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Royal*Familiar:第二話
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Royal*Familiar

第二話:別離の序章

前回
第一話:決意の序章


 

リフウは、全てを諦めていた。
エドワーズから告げられた母の余命。
別れが近いと知り、急いで天界へ戻ったのに、帰宅したラファエルの居城に母は居なかったのだ。
しかしこれも大方予想がついていたことで、

「セレナーデ様は、現在レミエル様の居城にてお体を休められておいてです」
「……そう」

知らない間に好き勝手されたものだ。
母は生まれつき体が弱い、それこそリフウが幼いころから、病気がちで部屋からあまり出たことがなかった。
しかしそれでも、リフウとシャロンに絵本の読み聞かせや、髪のゆい方も教わった事をリフウは今でも覚えている。

「エドワーズ、私は、どうすればいいの?」

三面鏡にむかい、エドワーズに髪を梳いてもらう彼女は、ドレスに身を包んだ自分を見ていた。
金の外出用のドレスだ。
これから、レミエル・ジェラシアの居城へと向かう。
フィランソロの人間として、身なりも整えなければならない。

「自身の事を、他人へ任せるのはよろしくないかと……」
「貴方は他人じゃないわ」
「勿体無いお言葉にございます」
「……」
「セレナーデ様は、予定通り、貴方様がラファエルとなられる事を望んでおられます」
「そう……よね」
「しかし、お嬢様が旅立たれてから、本心ではない事を察され、ずっと悩んでおられました」
「それで……、どうしてレミエルの所になるの?
カナトさんの、メロディアスには頼らなかったの?」
「メロディアスには、七大天使としての血は通ったものがおりません。その上、本居城はエミル界アクロポリスにあるために、天界の居城にはあまり戻られません、それ故……」
「そんな理由で……」
「ルシフェルの称号は、未だメロディアスが一代で築き上げたもの。ルシフェル様の力量は確かであれど、今のルシフェル様以外に役回りが務まるとは誰も思いませんから」
「だからと言って……そんな……」
「お嬢様。私たちが統治する世界は、産まれながらの使命において義務を全うするもの。その使命を持たぬものが、ここ数百年で現れたのです。他の七大天使達も困惑するのも当然といわば、当然でしょう」

なんて下らない理由だろう。
権力闘争で躍起になるレミエルより、事を冷静に捉え、未だ動きを見せないメロディアスの方が見ていて信頼はできる。

「しかし、お嬢様がラファエルとなり、メロディアスの者を婿養子として迎えるならば、メロディアスは再びルシフェルの冠を引き継ぐ事が出来ます」

本来の予定ではそうだった。
しかし当時のリフウは、顔も知らない相手との結婚など考えられず、その為に毎日お稽古をして、自分を磨いてなんになるのかと自問自答する日々が続いたのだ。

私も好きな人と結ばれたい。

リフウとは違い、自分で決意して家を出た姉は、ある意味自分の憧れだったのかもしれない。

「私の……メロディアスの家のお方は?」
「カナサ・フィランソロ・フォン・メロディアス様にございます」
「弟の……」
「はい。兄君さまの方がよろしかったですか?」
「な、何を言い出すの。エドワーズ……」

思わず振り返ったリフウに、エドワーズは笑みで返した。
あぁ……、昔からかわれたときもこの笑顔だった。

「カナトさんは……ルシフェルになられるのよね?」
「現時点では……。カナサ様とリフウお嬢様の子が、次期ラファエルの器として、カナト様は、エミル界にてシャロン様とウォーレスハイムの子として、ルシフェルを継ぐこととなっております」

ルシフェルの本居はアクロポリス。
リフウがラファエルとなれば、カナトはルシフェルの名を冠した後、再び会うことができる。だが、ジンは……。

「あのエミル族ですか? あの者とはもう、顔を合わす機会も無いでしょう……」
「……」

リフウがラファエルとなれば、もうエミル界へ行く機会がなくなる。
そればかりか、立場を安定させるのに、少なくとも30年、50年はかかるだろう。
そんな時を、エミル族は待ってくれない。

