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Royal*Familiar:第三話
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Royal*Familiar

第三話:再開の対価

前回
第一話:決意の序章
第二話:別離の序章


 

久しぶりに戻った実家は何ひとつ変わらず、対照的な美しい庭園がカナトを迎えてくれた。
アクロポリスにあり、同じ空気であるはずなのに、何故か違う空気を吸っているようにも思える。
しかし、手入れをする庭師はドミニオンやエミル族が混じっており、ウォーレスハイムらしい寛容さも伺えた。

カナサに手を引かれて、母の居る居室へ連れてこられたカナトは、変わらぬ美しさをもつシャロンと再会し思わず笑みが溢れてしまう。
金の6枚羽根をもつ、純血のアークタイタニアだ。

「おかえりなさい」
「母上……。ご機嫌麗しゅう。この度は本家の方が――」
「はい。ウォレス様は、心配はないと言っているのですが……妹が……」
「リフウ嬢の件に至っては、引き止めきれなかった私の不備もあります。どうか気負いされずに……」
「ありがとう。しかし、リフウも彼女の意思なら仕方がないでしょう」
「母上……、実は個人的に、お話したいことがあります」
「私とですか?」
「はい、久しぶりである為に、私は庭園で迷子になってしまう。その案内のついでにでも……」
「うふふ、貴方の家なのに可笑しいですね。分かりました。参りましょう」

「えぇ! せっかく3人でティータイムを用意したのに……」
「すまないな。カナサ」
「冷める前に戻ってくださいね!」

ふてくされるカナサも、何処か嬉しそうだ。
ルナが足元で伏せているのを見ると、カナサは相手にしておいてくれるらしい。
シャロンと共に、カナトは居城の庭園へとでた。
ウォーレスハイムは、やはり夕方以降にしか戻らないらしい。
高貴さ故、優しい空気をもつシャロンは、その温厚な空気により動物達も自然と寄ってくる。
手を差し出せば小鳥が止まり、歩けば蝶達が彼女を飾る。
それが七大天使の、ラファエルの器である彼女の本質を形作っているようだ。

「こうして2人で歩くのも、久しぶりですね」
「はい……」
「50年……60年ぶりかしら……」
「そんなに経つのでしょうか……」
「……カナトにとっては、長かったのですね」

あぁ、アークタイタニアにとっては確かに、そんなに長くはない。
時差ボケとは違うが、毎日をちゃんと過ごすようになって、時の尊さを実感している。

「……母上は何故、エミル界へ来ようと思ったのですか? 私とお会いしたばかりの頃は、まさか貴方が母君となりえるなど考えもしませんでした……」
「ふふふ、そうですね。確かに私も、まさか本当にここへ来られるなんて思いもしませんでした」

朗らかに微笑むシャロンは、母といえど、 カナトと年は変わらない。
そんな彼女が、あえてこの世界へきたのは何故だろう。

「始めは、天界の長たる七大天使の名に恥じぬよう。自身の意味を理解し、生涯尽くす覚悟を決めてはいましたが、……エミル界を自由に行き来するウォレス様を見ているうちに、私は短い一生の全てを、天界で終えなければいけないのかと疑問に思ったのです」
「母上……」

フィランソロの家系は、代々で力が強く、その寿命はアークタイタニアの中でも短命だ。
それは、一族そのものが受け継ぐ能力を失わないためでもあり、フィランソロが確実にラファエルを継いでゆく為でもある。

「そう、ウォレス様に漏らした時に、彼は言ってくれたの、”来たいなら来いよ”って、短命である事を悔いる前に、せっかく産まれたんだから、やりたい事をやって、後悔しない様に生きろって……、始めは悔しかったけれど、彼は私を連れ出すきっかけをくれました。後は貴方の知る通りですね」

カナトはここまで聞いて、シャロンの前へと立ちはだかる。
そして跪き、深々と頭を下げた。

「母上……、当時の狼藉を、今ここで謝罪させていただきます」
「良いのです。私も、望んだことでありました。ウォレス様の妻と言う現在ではありますが……、私も相応の恋をしたかったのです……。でもその恋も、終わりなのですね……」
「……申し訳、ございません」
「お顔を上げなさい、カナト。母は悲しんではおりません。むしろ楽しみでもあるのです」
「楽しみ……?」
「えぇ、だって私がラファエルになれるかもしれないんでしょう? それなら私が、エミル界へ居ても誰も文句はいわないわ」

母の突然の発言に、カナトは反応に困った。
しかし、立場に囚われ息苦しさを感じていたシャロンが、ラファエルとなり家を守ることになれば、口出しできる対等な人間が七大天使を除いていなくなる。
エミル界へ居続けることも、あえてエミル界へ本居城を構えたルシフェルがいるのだ。ここで住むと言ったとしても、前例がないとは誰も言えない。

