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(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

ジンが怪我してカッコ悪い話
虎太朗さんとの交流

ゲスト出演:コタロウさん。クオンさん。ハク君 ロケ地:マイマイ島

*あらすじ
評議会から討伐の依頼をうけ、ジンとカナトはマイマイ島へ訪れる。
5人以上での受注が絶対条件であったため、二人はともに行動する冒険者と待ち合わせをしていたのだが‥‥‥。


 「あつい……」
「仕事だ。我慢しろ」
「世間は夏の長期休暇で賑わって、誰もがバカンスを楽しんでるっていうのに……、
一体なにしてんだよ。俺らは……」
「仕事だ」

むっとした表情で返したのは、左腰に銃を下げるエミル。
彼はエミル・ガンナーのジン。この世界に生きる一般冒険者だ。
その隣にいるのは、茶髪に四枚の黒羽をもつ、アークタイタニア。
アークタイタニア・ジョーカーのカナトだ。

現在ジンは、アクロニア大陸の南東に位置する小島、
マイマイ島の岩辺に腰掛け、ぼーっと水平線を眺める。
彼ら二人がここへきたのは、酒場依頼の仕事をこなすためだ。

「どんな仕事なんだよ今回、分かりやすく説明しろ」
「……このマイマイ島の遺跡。この深部にある武器庫の門番の討伐だ。
何でも調査隊が行く手を阻まれて、先に進めないらしい」
「騎士団は? ここ駐屯地だろ?」
「利権問題が絡むから、連中がもめている間に処理してしまいたいんだと……、
このマイマイ島の領土問題も揺るがされる可能性があるからな」
「お偉いさんの考える事なんて、ろくなことねぇな……。
はぁ~、浜辺で女の子の水着を眺めるだけでも、どんなに楽しいか……」
「毎度その考えは理解に苦しむ」
「女性恐怖症のお前には、一生理解できねーよ」

そう吐き捨てたジンに、カナトは無視を決め込んだ。
それでもジンは、水平線を眺めつつカナトへの問いを続ける。

「それにしても、受注条件が5人以上ってのは何か理由があるのかね……」
「敵が強力か、それ以外に何かあるのか。俺は調査隊か何かが付いてくるものだと思っているが……」
「まともな奴らだといいけど……」
「同じ仕事をやる以上、問題は起こすなよ」
「いちいち釘刺すな。分かってるよ」

そう言って、ジンがため息を落とす。
もう何分も変わらない水平線が、再び視界に写った時、浜辺に走って行く子供の姿があった。
白い羽のドミニオン。イクスドミニオンだ。
カナトがその姿を見て少し驚いてはいるが、アークタイタニアという自分が居るのだから、
どうも言えない不思議な心境だろう。
イクスドミニオンは、アークタイタニアと同じくして冥界の貴族を意味する。
「うみだー」と叫びながら、少年は走る。
暫くはその少年が小さくなって行くのを眺めていたが、砂浜は足場が悪い。
勢いのままに走っていた彼は、砂に足を取られ、頭から砂へ突っ込んだ。
ジンはそれを「あぁー」といいながら、眺める。

「シロ!」

澄んだ。高い声が後ろから響いた。
声はジンをすぐに通り越し、少年の元へかけて行く。
エミルだ。14歳前後。腰には年相応とは思えない武器を携えている。
「うー」と泣きそうな声をあげるドミニオンの少年にエミルの少年は優しく寄り添うと、ゆっくりと此方へ、戻ってくる。
そんな様子を終始眺めていたわけだが、
ジンのとなりにふわりともう一人のタイタニアが降り立った。
カナトではない。カナトは左にいる。
タイタニアが降り立ったのは右だ。
ただ、殺気を感じなかったので何もしなかった。
驚いたのは、そのタイタニアがカナトと同じ4枚羽の黒羽をしており、
刀身がスマートな剣を背中に携えていたことだ。

