だが、この程度で終わりはせんぞぉぉおおおお!!」

 叫ぶフリーデンの手には新たな魔剣が生み出される。再び魔剣に黒炎を纏わせ、猛然と迫るフリーデン。
 だが白き光剣の一撃は、新たな魔剣も砕き、更にはフリーデンの纏う黒炎すらも斬り裂いた。

「……がぁっ……破壊神の力が!!全てを滅ぼす筈の力が……!!何故だぁああ!!」

絶叫と共にフリーデンの身体から黒炎が吹き荒れ、その力はより一層強まっていく。

「あんたがその力を使っている限り……オレには勝てない!!」
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れぇ!!全てを滅ぼす!!そのために私は全てを費やしてきた!!そうしてようやく手に入れたのだ!!ソレを……!!ソレを貴様なんぞにぃぃいい!!」

 溢れ出した力の全てがフリーデンの右腕に集まり、黒き怨霊の力が忌まわしく脈打つ。
 敵は、この一撃で全てを出し切るつもりだろう。ソレに応じるように、その手に輝く白き剣を掲げる。ありったけの想いを注ぎ込むと、呼応するかのように刀身は輝きを増していく。
 対するフリーデンは、纏わりついた破壊神の力で、その身を禍々しい黒に染め上げていた。

「終わらせてやる……!!コレで終わらせてやるとも……!!」
「あぁ……もう、終わりにしよう!!」

 白と黒が対峙し、互いにその想いを乗せた力の全てを開放する――

「消えてぇぇなくなれえええええええええええええええええええええええええええ!!」

 怨嗟の咆哮と共に吐き出された黒の力は、周囲の何もかもを消し去り、憎き赤の剣士へと迫る。
 それに合わせて振り下ろされた光は、巨大な光線となり、迫る黒の力とぶつかり合うと、尋常ならざる衝撃を生み出し鉄火山を震わせる。
 白と黒が鬩ぎ合い、互いに相手を飲み込まんと唸りを上げる

「いけぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええ!!」

 最後の咆哮と共に力は弾け、雌雄は決した。
 白き光は黒の奔流を貫くと、そのままフリーデンの身体を斬り裂き、その身に纏う邪悪な力を打ち払った。
 勝者と敗者、二人は互いを真っ直ぐに見据え、言葉を交わす。

「くっ……は……ははっ、終わ……り……これで……終わり……だと……」

 大量の血を吐きつつも笑い、立ったままの姿勢を崩さないフリーデン。だが、その顔に生気はなく、最後の一撃が、完全に彼を死へ追い込んだと感じさせる。

「…………あぁ……これで、終わりだよ……」

 ラフォルの言葉を受けて、フリーデンはどこか達観した表情になる。

「見事だよ……ここまで来て、私が敗北するとは……ね」

 それは自らの敗北を、そして死を悟っているからだろうか。先ほどまでの荒々しいほどの殺意は露と消えている。
 傷に痛む身体を抑えながら、ラフォルはフリーデンに問いを投げる。

「最後に聞かせてくれ……あんたは破壊神に操られて、こんなことをしたのか?」
「ふっ……馬鹿なことを……私がそんなものに心を明け渡すものか」
「……そうか」
「大切な人を失った……何を馬鹿な、と笑うだろう。だがな、私にとって、彼女は全てだった……全てだったのだ……」

 どこか遠い所を見据えて虚ろな眼で語るフリーデン。それはラフォルに向けての言葉なのか、それとも違う何かへ向けてか。

「DEMが奪い、同族は守りもせず、この世界が彼女を奪うと言うならば、それならば、この世界の全てが私の敵だ。だから、これは私の意思でやった事だ……これは、私に残された唯一の願いであり、呪いだ……」
「オレも……一歩違えば、貴方と同じような道を歩んでいたのかもしれない。だから笑ったりはしない……そして、だからこそオレは、オレの想いで貴方の想いを踏みにじった」
「ふっ……」
「世界の為なんかじゃない、ただオレ自身の為に」
「それで良い……何時か、君が絶望と憎しみ歪むその時が……楽しみだよ……」
「……!」

 ラフォルは突如フリーデンから投げ渡されたモノを受け止め、怪訝な顔を浮かべる。良く見るとそれは記録デバイスのようだ。
「持って行くが良い……それで私の行為を暴いても良い、君自身の為に使っても良い、自由に使え……」

 フリーデンは静かに言葉を口にした。その瞬間、突如轟音が響き渡る。

「……どうやら……この場所も終わりのようだな……私の想いを踏みにじり、勝ち得た命なのだろう?だったら……こんな所で死なれては困るな……早く行くが良い……」
「…………さようなら……フリーデンさん」