「立派になられましたね……」

結わえられた髪は、フィランソロに伝わる伝統的な纏め方だ。
この結び方をみれば、フィランソロの人間だと一目で分かるもの。

立ち上がり、三面鏡に写る自分を見ると記憶にある自分とは違う自分がそこにいた。
帰ってきてしまったのだ。実家へ。

「レミエル陛下がお待ちです」
「行きましょう。エドワーズ」

凛とした声で、リフウはレミエルの居城へと向かう。





リフウが天界へ戻ってから一夜明けて、カナトは一人天界へ赴く方法を画作していた。
画作と言うのは、リフウを連れ戻すために必要な情報が少なすぎる為、動くにしてもどう動けばいいかわからないからだ。
裏道を使って天界へ行った所で、カナトはメロディアスとしての証明されなければ、顔を合わすことすら出来ない。

「ややこしいんだな……」
「貴様なら、治安維持部隊のデータベースから身分証明は可能だが、私は冒険者になった時点で、名を一度捨てているからな」
「図書館のは?」
「たまたま図書館のデータベースに私の顔写真があっただけの話だ。丸腰でいけば、唯の似ている他人としか扱われないだろう」
「げぇ、じゃあどうやっていくんだよ」

ジンが力なく机に突っ伏した所で、唐突に来客のベルが鳴った。
カナトは、まるで待っていたかの様に席を立つと、迷いなく扉を開ける。

「兄上!!」
「よく来たな。カナサ」

飛び込んで来たのは、上品なベストを纏うタイタニア。当然のようにカナトへ抱きついたのは、いつも通り、バトラーを連れた。双子の弟、カナサだ。

「突然呼び出して済まなかったな……」
「兄上が、実家の話をされたいと言われるなら、来ないわけにはいきません!」

「カナサ君じゃん、久しぶり!」
「……兄上、まだあの人おられたんですか?」

「ジンはこの家の住人だからな」

相変わらずの扱いで、何故か安堵の溜息がおちる。どうせカナトのオマケだ。
気を使ってお茶でも出そうと思ったが、バトラーが素早く台所へむかい、お湯を沸かし始める。
座っていて欲しいと促され、ジンもカナトの隣に座った。

「早速ではあるが、カナサ。私自身とフィランソロの現状を教えてほしい。私が考えていたのは、昨日メールした通りだ」
「はい、しかし大まかな内容は、兄上が考えられた憶測と合致していますが……、まず、兄上を勘当したと言うお話を、父上は天界へ報告していません……」
「そうか……、本当なら殴り込みに行くべきだろうが、この際利用させてもらおう。ラファエルの件は?」
「ラファエル・セレナーデ様は、自身の称号を継がせるリフウ様が居なくなってから、とても体調を崩しておられました。お一人で城に篭り、父上が時々様子を見に行かれたりして何とか元気付けられていましたが……、ここ数年で容態が悪化して……」
「……メロディアスの居城へ移ることはしなかったのか? 天界の方ならば、母上が……」
「それも、提案されていました。でも……叶わなかったと……」
「叶わなかった……? つまり、ラファエルはもう、自身の意志では動けない程に、衰弱している?」
「分かりません……。僕は、ラファエル様にお会いしていませんから」
「……もし、ラファエルの衰弱がひどいのなら、レミエルが割って入り、メロディアスを部外者として、弾いた事は大いに考えられる。それとも、娘を見つけてやると条件を持ち出したか……。レミエルがラファエルの権限を主張したのはいつだ?」
「まだ、最近です。ラファエル様が、レミエルの元へ預かられ一月ほど、この時期から、レミエルは躍起になって各世界へ使者を送り込んでいると聞きます」

リフウを探していたのか。
ラファエルとレミエルの間に、何かしらの取引があったのだろう。でなければ、レミエル側がリフウを探す意味がない。
取引の内容は恐らく、
家督権限を一時的に預ける変わり、リフウを見つけろ。
あとは好きにしろ、だろうか。