「母、セレナーデが心配なのは確かですが、厳格な母であり、私の全ての壁でもありました。……しかし反対を押し切らなければ、こうしてこの世界にも来られなかった」
「……母上は、この世界がお好きなのですね」
「はい。何もかも有りのままにあるこの世界が、とても儚げで美しくみえます……。天界のように作られた平和や自然が演出された世界は、目に見えても本物ではありませんから……」
「ならば、母上が天界をそうしてしまうというのはいかがでしょう?」
「天界を?」
「えぇ、天界をエミル界のように、全てが有りのままであるようにしてみては? 例えば――」

カナトは言葉につまり、少し考えた。
フィランソロの一族は、ラファエルの家系である分、癒し治癒魔法を得意とする家系だ。
その存在は天界の医療を司り、怪我をしたタイタニア達を治癒していると言う。

「……母上は治癒魔法を得意とされていますが、人間は、その本来の力に自然治癒の力を持っています。その為に、エミル界では敢えて魔法を使用しないことも少なくはない」
「まぁ、そうなのですか」
「もちろん、魔法でしか治癒が出来ない怪我は存在しますが、魔法の力に甘んじ、人間の本来の力信頼しない体質には疑問を持ちます」
「そうですね……。やはりこの世界は、私が知らない事をたくさん教えてくれます」
「……先ほど、ラファエルを継ぐと仰られましたが……」
「リフウがレミエルの元へ向かった今、事態がどう転ぶかは分かりませんが、私自身、ここから動く気はありません」
「動かない? それは……」
「継がせたいなら、皆が此方にこればいいのです。場所など何処でも変わらないのですから」

強い。
カナトは素直にそう思った。
ルシフェルが欠けるのは、七大天使たちにとって何の遺恨もないが、ラファエルも欠けるのは、代々から継がれた名門である分、大事になる。
レミエルが無理に家督を掌握したとしても、継がせるべき人間がいるのに継がせないのはおかしいとなるからだ。
必要となれば何もしなくとも、ラファエルの称号はシャロンの元へくる。
母はそれを知っている。
先ほど母が、ウォーレスハイムに”心配ない”と言われたのもこの為か。
更に言うのなら、この家、ルシフェル・ウォーレスハイムの居城の元でラファエルを継がせる事により、他の七大天使達へ、フィランソロとメロディアスの絶対的な絆を誇示できる。
誰も文句は言えないだろう。
ラファエルとルシフェルは夫婦だと、見せつけられることになるのだから。

「私は心配ありません。カナト……ただ、リフウが心配です。彼女は私と違い、母や近しい人を見捨てることは出来ないでしょう」
「わかっております。私は彼女に何度も助けられ、何度も救われました。その恩より私は彼女を迎えに行きます」
「また妹と暮らせると思うと、とても楽しみです」

ふんわりと笑う彼女の微笑みに、その場の空気が暖かくなる。
心まで癒すとはこの事なのだろうか、彼女と話すと、抱えていた重しがまるで氷の様に溶けていく。
もうすぐ日が暮れる、冷えてくる前に居城へ戻ろうとしたが、植木に隠れるカナサとルナがいて、結局3人と1匹で戻った。
ウォーレスハイムが戻るまで、どう時間を潰そうかと思ったが、彼が戻る前に、来客が来たと使用人が騒ぎ出す。
待たせておけばいい筈なのに、何故こんなにも騒いでいるのか。

「エミル族の騎士なのですが、対応が分からず……」
「連絡を受けていたのではないのか?」
「受けておりましたが、その……、ウォーレスハイム様は今の時間には戻られると仰られていたもので……」

しどろもどろしている使用人の対応は何処かおかしい。
とにかく、相手をしていて欲しいのか。

「客人は今どこに?」
「一応、応接室にお通ししております」
「仕方がない。私が出よう」
「せっかく帰宅されたのに、申し訳御座いません」

カナトは、使用人から上着を受け取ると狼姿のルナと共に応接室へと歩を進める。

エミル族の騎士……。
アクロポリスならば混成騎士団のどれかだろうか。どちらにせよこの世界の情勢を探ることは出来そうだ。
いろいろ聞き出してみよう。

そんな期待を抱え、カナトが使用人に扉を開けさせると、白い職服を纏うエミル族と、ネクタイを締める眼帯の男がそこに突っ立っていた。
カナトもまたその相手を見て絶句、これまで意気揚々としていた気分が台無しになる。

「キリヤナギ! ……貴様」
「ご、ご機嫌麗しゅう……」

動揺を必死で取り繕うキリヤナギに対して申し訳ない気持ちにもなった。
後ろに立つエミルは、黒髪に銀の銃を釣るエミル・ホークアイのグランジ。
彼は、現れたカナトに一礼すると、キリヤナギの後ろへ控える。