 ドラッキーを抱え、フリーデンに最後の言葉を告げ、走り去るラフォル。

「もしも、無事に君たちが生き延びたならば……その果てに得た答えを聞かせて欲しいものだな、君達が、その生涯を終えたその時に……」

 フリーデンは微笑を浮かべ、残された僅かな命の中、崩落する洞窟内で一人立ち尽くすのであった。



 崩落する洞窟の中。降り注ぐ落石を避けつつ、ラフォルはひた走る。
 平時の身体であればなんとかなったかもしれない。だが、フリーデンとの戦いで大きく消耗し、体力を使い切った今となっては、それもかなり厳しいようだ。
 腕の中にある、やっと取り戻した大切なぬくもり。自分は、ただひたすらこの子を守る為に戦い続けた。
 もう失いたくない、ずっと一緒に歩み続けていたい。ただ、その一心で身体を動かす。だが――
 何時の間にか身体が宙を舞い、地面に転がった。再び立ち上がろうと力を込めるが、ここに来てソレすら叶わない。それでも諦めず、這いつくばってでも前に進もうとする。
 だがその時、無情にもラフォルの頭上に巨大な落石が落ちてくる。これに当たればひとたまりもない。それを理解していながら、ラフォルに出来るのは地を這う事だけであった。

 ――諦めない……!最後のその瞬間まで、絶対に諦めてたまるか……!!

 落石が迫り、ラフォルの身体が押し潰されんとしたその瞬間――
 蒼き剣光が迸り、落石は塵となって消えた。煙の中からは良く見知った姿。

「情けねぇなぁ……!」

 金の髪にハチマキを巻いて不敵に笑う男、リュウドがそこにいた。

「勝ったのか?」

 満身創痍のラフォルに歩み寄り、リュウドはそう問いかける。

「ははっ…………当然」

 無様に這いつくばりながらも、笑って応えるラフォルに対し、リュウドもフッと微笑み返す。

「そうか。さぁ掴まれ、すぐ脱出するぞ」

 そう言ってラフォルとドラッキーを担いで走り始める。
 リュウドが走り始めて少し経つと、すぐに洞窟の出口は見えてくる。
 外の世界からは、ラフォル達を出迎えるように暖かな光が溢れ出していた――



著:詠羅

「『今からあれを倒す。どこからでも構わない。ジンはアレの動きを止めて、三人で一気に叩くよ!』」

 グランジが目を覚ました最中、拡張音声で響いたその声にジンはなぜか救われた気持ちになった。後ろにいたカロンも立ち上がり、イリス武器、メフィストフェレスの武器を担ぐ。

「でも、総隊長。グランジさんが怪我しちゃって」
「『怪我!? 大丈夫!?』」
「……キリヤナギ、俺は動ける。構うな」

 音声が一度途切れたのは躊躇っているのだろうか。しばらく間を置いた後、キリヤナギは更に続けた。

「『ごめん。グランジ、今、労わってあげる余裕はない。頑張れる?』」
「問題はない。続けろ」

 甲板のキリヤナギは、グランジのはっきりとした音声に安心していた。強がる彼はとても珍しい。なんでも容易くこなすグランジは、その分負けず嫌いなところがあるからだ。三人はきっと、このナビゲーションデバイスの電波の届く範囲にいる。ならばそんなに遠くではないと、キリヤナギはある程度目途は付けていた。

「今こちらから見ると、敵は魔法攻撃をやめてるんだけど。どういうことかわかる?」
「『そいつ、俺たちを狙ってるみたいで……』」

 ジンの声にキリヤナギは大方納得した。
 『神』は人間には興味がないのだ。
 だが『破壊神』は自分を攻撃するものへ攻撃した。つまり滅ぼされることへの危機感があり、『破壊神』は自分を滅ぼそうとする三人を狙っている。しかしそれは三人が『破壊神』に『興味』を持たれたことを示し、彼らは『興味』を持たれるほどの『何か』を行った。
 それは、イリス武器が『破壊神』に有効な武器であると証明されたに等しい。

「君たちの成果は十分だ。あとは一度だけ、最大出力でやるだけだよ」
「『だけど、どうやって……』」
「こっちで引き付ける」
「『え……』」
「敵が魔法を打つ前に、ジンが縛って二人が当ててくれればいい。僕がそれを押し込む」
「『そんなタイミング……』」
「ジン、僕は平気だ。不死身なの知ってるでしょ」

 そうだ。キリヤナギは不死身。普通のやり方じゃ死ぬことができない特殊な呪いを持っている。だがその呪いはあの『破壊神』の魔法に耐えれるのだろうか。でも今はそんなことを考えている暇はない。