「でも、ラファエルになるリフウさんはもう天界に戻られたんですよね? ならもうそんなに心配しなくても……」
「カナサ。そう簡単に行くと思うか?」
「へ? だって、リフウさんはフィランソロの純血統ですよ」
「レミエル側にラファエルのセレナーデ様がおられるなら、リフウ嬢も、当然様子を見に行くだろう。その上で、レミエルがリフウ嬢を求めればどうなる?」
「レミエルが次期ラファエルを……求める? そんな、そうなったら、僕……メロディアスは……」
「私たちメロディアスは、ルシフェルの称号を引き継げなくなるかもしれない……。血を混じ合わりがなければ、信頼も得られない社会だ。安易に想像できる」
「だけどそのときは、リフウ様が、継承権を断ればいいだけの話じゃ……」
「継承権を放棄できればの話だな……余命僅かな母が目の間にいる場所で、その判断が彼女にできるのか……」

顔を引きつらせたカナサに、バトラーが寄り添う。未だ予測の範囲だが大いに考えられる結末だ。

「バトラー、私はレミエルに会った事はないが……どうだ?」
「……レミエル様の一族、ジェラシアは過去より引き継いだ穢れにおいて、その存在を他の七大天使からいささか疎ましく思われております」
「穢れ……?」
「レミエル様の子たる、御仁が、誰かわからぬ異族との間に子を設けたと、そしてその穢れを払うために、子を天界より放り出した」
「……くだらん。メロディアスが七大天使として成り上がる事は、レミエルにとって自身の贖罪を浮かび上がらせる事になると言うことか」
「恐らくは……」
「自身の正当化の為に、リフウ嬢と、メロディアスを巻き込んで、繁栄を妨げるか……まさに足の引っ張り合いだ。ばかばかしい」
「お父上に似てまいりましたな、カナト様」

言葉に詰まったカナトに気づき、ジンは思った。
……眠い。
カナトは頬杖をついてウトウトするジンをみて溜息を落とすと、声を張り上げた述べる

「ジン!」
「うぇあ!? 何?」
「私はこれから、カナサと一度実家へもどる」
「へ? なんで?」
「天界への道筋を立てるためだ。どうせ貴様、話を聞いても理解できないだろう。終わったら連絡をいれる」
「……」
「何か不満か?」
「てめぇだけで天界に行くとか絶対許さねぇからな、ちゃんと連れていけよ」
「わかっている」

カナトのはっきりとした言葉に、ジンは只ならぬ覚悟をかんじた。
あれ程までに実家を避けてきたカナトが、自分から帰ると言うのだ。どう言う風の吹き回しなのか、それとも別の理由があるのか。
しかしそれでも、カナトの実家が危ないことは解る。

着替える為に自室へ戻ろうとしたカナトを、ジンは思わず呼び止めた。

リアスは、ジンにこれ以上関わるなと言った。
連れ戻すことは、カナトの実家がなくなる可能性もあるのだと、
その上でカナトも、連れ戻したいと言っている。

「お前、……大丈夫なのか?」
「なんだ? 自分で連れ戻すと意地を張っていた奴が……今更尻込みしたか?」
「うるせぇよ! でも、リフウちゃんが不幸になるかもしんねぇって、リアスが言ってたからさ。俺、貴族の事情とかはよくわかんねぇけど……リフウちゃんとお前が、不幸になるのは嫌だぜ?」

言葉を単純に受け取ったジンの、最大限のフォローとしてカナトは受け取った。
無理をするなではなく、不幸になるなとは、ジンらしい。

「心配するな。ここで私が動かなければ、どちらにせよ泥沼になる。……簡単な話だ。リフウ嬢を取り戻し、メロディアスの立場を絶対的なものにすればいいだけのこと」
「兄上、それは兄上が……」
「カナサも振り回してしまうと思う。それでも構わないか……?」
「僕は未熟で……父上とも対等に話す事はできません……。でも、僕も僕なりにできることをしたい」
「そうか、……ありがとう」