カナトは、一度ソファに腰掛け、連れてきたルナも伏せさせた。
キリヤナギはそれを見計らって座ると、困ったような笑みで、給仕のために待機している使用人へ視線をむける。
それを察し、カナトは待機している使用人を全て、室外へと追い出すとグランジもキリヤナギの隣へ座らせた。

「それで、治安維持部隊の総隊長が何故ここへ?」
「ウォレス様に私事で、連絡はいれておりましたが早く来すぎてしまったようで……」
「敬語は構わない……、父上に何の用事だ?」

あからさまに嫌な顔を見せる相手に、カナトは動じない。すると、突然騎士服の首元を崩しはじめ、キリヤナギの首から鎖骨までが露わになり、銀のチェーンと、着脱式のチョーカーが見えた。

「この封印のメンテナンスだよ。月に一度、診てもらってる……君も見ただろう?」
「封印……?」

見たと言われカナトは、キリヤナギとの記憶を回想する。元宮、ウテナ湖、海岸。
そうだ。ウテナ海岸でキリヤナギは黒い邪悪なものを扱っていた。

「そう、あれの封印。ウォレス様のなんだよ。これ」
「なるほど……グランジさんは?」
「彼は僕の親衛隊。護衛と道案内」
「道案内……?」

「こいつは道を覚えないからな」

保護者か……。
しかし、今更ながら色々な意味で合点が行く。
ルシフェルと月一で会う程の知り合いで、治安維持部隊の総括なら、誰もがその存在を重要視するだろう。
一般冒険者から貴族に成り上がったのも多いに理解できる。

「はぁ……遅刻すればよかった……」
「私では不満か?」
「不満ではないよ。唯、話したくなくても断れないからね。ここはそう言う場だから……人払いは感謝してる」
「なら素直に言葉に示せ、騎士」
「お心遣い感謝致します」

誠意があるのか分からない言い回しではあるが、やはり動揺したのだろう。
すぐに言葉が出てこなかったのは、キリヤナギがやはり元冒険者であるからでもありそうだ。

「キリヤナギ」
「なにか?」
「貴様の目的を、この機会に聞いておきたい」
「それはどの立場を持っての発言だい?」
「カナト・F・フォン・メロディアスとしての言葉だ」
「ほう、次期ルシフェル候補たる御仁が、私の野望などに興味がおありですか?」
「エミル界は、天界の重要な拠点だ。その場所へ住む貴様の目的を知り、エミル界の行く末を考える」
「……行く末もなにも、僕の野望はそんないいものではないよ。君が聞いたら失望すると思うしね。……友人じゃなくなってしまう可能性がある事を僕は話したくないな」

友人。
確かにそんな話をした、ジンを探す代わりに友人になろうと詰め寄ったのはキリヤナギだ。
カナトはそれに応じ、キリヤナギと顔見知りの友人と言う事実を認めている。
しかし友人とは曖昧なものだ。お互いがお互いを、友人と認めなければ成り立たない。
だからこそキリヤナギは敢えて取引にしたのだ。

立場としては有利なのに、戸惑う自分がいる。
キリヤナギを友人として失望したくないのか、嫌がる相手から聞き出したくないのか……。
しかし、無理矢理聞き出した所で自分は何をするのか。
友人として間違っているなら止める? 愚問だ。野望なら、カナトが止めても意味はない。

「ならば、キリヤナギ。その野望は、将来天界の為になり得るか?」

質問を変えた。
エミル界の視点ではなく、天界の視点から問う。
キリヤナギはこの質問に笑みで返した。

「えぇ、私の野望が達成されれば、私とルシフェル様が友人である限り、天界はその繁栄を確かなものとするでしょう」

友人である限り……?
引っかかる言葉だ。キリヤナギとルシフェル。
ルシフェルはカナトも含めた、天界の代表の意味だろう。
”エミル界の行く末を考える”と言った時、キリヤナギはカナトに失望されると言った。話したくないと、しかし、話を天界へ移すと、野望は天界の繁栄に役に立つ。と答えた。
これはつまり、エミル界での不利益がキリヤナギの野望と言う意味に取れる。

「あまり深く考えないでね。別にそんな難しいことは考えてない。僕の野望は、君がルシフェル名を正式に貰ったときに話すよ」
「エミル界の事情に、関与できなくなってからの、間違いではないのか?」
「ひどいなぁ、親切で言ってあげてるのに……」

否定はしない。
もう少しで到達できそうな結論がでてこず、カナトはキリヤナギの野望を問うのは諦めた。
一応、友人なのだ。
取引で成立したものだが、何度か助けられている事も確かであり、信頼もできる。
そんな友人をできれば失望したくない。