「何かよう?」

ジンが問うが、アークタイタニアは答えない。
この時点で会話は諦めたが、先ほどのエミルの少年がこちらを確認し、
大きく手をふってこちらへやって来た。

「ジンさんと、カナトさんですか?」
「え、そ、そうだけど……」
「今回同行させてもらう、エミル・グラディエイターのコタロウです。
よろしくお願いします」
「え、こ、こども?」
「こたろー、こいつ等なに?」
「シロ、今日いっしょにお仕事する人だから、自己紹介して、クオンも」

クオンと言われたことに、ジンの目線が隣の見知らぬアークタイタニアにうつった。
彼はふわりと舞い上がり、コタロウと名乗った剣士の横に立つ。

「アークタイタニア・ジョーカーのクオンです」
「イクスドミニオン・アストラリストのハク……」
「え、えっとぉ……」
「タイタニア・ジョーカーのカナトだ。今回はよろしく頼む」
「は? カナト…!?」
「何を動揺している。合流できたんだぞ」
「だけど……、って、えっと……エミル・ガンナーのジンです」

コタロウが満面の笑みを浮かべるのに対し、ジンの表情は複雑だ。
カナトも少し動揺したが、年齢的には珍しい事ではない。

「礼儀をわきまえておられる。こいつとは大違いだ」
「きこえてっぞ、カナトぉ!!」
「しつれーなやつだな!」
「シロ! 黙って!」

いろんな意味でトドメを刺された気分だ。

「ともかく、遺跡に向かいましょう。
マイマイの遺跡は迷路。話す時間はいくらでもある」
「わかりました」

そんなカナトの言葉で5人は遺跡へと向かった。
アクロニアの文明のものとは思えない不気味なオベリスクと、
生体とは程遠い機械のモンスターがこのマイマイ島の遺跡には存在する。

カードキーをつかい、遺跡の深部へと降りた彼らは、
前2人と後ろ3人で別れ、遺跡の通路を進む。

「なぁカナト。どう思う?」
「お前は経験がないかもしれないが、珍しい事でもない。
不安ではあるが……」
「ふーん……」

「こたろー。あいつら絶対俺たちの事ばかにしてるぞ!」
「仕方が無いよ。だってどう見ても僕たち子供だし……」
「子供のだけど……」
「戦ってるところを見せればきっと認めてくれるよ」

そんな会話をしているうちに、5人は通路の突き当たりへたどり着く。
モンスターの部屋だ。ジンは肩に掛けた光砲・エンジェルハイロウを構え、装填。
カナトは、背中の赤い太刀を抜く。

「後ろは任せる」
「おう、好きなだけ暴れて来い」

そんな声と同時、扉が開放された。
其処に居たのは狭い空間に詰め込まれたような敵、彼らは侵入者の存在に気づき銃口をこちらに向ける。

「催涙グレネード!」

ぱんっという破裂音が響き、真っ白な煙が広がった。
部屋全体を多いつくし、敵機械の視覚センサーが混乱する。
カナトは動けなくなった相手へ、関節部から太刀で叩き壊していった。
ジンも、グレネード弾からマグナム弾に切り替え、装填。
サーモスコープで、カナトの位置を確認し、機械兵器特有の熱を頼りにしながら、狙撃。
狙いは敵の砲塔だが、カナトにさえ当てなければいい。

徐々に煙が晴れ、視界がはっきりした頃には、ほぼすべての敵の殲滅が終了しかけていた。

「おまえらばっか、かっこつけてんじゃねーよ!!」
「シロ!?」
「シロ!!」

後ろで見ていた三人の一人、ハクが突然ジンの前に出た。
ジンは反射的にハイロゥの砲塔を上部に上げ、狙撃を中断。
ハクは、そんなことも気にせず詠唱を開始する。

「……!?」
「ウィンド・エクスプロージョン!!」

風爆が巻き起こる。
風魔法に弱い敵は一気に吹き飛んだが、
同じ属性を持つ床や壁までが崩壊、床が抜けた。

「カナ!!」

遅い。手を延ばしたが間に合わず、
ジン、コタロウ、ハクの3人は。遺跡の真っ暗な闇へ飲み込まれた。
突然の出来事にクオンは言葉を失い、追いかけるために急降下をする、

