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反逆の大地-Hells of Rebelion- 第十二話:偽りの神と王
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【連載】詠羅×リュウド×ラフォル リレープロジェクト
反逆の大地-Hells of Rebelion-

第十二話:偽りの神と王

*目次
第一話:始まりの離別
第二話:世界のあり方
第三話:捜索と出会い
第四話:冥界と言う世界
第五話:2つのあり方
第六話:偽りの仮面
第七話:結論。そして旅立ち
第八話:開戦
第九話:機械の人間
第十話:孤高なる決意
第十一話:神の審判


 
著:リュウド

 冥界にて皇国軍、改革軍、そして治安維持部隊の皆が、必死に破壊神と戦い持ち堪える中。封印の間にて、ラフォルとフリーデンの戦いは続いていた。

「どうした。諦めるのは流石に早いんじゃないか」

 圧倒的優位から来るであろう自信に満ち溢れた言葉。フリーデンはあえて致命傷を避け、ラフォルをただ痛めつけるために攻撃していた。
 だが、確かにその自信は過信等ではない。人の限界域を超えたそれは、魔神と言っても過言ではない存在となっている。
 ラフォルは必死にフリーデンの攻撃に応戦するが、その力の差は歴然としていた。ラフォルは苦痛に耐えながらも、それでも勝機を得ようと必死に頭を巡らせる。
 ――理由は分からないがイリス武器は起動しない!なら別の方法で、何がなんでもこの状況を打開する何かを見出さないと……!
 単純な力では対抗出来ない、頼みの綱のイリス武器は不発、敵のデタラメな攻撃を掻い潜りながら剣撃を繰り出そうとするが、あまりの勢いに、ラフォルの身に付けた技巧だけではただ押し込まれるのみであった。

「がぁっ!!」
「ハハハハ!良いぞ……まだ希望は捨てていないようだな。そう簡単に諦めてもらってはつまらない……!!」
「ぐッ……!そう……だ……諦めたりなんか、しねぇ……よっ!!」

 転身して剣光を奔らせるが、紫黒の魔剣に防がれるだけで何の意味も成さない。

「私は戯れているだけでも目的が達成されるのだよ!そら、急がなくて良いのかぁ!?」
「ちっ!!」

 ラフォルは舌打ちすると間合いを取り直す。

「だが、確かに私も、自分の矜持のために君を圧し潰しておく必要がある。手ぬるい攻撃もこれでおしまいとしよう……」

 そう言うと、周囲のオーラがフリーデンに収束していく。
 フリーデンに収束したオーラは、身体の内側から食い破るように、闇色の獄炎となり溢れ出す。自身の命を削り、爆発的に戦闘力を引き上げる捨て身の技、ソウルサクリファイス。
いつしか闇炎は、龍のような形を作り出し、フリーデンの右腕を呑み込んでいく。
 凄まじいほどの力を総身に宿したフリーデン。その踏み込みが地面を陥没させ、衝撃波を放ちながら突進してくる。
 反射的に黒銀の剣で防御するが、紫黒の魔剣がぶつかり合った瞬間、ラフォルはその全身に凄まじい衝撃を受け無様に吹き飛ばされる。
 派手に地面を転がりながらも、剣を地面に突き立てどうにか立ち上がる。
 まだ攻撃を防ぐ体力は残っている、だが、あと何回凌げるか。ラフォルは血と胃液を吐きながらも、ちらりと周囲を確認する。

「よそ見をしている暇が君にあるのかな!!」

 再び、壮絶な勢いで突進を仕掛けてくるフリーデン。左腕の盾を構え、ソレを支えるように右腕を十字に重ねて迎え撃つ。だが、フリーデンが下から擦り上げるように放った強大な斬撃の前では、その防御もほとんど意味を成さず、凄まじい勢いで一直線に外壁まで吹き飛ばされる。激突の衝撃で壁面が砕け砂煙が立ち昇り、ラフォルの姿も飲み込まれていった。