「知ってます。すごく強いってことも……」
「『だから僕は大丈夫。そこの二人もジンより強いから、上手くやってくれるよ』」

 あんまりな言われ方だと思ったが、確かにその通りだった。しかもそれは、今まで身に染みてわかってきたことでもある。

「やります」
「『ありがとう! じゃあ、始めようか!』」

 キリヤナギから打ち出された作戦内容はこうだ。庭上から『破壊神』に向けて攻撃を行い、気を逸らしたタイミングでジンが縛る。そしてグランジとカロンが追撃し、魔法の発動前にキリヤナギが上から叩く。聞くだけならば単純だとは思ったが、魔法がどのくらいの時間で発動するかわからない。

「ルチフェロ。いけそう?」
「……うん。イリス粒子……大丈夫。撃てる」
「俺も準備できたぜ!」

 後ろにいるコウガも眼鏡の少女と一緒にいる。長いマフラーを下ろす彼女はコウガのイリス武器『パラケルスス』だ。

「ふむ……冥界のイリス粒子は肌に合わないが、どうにかやれそうだ。あの『破壊神』に一つ入れてやろう」

 短剣の姿をとったパラケルススは、コウガの手に直る。しばらく集中力を高め、意気揚々とそれを振るった。

「くらいやがれ!!『アゾット・ブレイバー!!』」

 七色の尖りが短剣から射出され、巨大な『破壊神』へと襲い掛かる。その光を地上にいるジン、カロン、グランジも確認し、一気に洞窟を飛び出した。そして、命中の悲鳴に合わせて、『破壊神』の視線がキリヤナギの庭へと向く。ジンに庭の位置はわからない。だが魔法陣が発生しないことに気づき、先ほどグランジに言われた時のように、『破壊神』がスキルを受けた時を頭に描いた。そして、今必要とされているスキル名を叫ぶ。

「『ウルフ・オブ・チェイン!!』」

 再び空中から、黒い無数の鎖が『破壊神』の動きを止める。ジンは自分の想像通りの事が起こり、その事実に衝撃を受けた。そしてイリス武器がどれほどまでに強力なものか理解する。この武器は、『頭に思い描いたことをそのまま形にする武器』なのだ。それを確認した二人が散開し、カロンがハンマーを振るって悪魔・ファウストを召喚する。

「『ボミング・フォール!!』」

 ファウストから放たれたものすごい数の砲丸が、空から『神』へと降り注いだ。そして、右手を負傷したグランジにもまた、その手に血のように赤い槍が出現する。

「お怪我の具合はよろしくて……?」
「大丈夫だ。……最後に頼む」
「存分に……!」

 アルカードの声に応えるように、グランジもまたそれを放つ。

「突き抜けよ!! 『ヴァン・スピアニア!!』」

 再び赤い、血のような矢がものすごい勢いで飛んでゆく。その様子をキリヤナギは船上で眺め、両手にはもうイリス武器を携えていた。『破壊神』はもうこちらを狙っている。
 怒りに身を任せ、一撃で倒すための魔法を唱えているのだろう。だからこそキリヤナギはそれを迎え撃つ。

「終幕の魔王・ルチフェロ。その力で、神を地へと堕とせ!」

『破壊神』の砲台からそれが発射される。真っ直ぐに向かってくる巨大な光線に対し、キリヤナギは最大限の力を持って叫んだ。

「……堕在せよ!! 『インテルメッツォ!!』」

キリヤナギのイリス武器、二刀のサタンブレイドから、赤く輝く巨大な刀身が伸び、上空から『破壊神』を殴りつけた。

「はぁあああああ!!」

概念を超えた圧力に『破壊神』は押され、その根元である異空間の中へ押し込まれていく。
 そして同時に『破壊神』から放たれた光線も空中の庭へと襲いかかった。真っ白なその光に視界が何も見えなくなる中、高い声が響く。

「わぁあああ!! 守って!!『ディスペル・フィールド!!』」

 後ろにいたぬえが、魔法に対しての絶対防御のバリアを展開。庭全体を囲うように張られ、光線を二分した。そして、手元に確かな手応えを感じたキリヤナギは、更に身を絞るような声で叫ぶ。

「神様!! お願いします!!」

 庭が光線を抜けた直後、キリヤナギの後ろから金髪の男が庭を飛び出す。右手に杖を携える彼は、冥界を守る土地神のエラトス神。
「我は冥界の土地神。エラトス、真名は『エイヴィヒカイト』。今この名をもって大地を荒らす『破壊神』を永遠の眠りへと封印する。我が権能よ!! 今こそ顕現せよ!!」
『破壊神』へ向かい庭を飛び降りたエラトスは、まるで魚のような姿に変貌し、青く、そして太陽のような光を放った――



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本編 | 【2019-04-26(Fri) 20:00:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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