「友人なら、どうかその働きで私を失望させないでくれ。キリヤナギ」
「努力するよ。誰しも進んで失望させたいとは思わないからね」

横のグランジに紅茶を用意するその様は、どちらが主なのか聞いてしまいそうになる。
テーブルの焼き菓子に手を付けだしたグランジはさておき、カナトはキリヤナギの左手薬指に輝くリングへ目を奪われた。

「貴様、結婚したのか」
「ん、そうだよ。あんまり話してないんだけどね。やっぱり指輪目立つかな?」
「貴族ならば、それなりの式をあげればいいものを……」
「僕は成り上がりだし、彼女も一般人だしね。身内も少ないし、僕は一緒にいてくれるだけで幸せだから……」
「なら幸せにしてくれる相手を、幸せにして差し上げるんだぞ」
「わ、わかってるよ。何でそれを君がいうの!?」

このエミルは、時々芯があるのか無いのか分からなくなる。
ジンはわかりやすく、考えていることは大体察しがつくのに、キリヤナギは行動だけをみても何を考えているか全く察しがつかない。
ジンから聞いた話では、ペットを探して迷子になったり、模擬戦ではしょっちゅう負けていたり、デバイスを落として大捜索になる話もよく聞いていたが、そんな表の仮面に包み隠したいなにかがあるのだろうか。

もくもくと焼き菓子を食べるグランジは、上品であれど、量を食べるのは相変わらずのようで安心すらしてくる。
カナトも同じくして紅茶を貰おうとお湯を注いだ矢先、紅茶を啜っていたグランジが、何かに反応した。

するとキリヤナギの後ろの扉から、ノックと共に使用人が一礼して入ってきて、ウォーレスハイムの帰宅を知らせてくれる。
聞きたい事を聞きそびれた気もしたが、仕方がない。

「それでは、私は一度戻ります」
「あれ? ウォレス様に会わないの?」
「私の用事は、焦る事でもない。それに今日は泊まりなので時間はいくらでもある」

そう言って立ち上がった矢先、扉をあけた使用人の後ろから、がたいのいいアークタイタニアが突然姿をみせた。

「よ、珍しい顔触れだなぁ」
「!」

「ウォレス様、こんばんは」
「キリヤナギ! 悪いな、ちょい野暮用でさー」
「いえ、いつもお世話になってます」
「気にすんなって、俺は基本こっちにいるしな。あぁ、グランジも、立たなくていいぜ。食っとけ食っとけ」

唐突に現れたのは、帰宅してすぐここへ来たのか。
外出用の礼装のまま現れたアークタイタニア・ウォーレスハイムは、髪をオールバックにし何も気にした様子もなく堂々とキリヤナギの元へ向かう。
彼が天界の外交を司る。堕天、ルシフェルだ。

「ご機嫌麗しゅう、お久しぶりです。父上」
「相変わらず真面目だねぇ……ま、久々だし楽にしろ」

自身の記憶を必死に掘り出し、カナトは胸に手を当て頭を下げる。
目の前にいるのは父だ。冷静にならなければいけない。

「三人で密会か? なに話してたんだよ?」
「えっと僕、カナトの友達なので一緒におやつ食べてただけ――」
「てめー、それ初耳だぞ! 俺を除け者にしやがって畜生!」
「わー!わー! ごめんなさいごめんなさい!」

キリヤナギの肩を乱暴に掴み、ウォーレスハイムはキリヤナギをソファへ押し倒した。
途端暴れだしたキリヤナギに、グランジは音もなく立ち上がり、脇の1人掛けソファへ座り直す。

ウォーレスハイムは、キリヤナギを無理矢理ソファへ寝かせた後、待機していた使用人に、部屋に近寄らないよう述べた。

「1時間は近寄るなよ。 呪われっぞ!」
「父上一体なにを……?」
「こう言うのは怖がらせた方が何かと便利なんだよ。あ、つーかお前、こいつの事知ってんの?」
「ある程度なら、伺いましたが……」
「ならいいか、勉強になるし見とけ」

「ぼ、ぼくの許可はー!?」
「うっせぇ! 俺の息子なんだからいいだろ!」

父だ……。
兎に角、カナトはウォーレスハイムに息子として認識されていることはわかった。
また使用人達が、キリヤナギを嫌がる理由も大体理解した。
月一で近寄るなと指示される人間がくるならば、確かに対応に困るだろう。

そう考えるうちに、キリヤナギは重ね着していたものを乱暴に剥がされ、既にぐったりしている。
父曰く、色々着ていると面倒らしい。

「脱ぐの待ってたら1時間じゃおわんねーだろ?」

ごもっともだが、もっとマシな方法は無いのだろうか。
首を剥き出しにして強張るキリヤナギをみるのも
新鮮で子どもの様にも見える。
ウォーレスハイムは、数秒キリヤナギのチョーカーを凝視すると、手を添えるように触れた。