「フハッ……アッハッハッハッハッハ!全く……実に、実に呆気の無い幕切れだったよ!どれだけ力を身に付けようとも、所詮は人間という事だ」

 立ち昇る煙を見据え、嘲笑するフリーデンだが、ふと違和感を感じてピタリと足を止めた。

「何……」

 立ち昇る煙の中、現れた姿は見間違おうはずがない。それは、ドラッキーを抱きかかえたラフォルの姿だった。

「ぅ……げほぉっ!……はぁ……助かったぜ……あんたの……おかげだ」

 皮肉を込めて、ラフォルは苦悶に歪んだ顔に、無理矢理笑みを浮かべそう言った。
 ラフォルはフリーデンの猛攻によって、もはや体力が底を尽きた状態だった。自力でドラッキーを助ける術がないに等しい状態。だからこそ、フリーデンの攻撃を敢えて受け、その勢いを利用して祠からドラッキーを救出したのだ。

「はは……こんな単純な事に気づかないなんて……本当に調子に乗ってたんだな……?」
「……ぐ……人間風情が!!よくも!!よくもぉぉぉぉおお!!」

 そして、このラフォルの機転が破壊神の復活の儀式に大きな楔を撃つこととなった。
 ドラッキーを介して供給されていた想いの力。それを失い、破壊神の圧倒的な気配は急速に小さくなりつつある。

「……ドラッキーは……返してもらったぞ!」



著:詠羅

高速で鉄火山に向かう庭の上で、キリヤナギはずっと南に出現した『破壊神』を静観していた。まだ距離が遠く蜃気楼のようにしか見えないが、ゆっくりと空を仰ぐその姿に、言葉すらも浮かばない。見ている最中『破壊神』が落雷を落とし、炎で森を焼いているのがわかった。それは今、鉄火山だけに留められているが、もしもあれが動き出せば何が起こるかわからない。

「……あれが隊長の言う『破壊神』?」
「コウガ……たぶんね、思ったより小さいけど……」
「ほう、……なかなかいい見世物じゃないか」

 キリヤナギの後ろから、金髪の髪を結わえる男性が出てくる。自称冥界の土地神、エラトスは、両手でティーカップを持ち、空の向こうにあるそれを優雅に鑑賞する。

「あれはまだ一部だ。きっと封印の鍵が不完全だったんだろう。出口が小さ過ぎて出られないんだろうな」
「あれが一部?」
「だが、時間の問題か……お前の言うイリス粒子が、鍵と同じ力を再現しているとすれば……それが完全になった時、全てが出てくるだろう」
「……今なら、まだどうにかなるって事ですか?」
「ふむ……弱らせればなんとかなる……か?」

 曖昧だなぁ、とキリヤナギは呆れながらに思う。この距離から見てもその力はすさまじく、生い茂っていた森がここから見るとすでに火の海だ。落雷も継続的に発生し、そのわずかな暴風がここまで流れてくる。三人で静かにそれを眺めていると、突然その巨大な姿を黒い鎖が縛り上げ、赤い竜巻がそれを飲み込んだ。
 二機のイリス武器のスキルに、キリヤナギは思わず身を乗り出すが、その力で『神』は傷一つ付かず、むしろ怒りを買い、空からの一斉攻撃が始まっている。またこれによって大気の乱れ、庭がひどく揺れた。

「……まさに『破壊神』。目に焼き付けておけ、あれがお前の敵だ、キリヤナギ」

 高く、まるで歌うような高い鳴き声が暴風に乗って響いて来る。仲間を呼ぶような、助けを呼ぶような声だが、あれをこれから相手にしなければならない。

「ルチフェロ」

 徐々に近づいてくる最後の戦場をキリヤナギは目前とした。



「くっそ、歯が立たねえー!」

 大地が荒れ、空が淀み、天空からは落雷が降り注ぐ。すでに周辺の草木は燃え尽き、林は火の海に包まれていた。そんな赤い炎の中を、カロンとジンの二人は安全地帯を求めて走り続ける。

