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外伝:カロンの初恋の話
著者:結城隆臣さん

出演:カロンさん、カルネオルさん ロケ地:カロンさん宅

あらすじ
闇鍋にノックアウトされたカルネを背負い帰路についたガーヴィン。
思いもせずにお泊まりすることになったカルネを待ち受けていたのは……


 ――― 太陽が窓から強い日差しを室内に降り注ぎ、カロンはその眩しさで目を覚ました。
紫の涼やかな瞳、濃紺の跳ねる癖毛、露わになった引き締まった上半身と、黒いズボン。
背中には一対の蝙蝠のような羽と、お尻からのしっぽは…ドミニオンのそれそのものだ。

首を左右に動かして、肩を鳴らす。
ああ、疲れた……と、思いながらぼーっと部屋を見渡す。
飾り気のない室内に、シングルベッドが2つ、壁際にそれぞれ置かれただけの寂しい寝室。
向こう側のベッドはもう1人客人がいたのだが、いつものアークタイタニアの少年ではなく、本日は違ったお客様が静かに寝息を立てている。

年はカロンよりもかなり下、カロンがもっていた一番小さいTシャツをワンピースのように羽織り、これもまたカロンの服なのだが―――だぼだぼのハーフパンツを無理矢理はかされたようなそんなていですうすうと寝息を立てている。
背中には小さな白い鳥のような羽が一対、頭には金糸のわっかが浮かぶ。
そう、彼もアークタイタニアだ。

名前をカルネオルという。評議会のメンバーの1人でランキングは10位。
ちなみにカロンは2位である。

うーん……と、カルネが寝返りを打ったと同時に掛けてあった布団がバサリと落ちた。
やれやれと、それを直してるとカロンはユニットバスの方へ向かった。
ユニットバスは寝室の壁向こうにある。
寝室から廊下を歩いて進むと途中にキッチンとリビングがあった。
シャワー後にコーヒーでも飲むかとついでに立ち寄りコンロにやかんをセットする。

取りあえず……昨日の闇鍋は酷かった。
ユニットバスの浴槽内に入るとシャワーの蛇口を勢いよくひねり熱めのお湯を頭から被った。

昨日は、評議会のメンバーで集まれる者だけ集合し、闇鍋を催していたのだ。
食材はそれぞれ好きな物をもってきていた。
どの食べ物が合うとかそんな食べ合わせなんか気にせずに個性的なメンバーが個性的な食材を持ち込んで1つの鍋にぶち込んだから、大変なことになったのは言うまでも無く。
カルネがカロンの家に泊まっているのも全てこの闇鍋のよるところであった。
早々にダウンしカロンが介抱していたせいもあって、家に連れてくることになってしまったのである。
しかし……参加しなさそうな顔まで良く揃ったもんだ。
ナハトは来るまいと思っていたのに、来るとはなぁ……以外と物好きか。
そんな事を考えながら、身体を拭きラフなシャツにハーフパンツという出で立ちに着替えて外に出る。

ユニットバスからで、リビングに向かうと、そこに強張った表情で突っ立っている人物がいることにカロンは気付いた。

「ルフィアン」

その人物の名を呼ぶ。
声が聞こえたのだろうか、ゆっくりとブリキの人形のようにこちらへ向き直る。
ピンク色の髪をばっさりと切り落としてしまい、今はショートヘアだが相変わらずの女の子のように見える顔のせいで可愛らしい。
年はカルネよりは上だが、カロンよりは下、細身のまだ幼さが残る身体と、背中に一対の天使の羽、頭には光のわっかが浮かぶ。
Tシャツにジーンズ、スニーカーと言ういかにも少年らしい格好だ。
彼こそが『いつもの少年』である。

「ビー……寝室に誰か、いるよ?」
「あー……ああ。今やってる表の仕事の仲間だ。昨日闇鍋してて、早々にダウンしたから置いて帰るのも何だし持ち帰ったんだ」
「び、びっくりした……そうだったんだ」

安心したような表情を浮かべるルフィアンをリビングダイニングの椅子に促し、カロンはその正面に座った。

「起きてきたら……あっちで俺はカロンて名乗ってるから、そう呼んで」
「う、うん……。あ、それだったら……僕は帰るよ。いない方がやりやすいよね?」

席を立とうとするルフィアンを止めようと、片手を伸ばしたその時だった。

「……あれ? カロンさん……が、いる……。ここは、何処ですか?」

声に振り返ると、半分寝惚けた表情でひょっこりリビングに顔を出したカルネがいた。
いかにも着せられた感のだぼだぼの洋服をずり下がらないように抑えているのか、片手を腰に当てながら、反対の手は小さなタオルケットを引きずっている。

