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外伝:神隠し 第三話

神隠し 第三話

著:結城隆臣さん

Семь звездシリーズ 

ゲスト:ジン、カナト、ホライゾン (敬称略

第一話
第二話



 
それから数日が過ぎた頃だ。
ある日の昼過ぎ、オルフェが務めるこの屋敷に一人訪ねる者が現れた。
オルフェは最初気付かなかったが、婦人が長い時間対応している気配を感じ、様子を見に行くと一人のエミルの男がメモ帳を片手に玄関に立っていた。
あとをついてきたのか、ルギーがいつの間にか自分の後ろに立っている。
「お客さんかな?」
ルギーがそう呟きながらこちらを見上げる。
オルフェは嫌な予感を覚え、足早に婦人のそばに近寄った。
「すみません、奥様」
「あら、オルフェ先生」
急に長身の男が現れたことに驚いたのだろうか、エミルの男が一歩後ずさり婦人と距離をとる。
この男はオルフェのよく知る人物だった。
何故ここにいる……。
内心焦りながらも、冷静に対応をする。
「そちらの方は?」
「この辺りに調査に来ている治安維持部隊の方だと……」
「治安維持部隊、エミル、ガンナーのジンと申します」
エミルの男……ジンが上着の胸ポケットからデバイスを取り出し身分を示すデータを表示する。
その際にチラッと見えた銃にルギーが反応した。
「お兄ちゃん! カッコいい銃だね!」
「あら、ルギー、勉強は?」
「いまきゅーけいしていたところだったんだ。ねえ、ねえ、お兄ちゃん見せて見せて!?」
「え、えっとぉ……」
ジンが苦笑しながら戸惑ったように顔を掻く。
見えた銃は烈神銃・サラマンドラ、評議会のランカーがもてる銃である。
何らかの調査でここに来たのであろう、しかし、このままここにいられたら非常に困る。
そう感じてずいっと身を乗り出す。
「すみませんが、この辺りにはなんのご用で?」
オルフェはジンを牽制するようニッコリと微笑んだ。
「あ、はい……ちまたで子供がいなくなる事件が多発していまして、こちらでも被害がないかと……」
「それなら、この辺りではそういう話は一切出ておりませんね。そうですよね、奥様」
「そ、そうね。そうだわ。それにしても、そんな怖い事件が起きているのね。新聞を私も読むようにしないと……」
婦人が少し恥ずかしそうに頬を染めながら答える。
オルフェは婦人とジンの間に割り込むように立つと、微笑んだままで冷ややかな瞳をジンに向けた。
「今は、この屋敷の主人も留守にしておりますし、お仕事とは言え、ご婦人を長時間立たせたまま質問を浴びせ続けるのは紳士としていかがなものでしょう。申し訳ありませんがお引き取り願えませんか」
「わ、分かりました。すみません、お邪魔いたしました」
ジンが慌てたように帰るのを見送ったあと、婦人の方を振り返るとホッとしたような表情でこちらを見つめた。
「ありがとう、よくわからない質問を何度もされて、困っていましたの。助かりましたわ」
「どういたしまして」
「ちぇー先生のせいで銃見れなかった!」
「こら、先生は私を助けてくださったんですよ、そんなことを言ってはいけません」
「はーい。先生、勉強の続きしようよ!」
ルギーがオルフェの袖を激しく引っ張る。
オルフェは婦人にどんな質問をされたのか聞きたかったが、諦めてルギーの部屋へと戻った。






その翌日から日中近所でジンの姿を何度か見るようになった。
婦人が訝しげるように、リビングから外を眺める。
「一体何なのかしら……」
「本当に、何なのでしょうね……」
オルフェは心の中のイライラに蓋をかけようと努力をした。
これというもの、あともう少しでこの主から手がかりを得られそうだという時に、治安維持部隊のジンが現れたおかげで主人が警戒し情報を得られなくなってしまったのだ。
しかも、どうやらジンが調べていることはこちらと全く同じものらしい。
オルフェは危険を承知で賭けに出ることにした。