「コタ!! シロ!」
「クオン殿だめだ! あんな暗闇を飛んだら二度と戻ってこれない」
「離せ!」
「この遺跡は五層だ。降りれば合流できる。だから今は落ち着け」

クオンが、少しづつ落ち着きを取り戻す。
追いかける気配はなくなったが、カナトの手は振り払った。

「敵に遭遇しようとも、ジンが一緒なら大丈夫だ。
だから、我々は我々で、下層を目指す」
「……僕たちはそんなに弱くない」
「……なら、なおさら安心だ。ここは初めてではないので、案内しよう」

そう言って二人は、遺跡の下層を目指し、歩を進める。


**


全身が痛い。
一体、何m上から落下したのだろうか、
全身がマヒした様に動かなくて、視界がぼやけている。
一緒に落ちた二人を辛うじて抱き抱えたところまでは覚えているのだが、
それ以降は全く記憶になかった。

「ジンさん! 大丈夫ですか」
「ってぇ………」

声をさせたことにようやく生命感を得る。
息も苦しいができる。
しかし、左腕の激痛が邪魔をして、まともに口をきけない。

「おまえ、俺たちを庇っただろ!」
「しろ……」
「よけいなことしやがって……」

声が聞けるということは無事だったのか。
面倒な相手ではあるが、良かったと思う。
痛みで今にも意識を失いそうだが、意識があるうちに、言わなければ。

「コタ、ロウさんだっけ……」
「ジンさん!?」
「左腕、折れたみたいなんだ……。棒か何か固定して欲しい……」
「はい」

ジンが聞こえた声はそれが最後だった。
一旦意識を手放し、体全体を休息に向ける。
コタロウはすぐさま、周辺におちていた機械片でジンの腕を固定しようとするが、
後ろから現れた敵に息を呑んだ。

「こたろー」
「うん。守ってもらったんだ。お返ししないとね」

ぐっと強くし張り、ジンの腕と機械片を固定すると、コタロウは武器を構えた。
そして、大声でとなえる。

「殺界!!」

剣を抜き、コタロウは敵に向かって突っ込んだ。


***


クオンとカナトの二人は、3人を探し、ついに三層目の出口付近までたどり着いていた。
ここに着くまでに合流できればと思っていたのだが、
落下した瓦礫がかなりの重量を持っていたらしく、
更にしたの階層の床までぶち抜いたらしい。
三層目の入り口の床はずっぽりとぬけていて、何も見えなかった理由がようやく理解できてきた。
今度こそいてくれと言う想いで、四層目の入り口へ降り立ったが、ここもやはり床が抜けている。
最下層までとは、生命すら危険な不安が出てきた。

「コターー!! シローー!!」

反響し、帰ってくるが応答はない。
遺跡の中は変な電波が飛び交っており、通信も離れすぎると通じない。
不安ばかりがつのる。

「心配されるな。ジンがついている」
「何であなたは、そうまでしてあの人を信用できるんです?
エミルですよ? アークタイタニアである貴方が何故異種族なんかに……」
「一日や二日ならば信用はできないが、奴とはくぐり抜けた死線の数が違う、それだけの話だ」
「…?」
「逆にいうなら、あいつ以外信頼できないということにもなる。貴殿と同じだ……」
「!?」
「理由は伺わないが、黒羽は堕天の証。
私は、生まれながらにして堕天であり、天界へすらいったことない身だ」
「……!?」
「私は、堕天・カナト。父はルシフェルだ」
「ルシフェル……?」
「ご存知ないのか?」