「グランジさんは!?」
「その前に自分の心配しろ!!」

 足元では地割れが起こり、カロンに手を引かれてその場から離れる。だが離れれば離れるほど『破壊神』とは距離が空き、攻撃が届かなくなってしまうのは間違いない。カナトのような、空を飛べるタイタニアでなければ、そもそも攻撃すら当てられないのではないだろうか。
 空を見上げれば、再び赤い魔法陣が浮かび上がってきて、まるで見えているかのように狙ってくる。回避するため、ジンはさらに速度を上げるものの、爆風に耐えきれず、カロンと共に吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられてしまった。服に燃え移った火を振り払い、再び立ち上がって走る。再び岩陰に隠れて小休止をしていると、突き出した丘の上に、まっすぐな目で『破壊神』と向き合うグランジがいた。
 射程がどこまであるかわからない敵を目前にして、開けた場所に立つ彼は、まるで的になっているようにも見える。

「アルカード」

 武器を再び出現させ、腰を落とす彼は敵に極限の殺意を向けているようにも見えた。
そして、それを待っていたかのように『破壊神』の魔法陣がそちらへと向く。

「グランジさん!! 危ない!」

 ジンが叫んでも彼は動く気配がない。両手で赤い槍を構え、火の海の中心でそれを構え続ける。

「俺は、あいつの世界を……守り切る!! アルカード!!」

 グランジの声に応えるように、彼のアルカード・スピアが突然輝きを放ち始めた。そしてそれは砲台のように、エネルギーが集約されていく。

「突き抜けよ……! 『ヴァン・スピアニア!!』」

 血のように赤い鋭利な矢が、赤い槍の先端から発射される。高速で空気を割いていったそれは、着弾と同時にものすごい風圧を起こし、その周辺の木々を吹っ飛ばした。何が起こったか理解できない、だが着弾の直後『破壊神』の声が歌から悲鳴に変わり、ジンは思わず耳を塞いだ。その命中を確認した瞬間に、グランジの上空にあった魔法陣が大爆発を起こし、彼が高台から一気に吹っ飛ばされる。

「グランジさん!!」

 彼ならば受け身を取ると思ったのに、その動きはあっけなく無防備に落下していく、乗っていた岩が砕け、その瓦礫が彼に襲い掛かりそうになった時、ジンは銃を抜いた。そして奇跡を信じ、撃つ。

「『インパクト!!』」

 最大威力の弾丸は、グランジの真上でそれを砕き、破片を周辺に撒き散らした。咄嗟の行動に自分を疑ったが、それは確かに命中して、地面に叩きつけられたグランジを守った。
 茫然として動かなくなったジンを追い越し、カロンが倒れたグランジを助け起こす。

「一旦避難するぞ!」
「ど、どこへ……」
「いいから来い!」

 山のありとあらゆる場所を走ったが、一瞬視線が途切れるだけで『破壊神』から隠れられる場所はどこにもなかった。開けた場所に出れば直線で狙われ、陰に隠れれば上から狙われる。上を隠せば地面が割れる。とんでもない力で、対応の仕方が分からない。
 言われるがまま、『破壊神』の魔法を掻い潜り、カロンは洞穴の中へ飛び込んだ。そしてジンもまた中へと押し込む。

「ここ……」
「動くなよ。大丈夫かはわからないが……」

 それは安全地帯と言えるのだろうか。しかし、外の魔法はまるで探すかのように他の場所を狙い始め、こちらを見失ったようにも見える。

「アレから逃げるには周辺を全て囲われてる場所じゃないとだめだ……一旦休むぞ」

 やっと一息をつけたことに、ジンはほっとするが、後ろを見れば、グランジが頭から血を流して倒れている。強打したのか。ジンは咄嗟にウァテス系の魔法『リカバリー』を唱える。

「へぇ~、見ないうちにいいスキル覚えたんだな」
「デュアルで……本職には及ばないっすけど、これで出血はどうにか……」

 完治まではできないが、止血は可能だ。ジンはその上で、そっとグランジの体に手を当て、魔力で体を探っていく。月光花に少しだけ教えてもらった、ウァテス系における身体損傷の程度を調べるためのチェックだ。部隊のウァテス系は、自分の魔力相手の体に通すことで、骨が折れていないか、筋肉が損傷していないかを感覚で探る。骨のわずかなヒビなどは分からないが、完全に折れていたり、筋が切れていたりすれば、それは明確な違いとして分かる。ゆっくりと右手をずらし、確認していくとグランジの左腕の付近で手が止まった。