ある日の夜、オルフェはデバイスにとある電話番号を打ち込んだ。
『もしもし、どちら様ですか』
懐かしい声が通話に出る。
オルフェはその声の主が聞いたことがある声音で答えた。
「一度しか言わないからよく聞け。深夜1時過ぎ、西アクロニア平原のクエストカウンター裏に来るんだ」
『え? そ、その声……!』
スピーカーから驚いたような声が聞こえる、だが、そんなことも厭わずオルフェは通話を切った。
そして、その待ち合わせの時がやってくる。
オルフェはクローキングでその場所に向かった。
そこにはジンとその傍らに見慣れたアークタイタニアが立っていた。
他に誰もいないことを確認し、ジンの目の前で姿を現すと二人が驚いたような表情をこちらに向けてきた。
「誰だ……!」
ジンが目を細めてこちらを睨む。
「久しぶりだなぁ、ジン。カナトも元気そうでなによりだぜ」
にっと笑いかけると二人が互いに顔を見合わせた。
「その口ぶり……まさか……」
「ああ、そのまさかだ。久しぶりだなぁ」
二人共目を丸くして口をパクパクと動かしている。
当然だな、とオルフェは思った。
「か、カロンさん……?」
ジンがゆっくりとこちらに指を差す。
オルフェ……カロンはゆっくりと頷いた。
「ああ」
「な、なるほど。姿が違うから……いったい誰かと、驚かせないでください……」
カロンはほっと胸をなでおろすカナトの方に視線を向けた。
カナトは何かと察しがいい、突然いなくなったとされるカロンが別人の格好をして現れたとなれば、どういうことなのか怪しむに違いなかった。
だが、さすがにカナトにまで素性を明かすわけには行かない。
ジンが説明してしまわないよう、釘を刺す上でも適当にごまかしておいたほうがいいと、カロンは思った。
「ちょっと評議会の極秘の仕事で潜入捜査ってのをしているのさ、似合うか?」
「あ、ああ……そうなのですか。驚きました。よくお似合いです」
「ありがとう。で、まぁちょっと身内にも秘密にしてたから、ジンがこう驚いてるって訳だ」
「そう、なんですね……」
カナトが戸惑いながらゆっくりと頷く。
カロンは視線をジンに戻した。
「ジンちょっとこの潜入捜査のことで話がある。ちょっとばかしカナト、離れていてくれないか? 極秘だから部外者に聞かれちゃ困るんだよ」
「分かりました」
カナトが充分離れたあと、カロンはジンの肩をがっしと抱えると声をひそめた。
「……お前、ダウンタウンの神隠しの事件追ってるな」
「なんでそれを……」
「こっちも組織に依頼があって同じの追ってるんだ。あともう少しで解決なのに、お前が不用意に現れるようになったから、あちらさんが警戒し始めて仕事がやり辛くなった」
「……やっぱりあの家の住人が犯人なんすね?」
「ああ、それの証拠ならもう掴んである。今俺は、子供たちがどこに売られたのかを調べている」
「そうだったんすか……」
「そこでだ、犯人逮捕の手柄とさらわれた子供たちの救出の手柄を評議会に譲る。だから、お前はもうあの家の周辺に来るな」
「え、そ、それって……」
「いいから、来るな。いいな? 絶対にだ」
「けど……」
「ジン、お前は仕事が出来る使える男だ。だが、人に探り入れるようなのは下手だ。はっきり言ってこのままだと犯人に逃げられて子供たちは見つからずに終わる」
「……」
「迷惑なんだ、絶対に邪魔するな! いいな!」
「……分かりました」
ジンがしゅんと子犬のように身を縮めてみるみる小さくなっていく。
カロンは言い過ぎたかなとも思ったが、人命がかかっている故、どうしようもできない。
「連絡はこちらからする。大体夜になったら電話をかける。お前の方からはかけてくるなよ。一応番号を教えておくが……」
持っていたメモ帳に手早く番号を書きジンに押し付けるように渡して、カロンは急いでクロキンを纏った。
「帰る。また連絡する」
呆然と立ち尽くすジンを尻目に、カロンは急いで屋敷へと戻る。
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頂き物 | 【2014-06-12(Thu) 02:29:07】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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