目を逸らしたクオンにカナトは言及をやめた。
無言は更に空気が悪いので話すことは続ける。

「ミカエル、ラファエル、ウリエル、ガブリエル、サリエル、レミエル、メタトロン。天界を収める七人の天使の役職だ。
天界はこの七人の天使たちによって統率され管理されている。
神の使いであるとされる天使は、その役割のために創造され、使命を果たすもの。
しかし、その中で神に最も近しい存在でありながら、神の元を離れた八人目の熾天使、それがルシフェル。
裏切りの堕天だ」
「……」
「私の父は、アークタイタニアでありながら、エミル界へ永住することを選び堕天とよばれ、羽が黒く染まった……」
「ルシフェルさん……」
「天界では、ルシフェルはあくまで役職名であり、肩書きを指すらしい。
父は天界とエミル界のパイプ役を行う貴族。私がここにいるのは、勘当されたからだ。
それ故、アークタイタニアと名乗る資格もない」
「……何故そんなことを、僕に話すんです?」
「……未だこの世界でアークタイタニアは希少な存在だ。
私も周りを囲むすべての人間を疑い、敵視していたことがあった。
貴殿はそんな時代の私に似ている。だからこそ今の私と同じでもある、
おい立ちは違えど、分かり合える部分があると判断した。
正直にいうのであれば、同じ黒羽にであえ嬉しかったんだ」

回りくどいと、クオンはおもった。
でも、嫌ではない。

話に夢中になっていたせいか、何時の間にか囲まれていた。
二人は背中の合わせで立ち、太刀を抜く。

「お手並み拝見させてもらう」
「びっくりしないでくださいね!!」

そう言って、二人の堕天使が散った。


**


あれからどのぐらいの時間が立っただろう。
ようやく痛みが落ち着き、ゆっくりと目を開けると、
そこには水色で短髪の少年が顔を覗き込んでいた。

「ジンさん! 大丈夫ですか?」
「……コタロウさん?」
「よかったー。まだ動かないでくださいよ。出血も酷かったんですから」

頭が回転しないのはそのせいか、腕の痛みは酷すぎて気付かなかった。

「シロ、水を呼び出せる?」
「うん。 アクアストーム!」

床に召喚した魔法陣から、水が大量にあふれだす。
コタロウはその水で布を濡らし、ジンの額に置いてくれた。

「悪い……」
「……いえ、ジンさんが庇ってくれなかったら、
俺たちも怪我じゃ済まなかっただろうし……、ありがとうございました」
「こっちも、頭があがらねぇ……情けねぇ……」
「おい……ありがとな! ジン」
「……君らが無事でよかったさ。でないと、カナトに何言われるか……」

左腕は動かせないが意識ははっきりしている。
落ちてきた天井は真っ暗闇で、すでに何処から落ちたのか分からないほどだ。
カナトも暫くは合流してくるだろうが……。
そこまで考えた直後、ジンの寝ている床から緑の光が溢れてきた。

「ヒーリングスポットがたまたま合ったんです。
ある意味奇跡ですよ。このダンジョンで滅多にないので、
でも、流石に弱すぎて完治までは出来なかったですが……」

痛みが引いただけでも、ありがたいことだ。
右腕を支えに起き上がり、ジンはようやく体を起こす、
少しふらつくが、なんとか歩けそうだ。

「大丈夫ですか? 横になってた方が……」

心配してくれるコタロウをみて、改めて返事を返そうとした時、ジンはコタロウの衣服をみて言葉を失った。
まるで引きちぎった様にボロボロになり、所どころが焼け焦げている。
まさかとは思ったが、左腕を固定する布とコタロウのまとう服の色が同じだ……。

「ジンさん?」

情けなさすぎて言葉も出ない。
さらに奧には機械の残骸がちらばっており、自分が呑気に寝ている間も守ってくれていたのか。

「俺、大人失格だわ……」
「えぇっ、なんで!?」

落ち込んでいる場合ではないので冷静に考える。
カナトの到着を待つか、それとも先に進むか。
どの階層まで落下したのか、分からないのが厄介だが……。

「コタロウさん。俺、どの位寝てたかわかります?」
「え、えっと……、遺跡に入ってから二時間ぐらいだから……」

微妙ではあるが、二時間で追いつけない距離だとは分かる。
これは待機するより、出口を目指した方が早いか……。

「コタロウさん。これから俺たちは一度出口を目指した方がいいと思う。
このままここに居たら、敵に囲まれる可能性もあるし、カナトも何時くるかわからない」
「はい」
「腕がこれで前線には出れないけど、援護はする。前を頼んでもいいですか?」
「もちろん」
「へっへ、俺らが守ってやるよ。ジン」
「……頼もしい限り」
「でも歩けますか?」
「あぁ、休んだおかげでだいぶ動ける」
「出血も笑えないので、休み休み行きましょう」
「え、あ、すいません……」