「カルネ、起きたのか、ここは俺の家だぜ? 悪いけど、俺の服に勝手に替えさせて貰った。……昨日のこと思い出せるか?」

席を立ち、服を直してやりながら、自分が座っていた座席に案内する。

「昨日……昨日は、闇鍋で……リゼさんがキノコを……」
「ああ、ああ……そこまで思い出せれば上出来だ、何か飲み物を用意するよ」

シュンシュンシュンとやかんが音を立ててカタカタと揺れ始める。
カロンは火を止めると、紅茶を入れる準備を始めた。

ふと視線を感じてリビングを見るとうつらうつらと机に頭をぶつけそうにしているカルネと、不安げにこちらを見ているルフィアンが目に入った。

「ぼ、僕……やっぱり帰るよ」

ルフィアンが困ったような表情を浮かべて席を立たった。
カロンが何とかルフィアンを誤魔化すことは問題無くできるが、カロンの裏事情を知っている彼――― しかも評議会ナンバー1の弟である――― としては自分で何とか非関係者を表現したくても難しいのだろう。
カロンはルフィアンに頷いて同意の合図を送った。
ほっと、溜息をついてルフィアンが玄関へ向かって歩き出す。
そして台所の前を横切るその瞬間をカロンは逃しはしなかった。
ぎゅっと抱き寄せ頬にキスをする。

「っび―――!」
「しっ」

ルフィアンの唇に指を当て小声で耳元に囁く。

「今夜、またね」
「う、うん……」



真っ赤な顔で家を出るルフィアンを見送って、カロンは紅茶とコーヒーをもって席に着いた。

「あ……ありがとうございます」
「熱いから、気を付けて」
「は、はい……」

まだ眠いのか、目をごしごしとこするカルネをカロンは微笑ましく見つめコーヒーを啜った。

「カロンさん、先程の方は……?」
「ん?ああ、俺のツレ、相方か? そんなもん」
「つ、つれ……!あ、あ……相方さん!」

驚いた様に一緒に暮らしてるんですか?とか大人だぁ……とかカルネが呟く。
可愛いなぁ、と、思わずにやりと笑ってしまった。

「そうだ、カルネ。初恋の話をすると約束したな? 今話していいか?」
「あ、はっはい!」

がたんと椅子をならしてカロンは席を立った。
不思議そうな顔をしてこちらを見るカルネに手を向け、そこにいるように指示をする。

「話でもしながら簡単な飯を作るわ」

そう言って、台所へ向かいながらカロンは語り始めた。



――― カロンはドミニオン界で生まれた。
そこでDEMに襲われ家族散り散りにエミル界に逃げてきて、路頭に迷っていたところを4~5歳ほど年上の少女に拾われた。
彼女にホームと呼ばれる場所へ連れて行かれ、そこで家族同然に扱って貰いながら育った。
少女はすごく親切で、慣れないエミル界で戸惑うカロンを優しく、時に厳しく助けてくれた。
そして気がついたら彼女を好きになっていた。



テーブルの上にサラダとハムエッグ、トーストを並べカロンは席に着いた。
すっかり目を覚ましたカルネが美味しそうですね、とハムエッグに手を付ける。
カロンはフォークを片手に話をまた続けた。



―――ホームと呼ばれる場所は、本当はただの孤児院とかじゃなくて戦闘員を輩出するような場所であったと言う事、自分を拾ってくれた少女は自分と同じ様な身より無く拾われた子ではなくて、普通に家族ある家に住んでいる子だったと言う事、何故そこのホームに出入りしていたのかよく分からなかったこと。
そして、ある程度大きくなったら、その少女の部下となって戦闘員として働くことになったこと。




「う……な、何だか複雑ですね……」

カルネが呟いた。

「そりゃーもうさ、初恋とか淡いことを言っていられなくなったよ」

フォークをぷらぷらと動かしながら、意識が思い出という海に沈んでいくのを感じた。
ふと……初恋の相手だったその少女を好きとか嫌いとかのロマンスも無く初めて抱いた日のことを思い出して、映像を消そうと頭を振った。

「だ、大丈夫ですか?」

「イヤなことを思い出した……。取りあえずそんなところだ。カルネ、お前にいつか恋人が出来たら紹介してくれ」

ニッとカロンが笑いかけると、真っ赤になってカルネが慌てたような素振りを見せた。

「わ、そ、そんな……!こ、こ、恋人なんて!!! ―――わ、分かりました、いつか紹介します」

「良い子だ!」

わしわしとカルネの頭を撫でながら、カロンはそっと窓の外を見つめた。
昔の思い出と、これからの新しい出来事に思いを馳せながら。
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頂き物 | 【2012-08-23(Thu) 21:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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