「てめぇ、また無茶しただろ……」
「へ? えーっと……」
「誤魔化すんじゃねえ、奈落に行ってたとは聞いてたが、てめぇは人間なんだよ。ただの人間無勢が調子こいて力ふるってんじゃねえ」
「ご、ごめんなさい」
「ったく……俺の為に世界とってくるだろ? 死んでくれちゃぁ困るんだよ。……カナト、そこのスプーン寄越せ」

「す、スプーンですか? 何故」
「銀は対魔の象徴、光属性。これ常識。メモれよ」

銀食器か。
確かに貴族の屋敷ではありふれたものでもある。
カナトは、ワゴンへ用意されていた新しいスプーンをウォーレスハイムへ手渡した。
受け取った父は、自身の指先へ新生魔法の魔力を纏わせ、キリヤナギの首のスイッチを押す。

パキン、と、チョーカーとは思えない様な高い音を立ててそれが外れると、キリヤナギのもとから、じわりと闇の魔力が漏れ出した。

「おぅおぅ、またえげづないの相手にしたねぇ……」

チョーカーを外された瞬間から、キリヤナギの状態が一転。
海岸で見た時のように邪悪な力が漏れ出し、溢れてくる。紫色をした魔力の流動が、寝かされているキリヤナギの周囲に霧のように溜まりはじめた。

ウォーレスハイムはそれに動じた様子もなく、スプーンを持って、キリヤナギの首のチェーンへ触れる。
すると、まるで引き寄せられる様に、漏れ出した闇の魔力が集束し、銀のスプーンへ取り込まれていった。

「これは……」
「このチェーンな、これはこいつの力を抑える為のフタなんだよ」
「蓋?」
「キリヤナギがビンなら、これは蓋。でも、ビンには、詰め込める量に限界があるだろ? だからスプーンで蓋をちょっと開けてガス抜きしてんの」

ガス抜き?
ビンとフタの表現から、カナトはある程度の状況を読み取り答え合わせをする。

「キリヤナギの許容を超える魔力が、キリヤナギの中に存在する……ということですか?」
「普通の人間じゃ無理だわな。こいつの場合、体は人間でも、心が人の形してねえからなんとかなってるが……」

どう言うことだろう。
心が人の形をしていない?
心が人ではないなら、なんなのだろう。

「精霊か……何かですか?」
「そんな神聖なもんだったら、こいつも苦労しねーよ」

吐き捨てられた言葉の意味をカナトは飲み込んだ。もっと邪悪な、普通ではないものがキリヤナギの中にいるのか。

「本当なら、このフタで抑えこんで圧縮して、必要な時に自分から放出できればいいんだが、いかんせん、フタが古すぎて年期入っててなぁ。俺が見つけた時には、溢れ出て宙に浮いてたんだよ。だから、こっちのもう一個つけてなんとかしてやった」

二重封印か……。
確かに、元々のフタが宙に浮いているなら危険だ。
トルマリンの様に、邪悪な魔力はモンスターを呼び寄せることもある。

「……熱い」
「自業自得だろうが、文句言うんじゃねぇ!」
「ごめん、な、さい……」

もう少し気を使ってやってもいいのではないだろうか。
話す余裕がでてきたキリヤナギは少しずつ落ち着きを取り戻し、ウォーレスハイムは離れる頃には額へ汗を滲ませてぐったりしてしまっていた。
しかし、二重封印用が付け直されていないところを見ると、溢れ出ている分は”抜く”事はできたらしい。
カナトは、動かないキリヤナギに、ワゴンへ用意された手拭き用のお絞りを乗せて、自身のジャケットを掛けておいた。

向かいのソファへ豪快に腰掛けたウォーレスハイムに向かい、カナトはキリヤナギの横へ座る。
それを見たウォーレスハイムが、「ほらよ」と、黒く邪悪に染まったスプーンをカナトへ投げ渡した。

「これは……?」
「キリヤナギの魔力だよ。溢れた分。そんだけの銀でも真っ暗になるぐらい邪悪なやつな」

まじまじと見ると確かに凄い。マーブル模様になり魔力の流動が見てとれる。
一体どうすればこうなるのか。

「プラスエレメントの応用。属性を流動させて物質に移し替えると言えばいいか……光属性と闇属性は反発するから、闇属性の魔力を物質の銀に移すと、反発しあって1物質として落ち着くんだ」

上手く理解できず、黒く染まったスプーンを再び凝視した。
ウォーレスハイムは、堕天ルシフェルであると同時に、新生魔法を得意としている。これはおそらく、彼が自身で編み出したオリジナルの魔法だ。