そう言ってジンは左の脇腹から装飾銃を一丁取り出す、
床に置き、左腰の銃を脇腹に収納した。
右手で銃の感触を確かめ、安全装置を外し、コタロウに頼んで装填してもらう。

「サンキュ」
「なにするんです?」
「生存確認」

ジンはそういって真っ黒な先が見えない天井に向け、弾丸を放った。

**

「成る程、結構な太刀筋をしておられる」
「剣士を目指した時期があったもので」
「これはクオン殿に、私が教わらなければいけないな」
「えっ、ぼ、ぼくはそんな……」

ふっと笑うカナトに続き、クオンがついて行こうとした時、
突然後ろから、何かが破裂するような音が響いた。
カナトがハッとして、四層の入口まで滑空する。

「カナトさんっ」

入り口にあるのは、吸い込まれそうな大穴のみだ。
彼は数秒その闇の穴を眺めたあと、背中から自動装填式ピストルを取り出す。
安全装置を外し、雷管へ弾を装填するとカナトは躊躇わず、穴へ発砲した。

**

「お、聞こえたみたいだな」
「カナトさんも銃を?」
「おう、護身用に一丁。
こう言う広い場所じゃ声は届きにくいけど、銃みたいな高い音は届きやすい。
反響から想定して、結構離れてる……。これはあいつでも飛んでおりてくるのは辛そうだ。先に進みましょう」
「分かりました」

そう言ってふらつきつつもジンは立ち上がる、
瓦礫に埋れ、羽が折れてしまった光砲・エンジェルハイロゥはもう使い物にならないだろう。
入ろうを左肩からショルダーの様に抱え、ジンは右手に大型のハンドガンを握る。

「見かけない武器ですね」
「うん。烈神銃・サラマンドラ。治安維持部隊のギルドランク5th以内の冒険者に進呈される武器さ。
内部構造として、自動装填を採用されているんだけど、40口径の大口径ハンドガンライフル。
本来なら片手で打てる代物じゃないが、この青い部分で反動を吸収して、次弾装填の時にその反動で弾丸を押し出すんだ」
「えっとぉ……」
「そのおかげで、本来自動式にあるスライド方式がいらず、反動も普通のハンドガン並な上、用途によって口径もーー」
「もう、こたろー。こんなやつほっといてはやくいこうぜ!」
「え、ぇえ!? 俺なんかわることした!?」

今からハイロゥについても説明しようと思ったのに……。
歩き出す二人の後ろへジンはゆっくりと追いついて行く、
ハクの隣に並んだ時、コタロウの背中越しの声が響いた。

「銃好きなんですね……」
「……全武器のなかで最強なのが銃ですしね」
「なにいってんだ。最強は魔法だろ!」
「あ、はい……」

趣味を褒めたつもりではあったのだが、
ジンの声のトーンが下がったのをコタロウは不思議に思う、だが深く考えている暇もない。
扉を通って次の部屋に進めばすでに敵だらけだ。

「やるよ。シロ」
「おう!」
「……」

“アンプリーエレメント”が唱えられ、二人の武器に属性が宿る。
コタロウは力任せに敵を殴り、一発で相手を破壊した。
ジンはそこに近づいてくる敵に狙いを定め、砲塔を破壊したあとに、関節部から弾丸を打ち込んで行く。
ハクは、先程の風爆で懲りたのか、“ライトニングブラスト”と、”サンダーストーム”で援護を行った。

**

「広いですね。この遺跡……」
「あぁ……なかでもこの四層は全五層のなかでも最も広い。
調査は行われて人の手が入ってはいるが、それでも分岐点の転送ポイントが変わる場所も確認されている。
道を間違えば、一生出られなくなってしまうこともあるぐらいだ」
「3人は大丈夫でしょうか」
「少なくとも私は、ジンがいるので心配はしていない。
この手のダンジョンは、奴も始めてではないからな。
怪我ぐらいはしているだろうが、コタロウさんや、ハク殿がいれば、
尚の事生存率は上がる」
「……」
「むしろ危ういのは我々の方だ、クオン殿」
「え……」
「私たち二人でタイタニアのジョーカーならば、おのずと弱点は見えてくる」

