プロフィール

詠羅P

Author:詠羅P
Lupi鯖:ダウンタウン
アイコン:セロさん

*更新情報
eco_JK ログ
カウンター
最新記事
お話一覧(時系列順
カテゴリ
拍手
web拍手 by FC2
ブログ内検索
リンク
JKツイッター
最新コメント
アンケート
QRコード
QR
権利表記

(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

外伝:神隠し 第二話

神隠し 第二話 

著:結城隆臣さん

Семь звездシリーズ 

ゲスト:ジン、カナト、ホライゾン (敬称略

第一話



 

「そうです、そう。すばらしい、よくできましたね!」
「やったー! 解けた!」
深紅の絨毯に、深青の壁掛け、高級そうなデスクと椅子、ふかふかの天蓋付きのベッド。
そして、卓上に置かれた白くきれいな紙に、羽ペン。
そのペンを握る少年がニコニコと笑いながら、ひとりの男を見上げた。
肩にかかる紺色の髪、アメシストの瞳、背中にある一対のコウモリ型の羽根、そして矢印型の尻尾。
イクスドミニオンのこの男性は、ジャン・ジャック・オルフェと名乗っている。
オルフェはこの家に家庭教師として住み込みで働いていて、年は20代後半と言った頃だろう。
「オルフェ先生! 勉強って面白いね、もっといろいろ知りたい! 教えてよ!」
足をジタバタとぶらつかせながら、笑顔を少年がオルフェに向ける。
この少年はこの屋敷の一人息子、今年7歳になる可愛らしいエミルの男の子である。
「これはこれは、おぼっちゃま。もちろん教えて差し上げますよ、何なりと」
ニッコリと微笑んでオルフェが少年の頭を撫でた時だ。
「ご主人様がお戻りです」
ノックとともに現れたエミルの女中が、頭を下げながら告げる。
「父さまが帰ってきた! 晩ご飯にしよう、オルフェ先生!」
椅子から飛び降り、少年が駆けて行く。
オルフェはゆっくりとそのあとに続いた。
玄関では主人がその妻である婦人と抱擁を交わしており、そこに少年が抱きつく。
「お帰りなさい、父さま!」
「ただいま、ルギー」
「ルギーったら、もう……」
その家族の団欒を、オルフェは離れて微笑ましく見つめた。
主人は恰幅の良い体つきをしており、鼻の下にひげを生やしていた。
年は50代前半ぐらいのエミルだ。
対して婦人の方は若く、オルフェと年は大して変わらないだろう。
スマートなウエストに反するふくよかな胸元と腰回りが特徴である。
こちらも種族はエミルだ。
「おかえりなさいませ、ご主人様」
声をかけると主人がこちらの方を向いて頷く。
「オルフェ先生。出迎えありがとうございます。今日も息子は勉強をちゃんとしておりましたかな」
「はい、優秀で飲み込みが早く、貪欲に知識を得ようとしている様はたいへんご立派です」
「それはすばらしい。ルギー、その調子でいろんなことをオルフェ先生から学ぶといい」
「はい! 父さま! オルフェ先生の勉強は面白いんだ! 今までの人とはぜんぜんちがうよ~」
「そうかそうか、オルフェ先生、息子を頼みます」
「かしこまりました」
主人がリビングへと足を向け、それに続いて婦人と少年―――ルギーが続く。
その後をオルフェは追い、リビングのドアを静かに閉めた。



「今日も夜にまた出る」
主人がリビング中央にあるテーブル席に腰掛け、新聞を開きながら婦人に声をかけた。
正面に座った婦人が寂しそうな表情を浮かべながらため息をつく。
「お忙しいのはわかりますが、なんとかなりませんの?」
「私が行かなければ現場がなり行かないのだ……。しかたあるまい」
「父さま、お仕事おいそがしいの?」
「ああ、なかなかお前とも遊んであげられないな」
「大丈夫! オルフェ先生がいるもの!」
「あははは、そうかそうか……」
普通の家族、普通の団欒。
それをオルフェは表面上暖かく見守りながら、内心、主人の隙を伺っていた。
悟られないように、細心の注意を払い日々を過ごす。
それはとてもストレスのかかることではあるが、致し方ない。
この主人は巷を騒がしている神隠しに関わる重要な人物とされていた。
犯行を行っている確証はとうに取れてはいるのだが、この人物が取引した相手の情報がなかなか見つからない。
その情報をオルフェは狙っているのだ。
しかし、一介の家庭教師に過ぎないオルフェが何故そのような情報を狙っているのかはまた別なお話である。
夕食が済み、息子が眠りに落ちたのを確認した主人が、共を付き添わせ家を後にした。
その様子を隠れて見ていたオルフェは、そのままリビングへと向かう。
そこでは婦人が1人ソファーに腰掛け読書をしていた。
気配に気付いたのか、婦人が振り返る。
「あ、あら、オルフェ先生」
「失礼、お邪魔してしまいましたか」
「良いんですのよ、こちらにおかけになって。何か飲み物でも用意させましょう」
「いえ、お構いなく……」
ソファーに促されテーブルを挟むように向かい合わせで腰掛ける。
「先生、ルギーがご迷惑かけていないかしら?」
本に栞を挟み、それをテーブルに置きながら婦人が訪ねてきた。
「いえ、全く。将来に期待出来る良い息子さんですよ」
「そう? それなら良いのですけれど……。あの子今までの先生方をことごとく辞めさせてしまって……」
「……すみません、正直、最初は少しやんちゃなお子様だとは感じていました」
「そうでしたの? ごめんなさいね」
不意に人影がテーブルに映りこみ、その方向を見ると女中が暖めたワインを持って立っていた。
「ありがとう、そこに置いてくださる? 今日はもうお下がりなさい。遅くまでありがとう、お疲れ様。」
女中がテーブルにワインを置き、軽く会釈をすると部屋を後にする。
それを見送った後、オルフェはゆっくりと手を組んだ。
「そういえば……」
「いかがされました?」
「弟さんか妹さんが欲しいと……言っておりました」
「あら、あの子ったら、そんなことを先生に? お恥ずかしい」
「お忙しいご両親に気遣ってのことでしょう」
「……。本当のことを言うと、いつも夜は一人で寂しかったんです。あの人は、昼も夜も仕事仕事と……。浮気かとも思いましたの。けれど、本当に仕事で忙しいみたいで……」
「大変そうですね」
「ええ、体を壊さないかと心配ですわ。それに比べたら私の気持ちなんて……。……あなたが来てくださってからはこのように会話が出来ますでしょう? それで少し気が紛れますの。ありがとう」
「いえ、どういたしまして」
オルフェは微笑む婦人に笑顔で返した。
もう少し婦人の心に踏み込み、情報を得たい気もするが、来たばかりの家庭教師の身で相手も驚くだろうし、距離を取られても困る。
オルフェは彼女の様子を伺いながら世間話などを続け、適当な頃合でそれを終えると自室に戻り床に就いた。

web拍手 by FC2
頂き物 | 【2014-06-12(Thu) 02:28:31】 | Trackback(-) | Comments:(0)
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する