カナトの代わりにグランジが、ウォーレスハイムへ紅茶を入れてくれる。
ワゴンに残された追加の焼き菓子も、テーブルに持ってきた彼は、中央のテーブルに広げて再びつまみ始めた。
それを見計らったように、キリヤナギがゆっくり体を起こす、カナトのジャケットを羽織、肘を膝に着く彼は、未だ疲労が抜けていないようだ。

「起きて大丈夫か?」
「平気、慣れてるから……カナトは優しいね」

強がりにしか、聞こえない気もする。
手探りでチョーカーを探り当てた彼は、自身で二重封印を付け直すと、目の前の紅茶に口を付ける。

「グランジ。そんなに食べたら晩御飯食べられなくなるよ……」
「問題ない」

即答だった。

「晩飯ぐらい食ってけよ? 俺は構わないぜ」
「いやぁ、多分もう作り始めてる頃だとおもうので、すいません……」
「ならしかたねーか」
「……ウォレスさん。今日も、ありがとうございました」
「おぅ、また来月来いよ」

笑みで返すウォーレスハイムに、キリヤナギは疲れた微笑を見せる。
キリヤナギが、以前ウォーレスハイムを好きだと言ったのも理解できた気がした。

「でもま、いつまで、こうして見てやれるかねぇ……、俺はエミル界から離れる気はねぇけど」
「父上……、その件も踏まえてお話が」
「ほぅ、継いでくれるかい?」
「まだ何も言っておりません。しかし、確認したいこともあり、本日参りました」
「ふーん。確認、ね。いいぜ? 聞いてやるよ」

「僕とグランジは、帰った方がいいですか?」
「いや、聞いとけ。俺の息子だ。利用できるかどうか見極めるといい………が、その前に」

ウォーレスハイムは、カナトの脇に伏せている狼へ視線を移した。カナトは一瞬、彼がどこを見ているのかと思ったが、足元へ走った新生魔法の流動にはっとする。
途端ルナが光に包まれ、強制的に人型へ戻された。

「!?」
「ワーウルフ・ロアなんて……、大分珍しいもの持ってんじゃねーか。何処で手に入れたんだい」
「ロア……!? 父上、御存知なのですか?」
「知ってるもなにも、そこの騎士と組んで共同開発したやつだよ」
「共同……開発……?」

「エミル界のイリス武器の資料を天界に送って色々してたんだよ。試作品を治安維持部隊でも使ってるんだ……カナトが持ってたなんて予想外……」
「ここに入った時から、珍しいもんがいるなぁとは思ったんだか、キリヤナギが渡した訳じゃなかったんだな」

返答をどうすべきか、カナトは迷った。
ルナを連れてきたのは、先ほどウォーレスハイムの言ったキリヤナギとグランジのように、第三者の証人としての立場で、話を聞かせようと思ったからでもある。
人としてではなく、狼の姿をとれるルナなら、ウォーレスハイムに気づかれず連れ込むことができるだろうと考えていたのだが、裏目に出てしまった。

「ルナは私の付添人として連れてきました。キリヤナギとグランジさんと同じく、証人として数えて頂きたい」
「それは構わねぇけど、俺としちゃあ、治安維持部隊との限定契約のモンを、てめぇが持ってんのが納得いかねぇ」
「それは存じません。ルナ自身もいつの間に私の元へおりました。実際こうしてコミュニケーションを取れるようになったのも、最近です」
「ほう……」

三人が話す横で、ルナは1人困惑する。
カナトはルナを横に座らせると背中をさすって落ち着かせた。

「まぁいい、ロアがどーのこーのって話はいいから、せめて入手した場所だけでも教えろ。ワーウルフ・ロアが封じられた本とかはなかったのかい?」
「あり、ました」
「それは何処で手に入れた?」
「ノーザン地下です。遭難した時に持ち帰りました」

「それはいつ頃?」
「二年ほど前、リヴェンツェル殿に救助して頂いた時に……」
「ぁぁぁー……」

キリヤナギの脱力した声に、カナトは少し拍子抜けした。やってしまったと言うような、小さな絶望を感じる空気だ。

「リヴェンツェルのその調査が初で、その後にイリス博士の研究所が見つかったから……」
「……なるほど、つまりキリヤナギ。てめぇの所為か」
「は、はい……。えっと、そのノーザンの人、頭固くって、なかなか地下に入れてくれなくって……」
「言い訳すんな。俺の息子だぞ、なんかあったらどうすんだ」
「ご、ごごめんなさい……」

この騎士は、今日何回謝るのだろうか。
数えてはいないが、ウォーレスハイムと話す度に謝っているきがする。

「まぁいいわ。俺が確認できただけでもまだマシだし……、やい、キリヤナギ! てめぇ、さっさとイリス武器回収しろ、軍事利用されたら面倒だろうが!」
「は、はい! ご、ごめんなさい…… 」