真剣な表情で述べたカナトにクオンは考えた。
そして、先程から羽ばたかず、床を歩いているカナトにハッとする。

「翼……」
「タイタニアにとって翼は、このエミル界においての生命維持装置だ。
私たちの体はエミル界で育ったといえど、翼によって環境を維持しているに等しい。
下手に負傷すれば簡単に生命を落としてしまうからだ。
しかもここは、長距離から放つ銃器系の敵が巣食っている。
飛び立ち、羽を負傷すれば終わりだ」

タイタニアにとってエミル界は汚れすぎている。
彼らは生きるため、背中の翼にて浄化を行い生活しているのだ。

「ジンさんはそれをしっているんですか?」
「知っている。それで私が死にかけた所を、やつが見たからな」
「!?」
「ある意味、クオン殿よりもジンは我々の事を心配してそうだ」

苦笑で返えすカナトの意味をクオンはまだ理解できなかった。
しかし、自分がおかれている状況の危うさに確かに危機感を覚える。
たしかに近接系のタイタニアが二名のみは、接近しなければ敵を倒せない分、部が悪い。
だがそれでも二人は進むしかないのだ。

**

「うーん」
「どうかしましたか? ジンさん」
「いやー。カナト大丈夫かなって思いまして」
「くおがいるし平気だよ!」
「はい、ああ見えて強いんですよ!」

意気揚々と返えす二人に、ジンは苦笑で返えす。
彼らはタイタニアの生命観を知らないのか。

「なら、あんまり考えるのはやめます。クオンさんに期待して」

そうは返すがやはり心配だ。
知る限りでは、向こうは近接のタイタニアが二人。
カナト自身はモンスター戦に長けているので、下手に負傷することもないと思うが……。

「そういえば、クオンさんって銃とか遠距離系の武器は使えたりします?」
「どうだろう。使った所はあんまり見たことないなぁ……」
「おれもおれも、くおは剣がいいぞ! かっこいい」

聞かなければ良かったとも思ったが、今目の前に居ないのだから、考えても仕方が無い。
危なっかしい性格が祟らなければいいのだが……。

「あ、ジンさん。あの扉なんか今までのとは違うような」
「お、大分落とされたとは思ったが、五層目だったみたいですね。出口のある部屋です」
「これが?」
「おれがぶっこわしてやる!」

そう言って、ハクが唱えたのは”エレメンタルメモリー”
小規模な爆発が起こり、扉が壊された。
ジンとコタロウがギョッとしたが、敵が飛び出さなかった事にほっと安堵。

「もう、シロ。もう少し落ち着いて」
「えぇー」

扉はこわした。
だが嫌な予感がジンのなかに駆け巡る。なにかもっと重要な問題があるはずだ。

「コタロウさん」
「?」
「俺たちはどうしてここに来たか、覚えてます?」
「出口を探すためじゃ……」

ジンが残りのマガジンと、装填数を確認した時にコタロウはっとした。
そして、武器を抜き、一歩前に出て構える。

「じん、こたろー?」
「シロ気をつけて、いるよ」
「……何のために俺たちがここへ来たか、思い出してください」

そうだ。
今回彼らがここにいるのは門番の討伐。つまり出口にはいるのだ。敵が、

暗闇が広がる奥の世界に、ゆっくりとそれが姿を表す。
淡い紫の光を纏いゆらゆらと見えてきたのは、マリオネット・サラマンドラの姿をした獣。
体表は暗く闇に紛れる。

「パーティーザン……。シロ、下がって」
「えぇー。こたろぉ」
「ジンさんをまもるんだろ!」
「お、おう!」

いささか不本意だが、仕方が無い。
響く咆哮に三人はじゃっかん尻込みしたものの、“殺界”を唱えたコタロウにおされ、3人は戦闘を開始する。
床を踏み切ったコタロウは、前に出るタイミングで“ストライクブロウ”を詠唱。
真っ先に切り込み、初撃を入れた。
後方から援護射撃を行う。手応えはあるが、きいている気配は無い。