「腕が、ちょっと折れてるかもしれないっすね……」
「わかんのか?」
「えっ、まぁなんとなくですけど……、とりあえずなんか棒みたいの拾って来てもらえないっすか? 一応、応急処置用の包帯あるんで」
「わかった。『クローキング』で探してくる。ここを動くなよ」

 そう言ったカロンはものの数分ほどで、倒れた木々から太めの枝を採取し、洞穴へ戻って来てくれた。ジンはそれをグランジの腕に括り付け固定し、ようやくほっと息をつく。痛みで気を失ってしまったのかは分からないが、グランジが最後に放ったあのスキルの威力はとんでもないものだった。

「ジン」

 突然後ろから声をかけられたかと思うと、そこにはジンの目線に合わせ腰を下ろすワーウルフがいる。またカロンの横にも、キセルを加えた咥えた少女が、気怠げに何かに座っていた。

「ルナ……? カロンさん、その子は?」
「ごきげんよう。お馬鹿さん」
「俺の武器、メフィストフェレスだ」
「さっきから見てると、あんたが一番のマヌケみたいね」
 初対面にしては散々な言い方だが、守られてばかりいるのを見ると確かにそうかもしれない。カロンの言葉に一瞬混乱したジンだったが、ワーウルフを見てピンとくる。この少女がカロンのイリス武器なのか。

「まぁいいわ。イリス粒子が戻ったわよ」
「戻った?」
「あぁ、理由は分からないが……さっきグランジが、バカみたいな威力出した時には戻ってたんだろうな」

 カロンの言葉に、ジンは何も言わず納得した。言われるとありえないぐらいの威力であり、あの時点で効果は戻っていたのか。だが振り向けばグランジは未だ意識を失っている。熱は出していないようだが、放っておくわけにはいかない。

「……カロンさん」
「いいぜ。起きるまで待つんだろ? どうせ何時までとか言われてねぇしな」
「ありがとうございます」
「……俺もあんまり相手したくねぇや」

 確かにジンも嫌になるぐらい強いし、相手にしたくはない。『破壊神』と呼ばれてきたのは頷けるし、あれがもし世界を自由に動けていたら何もかも破壊し尽くすだろう。ここで止められているならまだいいのだろうか?

「そういえば、あれ動かねぇけど、なんでだろうな」
「え……」

 確かに動いていない。ずっと尻尾のようなものが空を仰いでいるだけで、移動する気配もなく、不思議に思う。

「まだ全部出て来てないのかもな……」
「全部……?」

 カロンの意味深な言葉に、ジンは背筋が冷えた。もしあれが一部なら、今の強さはまだ全力ではないことになる。考えたくないと思いジンは思わず首を振った。

「俺たちがどうにかしないといけねぇのか……」

 できるのだろうかと、ジンは返す言葉が見当たらない。本当ならもっと前向きにいかなければならないのだろうが、グランジが倒れ、彼の最大出力の武器ですら、傷一つ付いていないようだった。あんなバカみたいな敵を、相手にすることなどできるのだろうか。
 そんな時。グランジのポケットから何やらバイブレーションのようなものが響く。彼の『ナビゲーションデバイス』だ。冥界には通信環境がなく、電波は圏外で届かない為、届いたのは周辺から発信される無線通信となる。一瞬、ジンが出るべきか悩んだが、その振動に合わせて、グランジの右腕が、動いた。
 ゆっくりとポケットに手を伸ばした彼は、重そうな体を起こし、ジンの助けを借りながらそれに出る。そして音声拡張を使って、三人に聞こえるよう操作した。

「『グランジ、みんな、無事かい?』」

聞き慣れた声に三人の意識が持っていかれ、返事を待たず、それは続けられた。

「『今からこれを倒す。手伝って!』」

 それは高速船によって電波の受信範囲まで近づいた。キリヤナギだった。

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本編 | 【2019-04-19(Fri) 20:00:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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