また謝った。
お役所は大変そうだと思い、カナトは落ち着いてきたルナに、自分のティーカップの紅茶を渡す。
珍しい味に驚いたのか、それとも熱かったのか。一瞬耳としっぽがピンと動いた。

「……父上、この場に無断で部外者を連れ込んだことに対しては?」
「真面目だねぇ……、こっちは何も突っ込んでねぇんだから気にすんなよ。むしろ評価してるぐらいだ。……相手が悪かったな」

喜んでいいのだろうか。
天界の外交の主軸たる父の言葉は、何処に裏で表であるのか全く掴めない。
何もなければそれでいいが、何かあった時が怖いと思う。

「そんでま、お前は何しにここへ来たんだい?」

本題だ。
相手は父、それも自身より何百年もの経験を経た外交のプロ。
そんな相手に、交渉などという勝てない試合をする気はない。
なら戦いは、自身の考えの答え合わせと結論のみだ。

「私は、リフウ嬢をエミル界へ連れ戻すために、天界へ向かいます。その為のご報告に参りました」
「ほぅ、今まで部外者を決め込んだてめぇがなんで今更?」
「リフウ嬢は、私の目の前で天界へ戻る決意を固められました。その上で彼女が不本意であることを、私は認識しています」
「ふーん、まぁ確かに、シャロンがこっちに来てんだから羨ましくなるだろうよ。セレナも家出されたって、すげー凹んでたしな」

セレナとは、天界の現ラファエル、セレナーデの事だろう。七大天使を友人感覚とは、流石と言える。

「でもカナト、お前もわかってんだろ? 俺たちの存在意味を」
「ノブレスオブリージュ。理解しております。その上で私は、彼女を連れ戻す事を望む」
「へー、ならもう方法は決めてんだ?」

無言で流すカナトに、ウォーレスハイムは笑みをみせる。面倒な事柄を息子に丸投げできるなら、楽でいい。

「でもてめーは、ルシフェルにはなりたくねぇんだろう? それで今更、メロディアスの名前使わせろなんて、調子良すぎじゃねぇ?」
「承知しております。その上でルシフェルを、私ではなく、カナサが継ぐのなら如何でしょう?」
「次期ルシフェルは俺が決めるんだよ。てめーに文句言われる筋合いはないね」
「ならば、今。父上の抱えている問題を私が引き受けます。その上でのご判断を……」
「なりたくないって言ってる奴に任せるほど、今の俺は困ってないぜ?」
「ではリフウ嬢がレミエルの元にある今、どのように判断をくだされるつもりですか?」
「ほっときゃいいだろうが、そうすりゃ、ラファエルはシャロンになる。 うちで戴冠式みたいな祭りやれば、連中はどうしようもないさ」
「しかしそれでは、セレナーデ様の意向から逸れてしまう。リフウ嬢がレミエルの元で幽閉されれば、母上ばかりか他の七大天使からも失望されるのでは? 身内を見捨てたと」
「ほう?」
「それでこそ、メロディアスはジェラシアと同じとみなされ、たとえルシフェルを引き継いだとしても、後の世代に再び同じような事が繰り返されるかもしれません」
「で? お前はそれをなんとかしてくれるってか?」
「私を、父上の手で天界へ送り込んで頂けるのであれば……」
「ご立派なもんだね。変わりにやってくれんなら、まぁ俺も嬉しいっちゃ嬉しいが……」

間をおいて、ウォーレスハイムは笑っていた。
そして次の発言に、一気に比重がかかる

「俺自身、ルシフェルなんて称号ぶっちゃけいらねぇんだよなぁ……」
「……は?」

思わず声がでた。
ルシフェルがいらない?
つまり彼は、メロディアスの没落を望んでいるのか?

「俺はただ、天界にエミル界や冥界の情報を流して、ミカエルと意気投合しただけだぜ? そしたら、ルシフェルにされたんだよ。不本意だぜ?おかげでこんな窮屈な暮らしを強いられてんだ……息苦しいったらありゃしねぇ」
「ならば何故、シャロン母上を……」
「ん? 俺はただ、あいつに来いよって言っただけだぜ?」

ウォーレスハイムとシャロンの結婚に、政略的な意図がなかった?
でも、確かにシャロンはそう言っていた。貴族の窮屈な生活から抜け出したかったと……。

「残念だったな。称号とか家とか気にしてんのは、お前とカナサだけだぜ? 俺は別にどっちでもいいし、好きにしろよ」
「……なら何故、……父上は、私にルシフェルを……?」
「んまぁ、お前やカナサやシャロンには、幸せになってほしいしなぁ、親としての責任ってやつさ」