「コタロウさん。一旦下がって!」
「!?」

コタロウが離れる。そのタイミングを狙い。
ジンが“精密射撃”を唱えた。

「“クロスクレスト!”」

現在装填されている弾のすべてを使い。9回の早打ちが成された。
普通の銃ならば、詰まって使い物にならなくなるだろう。
弾丸のすべては十字を描いてパーティーザンに命中し、相手は咆哮を上げた。
そして、闇の魔方陣を足元へ呼び出す。“ダークブレイズ”だ。
ジンは最もダメージを追う可能性があるハクを、魔法陣の外へ強引に追い出し、
コタロウと共にその魔法の直撃を喰らう。

「こたろー! じん!?」

服が敗れているせいで防御力も半減している。しかし、ここで倒れるわけにも行かない。
そう思い再び起き上がったコタロウではあったが、ハクを庇いぐったりとしているジンに言葉を失った。
固定具が外れ、傷が開いている。ぞっとした。

「じん! おい! おきろじん!」

無理だ。ただでさえ出血のひどいのに、これ以上血を流させたら……。
そう思い、コタロウは武器を取る。

「うぁああああ!!」

自分の身長と同じぐらいもある武器を振り回し、
無我夢中に振り下ろす。倒さなければいけない、守らなければいけない。
どんなに傷ついても、どんなに辛くても、失ってしまえばそれで終わりなんだから、

「くっそ……。いってぇ……」
「じんっ」
「なさけねぇ……本当なさけねぇ。俺ってば、本当何も出来きてねぇな……」

全部守るつもりで、逆に守られて、今もこうしてのうのうと眺める自分が悔しい。
ならば、動くしかないじゃないか。
左腕からだらだらと血が流れて行くことがわかる。だけどそれでも、やらなければならないことがあるのだ。
コタロウが声を上げ戦い続ける中、ジンは“精密射撃”でパーティーザンに狙いを定める。

発砲。コタロウが驚いた直後。
彼の武器の刀身へ弾丸を打ち込み、コタロウの手から武器弾いた。

「ジンさーー」
「………」

答えない。
さらに続けて弾丸を打ち込み、パーティーザンのターゲットがジンへと変わった。

「ハクさん。コタロウさんを止めてくれ」
「え、うん!」
「だめだ。シロ! ジンさんを……」

ハクが駆け出しその場を離れた直後。パーティーザンが、ジンに向けて突っ込んできた。
鋭利な爪を構え、向かってくる。コタロウが戻ろうと床を蹴るが、その手に武器はない。
当然ジンも、負傷して動けない。だめだ。そう思った瞬間、

パーティーザンとジンの間に黒羽のタイタニアが飛び込んできた。

「遅いぜ、カナ」
「スタイルチェンジ・ソード!!」


「ジョーカー!!」

爆発が起こる。
パーティーザンはふっとばされ、部屋の中央の壁に叩きつけられた。

「ジン。なんだその様は」
「ちょっとヘマしただけだよ」

「カナトさ……」
「コタ、シロ、怪我はない?」
「クオン、よかった」

そんな再開を喜んでいる暇もなく。
パーティーザンは起き上がり今度はカナトへターゲットを向ける。

「寝ててもいいぞ。ジン」
「お前だって、黙って見ててもいいんだぜ?」
「……急所は、額。胸。各関節だ」
「しょうがねぇ。本気だしてやるよ!!」

カナトが羽ばたき、起き上がるパーティーザンへと、赤い太刀を振り下ろす。
殴りつけられた相手は、力任せにそれを押し返すが、直後弾丸がきた。
胸、額に肩から手首に。大口径の弾丸が命中する。

「フレア!!」

破裂。パーティーザンの体内で撃ち込まれた弾丸が弾けた。
痛みがあるのか咆哮を上げたタイミングで、カナトが詠唱。
神の守護を纏う。

「やれ、カナ!!」

「ジョーカーディレイキャンセル!!」

落下の力を利用し引力の風に羽を滑らせ、そして、半ばグライダー状態のまま剣を凪ぐ。

「ジョーカー!!」

小規模な爆発と共に、空間を飲み込んだ黒い光。
闇のモンスターが消滅し、紫の光が錯乱した。

**

「疲れた……」
「全く情けない」
「うるせ……」
「いえむしろ、僕たちもジンさんが居なければ、無事ではすみませんでしたし」
「へっへ、ジンは俺が守ってやったんだ。感謝しろよ!」
「……」

マイマイ島の救護施設にてウァテス系の治癒を受けるのは、
つい先ほど、ボロボロでダンジョンを出てきた5人組だ。
ジンはかなりの出血で重傷、暫くは動けないのではと思われたが、
治癒師の腕がいいのか少しづつ元気を取り戻している。

「今回は、お世話になりました」
「お互い様だ。この荷物をよく面倒見てくれた」
「カナ……てめぇ……」
「カナトさん。ありがとうございます」
「クオンン殿。私としては話ができて光栄だった。またお話したい」
「はい、是非」
「なんだよ。くお、何かあったのかよ!」
「え、別に何もないよ?」

「それではジンさん。お疲れ様です。僕たちはこれで」
「あぁ、はい。コタロウさん。今回は本当助かりました。ありがとう」

そう言って3人は、以来の報告を行い。帰路へとつく。
何事もないように前を歩くコタロウへ、クオンは無言で寄り添い。
そっと彼を抱き寄せた。

「お疲れ様。コタ、遅くなってごめん」

そんな優しい言葉に緊張の糸がきれる。怖く無かったなんて、そんな分けないじゃないか。
不安で不安で潰れそうで、どうすればいいかわからなかった。
でも、そんなこと言えるわけがなくて……。
ぼろぼろと涙をこぼし、声も上げずコタロウは、横で眠るハクを起こさぬようクオンの胸で泣いた。




*GEST

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エミル・グラディエイターの虎太朗(コタロウ)

年齢:11歳
身長:139cm
体重:33kg

犬耳尻尾が特徴の少年、真面目で礼儀正しくありつつも人懐っこく少し甘えん坊な性格
共に暮らす狗遠・白玖とは兄弟の間柄で仕事やプライベートでもほぼ一緒に行動し、
所属しているリングの面々からは優しく見守られながら充実した日々をすごしている

Chara:バケネコさん

コメント
生耳生尻尾なので、基本的におさわり禁止です(




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ドミニオン・アストラリストの白玖(ハク)

年齢:11歳
身長:134cm
体重:29kg

我侭なところもあるが悪いと思ったことには誰が相手でも素直に謝る無垢で無邪気な少年、
人見知りが激しがきっかけがあればすぐに懐く寂しがり屋でかなりの甘えん坊
過去親兄弟との間で色々とあり家を飛び出したのがきっかけで虎太朗と知り合い身を寄せることとなったが結果として気質の合わない実家での生活から開放され
虎太朗・狗遠とともに毎日楽しく過ごしている

Chara:バケネコさん

コメント
いろんな意味でトラブルメーカー、またちびというと本気で怒るので取り扱いには十二分に注意してください(




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アークタイタニア・ジョーカーの狗遠(クオン)

年齢:13歳
身長:158cm
体重:45kg


二対の黒翼を持つ少年、知人以外との人付き合いが苦手で初対面では口数が少なく辛辣な態度をとることもあるが身内や知人には優しく面倒見のいい良識人
種族上アークタイタニアではあるがイクスドミニオンとの混血でありそれが原因で迫害された過去があるためトラウマになっており
この事実は共に暮らす虎太朗・白玖すら未だに伝えられずにいる

Chara:バケネコさん

コメント
実はナハトの弟、ただ絶縁状態、非常に器用様々な武器の扱いから炊事含む家事もできる割りと万能な人です

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本編 | 【2012-08-07(Tue) 02:20:35】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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