幸せと責任。
扉越しに聞いたカナサの叫びが、カナトの中で響いてくる。
好きな事をして、好きな場所にいって、自由に生きたい。
貴族としての義務を全うする為に生きてきたカナサは、その事を切実にジンへ訴えていた。

あぁ、そうか。
ウォーレスハイムは、カナサやシャロンの事も考えた上でルシフェルは要らないと言っている。
このルシフェルの居城で、貴族の義務を望み、権力を望む人間はだれもいないのか……。

呆然とカナトは考える事をやめた。リフウを連れ帰りたい思いはある。
しかし、連れ帰り、自身の考えを通しても、この居城がルシフェルの居城である限り、だれも幸せになれない。
カナトすら継ぎたくないのだ。だれも望んでいない。
そんな事、やる意味がない。
うな垂れたカナトは、頭が真っ白になって言葉すら浮かばなくなってしまった。なんの為にここへ来たのか、ケジメを付けたかった筈なのに……。

呆然と床をみて、記憶を思い返していると、カナトの頭に暖かい大きな手が乗せられた。
がっしりとした肉質のある手、手袋は外されている。

「まぁ、良く頑張った。相手は悪かったが、悪くないぜ? 勉強してんだな」
「……ち、父上?」
「そうだな、とりあえずまぁ……行ってこいよ」
「な……」
「貴族とかルシフェルとか言う以前に、おまえ個人的にリフウ姫に世話になったんだろ? ならそのぐらいのケジメはつけてこい」

何を言われたのだろう。
ゆっくりと飲み込んだ言葉に、カナトはようやく顔を上げた。

「ただし、それ相応の責任は果たせ。俺がお前を育てたのは、人に迷惑を掛けるためじゃない。連れ帰りたいなら連れ帰るうえで自分が何をすればいいのかちゃんと考えろ」

ウォーレスハイムの温かい掌になでられ、安心してしまう自分がいる。
何を迷っていたのだろう。
やることなんて既に決まっているじゃないか。

「はい、……父上」

背筋をのばし、再び父に向き直ったとき、唐突にロック調のメロディーが、その場に響く。
ナビゲーションデバイスを取り出したのは、ウォーレスハイムだった。
また、どこからかバイブレーションの音も聞こえて、今度はグランジだ。
ウォーレスハイムは、メールをみて眉間にしわを寄せ、グランジはキリヤナギに耳打ちをする。
何かが動いたらしい。

「またあいつらか……」

口に出したのは、キリヤナギだ。
銀の瞳は、苛立ちを見せ、うな垂れていた首をゆっくり上げる。

「父上、何か……」
「レミエルの使者が、またエミル界に向かったとさ」
「レミエルの使者?リフウ嬢は、もう天界にいるはずでは?」
「別の目的があるんだろ。キリヤナギ、そっちは?」

「ほぼ同じです、でもこっちは、ジンと言う名前のエミル族を呼び出せと……」

カナトの表情が一気に引き攣る。
何故ジンなのか。

「何故!?」
「人質だろうな……。リフウ姫を庇ったんだろ? エミル族はお前より扱いやすいからな」

ウォーレスハイムの呆れた表情に、カナトは更に背筋が寒くなるのを感じた。
天界でのエミル族への意識は確かに低い。
それでこそ、下界に住む下等種族としてみられているからだ、そんなジンが天界に連れて行かれたらどうなる?

「天界のメールがこちらへ来るまでに約6時間だ。移動時間も大体そのぐらいになるから、もう着いてるだろうな」

「グランジ、帰るよ」
「どうする?」
「ジンを保護する。とりあえず連絡いれて応答がなければ、TTRBから位置の算出を」
「わかった」

上着を着なおしたキリヤナギは、いつもの白服にもどり、ウォーレスハイムへと一礼した。

「本日もお世話になりました。また一月後、お伺いします」
「おぅ、またこい」

「キリヤナギ、私も――」
「やめろカナト。今は待て」
「それは、ジンが連れていかれるのを黙ってみていろと!!」
「一緒に行けばいいだろうが! エミル族1人ぐらいなんとかしてやるよ……」

ウォーレスハイムの譲歩に、カナトは拍子抜けしてしまった。
言葉がでず、呆然と父を見上げる。

「どうすんだい?」

キリヤナギはカナトを待っている。
来たいならこれば良いと言うように、
しかし対人が苦手なカナト行っても、足手まといになるだけだ。
ウォーレスハイムが、ジンも天界へ行く事に賛同するならば、ここで動く意味はない。

「騎士・キリヤナギ。お前に任せる……」
「仰せのままに、我が君」

マントを大きく翻し、キリヤナギは夜のアクロポリスへと向かった。
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本編 | 【2015-05-21(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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