カナトの態度を見る限りでは、不安は一切ない。
普通なら安心出来るはずなのに、ジンは言葉にできない不安を感じていた。
天界にいけるならそれでいい、だが、天界へ行った時カナトはどうなるのだろう。
貴族として天界に戻れば、リフウを連れ戻せる。だが、連れ戻したあとはどうなる?
また、リフウを家に招き、月光花の四人でこの家に居られるのだろうか。

着替えの為にバトラーと自室へ消えたカナト。
残された双子の弟カナサは、バトラーが持参したクッキーをつまみ、本を広げて自習を始める。

明らかに話しかけるなと言うオーラを放つカナサに、ジンは困惑しつつも、口を開いた。

「カナサ君は今回の話、どう思ってるの?」
「……僕としては、兄上が実家へ戻って来て下さることは大変嬉しい限りですね」
「やっぱあいつ、実家にもどらないといけないのか……」
「冒険者としてではなく、メロディアスとしての名を誇示するのですから当たり前です。そもそも、こうして野蛮な共同生活を強いられていること自体、貴族としてあるまじき事ですからね」

野蛮と言う言い回しに困惑したが、彼からみたらそうなのだろう。
長命なタイタニアから見ればエミル族など、短命で哀れな人種だと思われてそうだ。

「でも、……兄上が本当にそれでいいのかどうかは、僕にはわかりません」

カナサの言葉をきいて、ジンは返答に迷った。
カナト自身の考えを、ジンはまだ全て理解してはいない、先程の会話から全て固まっているように聞こえたが、このままだと、カナトは実家で暮らさなければいけないらしい。
カナトは本当にそれでいいのだろうか。

「別に僕は、エミル族の貴方が寿命を終えるくらい、待っていても良かったんですよ?」
「……つーか。タイタニアって大体どのくらい生きんの? 長命だとはきいてっけど」
「平均だと、大体500歳前後でしょうか、過去の長寿番付だと、700歳前後もあったきもしますね」

聞かなければよかったと、ジンは心から後悔した。
カナトが時々時間にルーズなところを見せるのも、長命である事が要因にありそうだ。

「心外です。私たちアークタイタニアとエミルでは、時間の捉え方が違うだけと言っていただきたい。そもそも、エミル界にいる時点で私たちが貴方に合わせて差し上げているのですから、もっと敬意を示していただきたいものですね」

言い返す言葉もない。
たしかに貴族であるカナサとジンが、こうして会話しているのも本来ならありえない話だ。
それも、敬語をまともに話せなくなった自分に応じてもらっているのも珍しい話でもある。

「カナサ君は……俺以外のエミル族と話したことあるの?」

カナサの動きが一瞬止まった。
深い意味はなかったのだ、ただ興味があっただけのこと。

「……この僕が、エミル族と言う尊い種族と交友があるとでも?」
「へ? いや、そう言う意味じゃないってば、別に友達いないとかはないんだろ?」
「……」

カナサは黙り込んでしまった。
思わぬ所で、ジンは地雷を踏んでしまったらしい。

「ノブレスオブリージュ……」
「は?」
「貴方には、一生理解出来ない、縁の無い言葉でしょう……」
「わ、わかんねぇ! わかんねぇから、教えて、ごめん……」
「”高貴さは義務を強制する”」
「!」
「貴族は高い地位と権力を得る代わり、生涯それを持って世界へ貢献しなければいけない。騎士が国民を守ることを義務とするように、僕達は、天界とエミル界との外交を支える義務がある。僕と兄上は、その為に生まれ育てられ、死ぬまで義務を背負うのです」
「……」
「……貴方には理解出来ないでしょう。生まれてから今まで自由に生きて、今だって好き勝手にふらついて、やりたい事をして、行きたい場所にいって――」

「カナサ!!」

二階から聞こえてきた同じ声に、カナサは我に帰る。
礼装に着替えたカナトは、バトラーに髪を整えられ凛とした表情をみせている。
足元には、紋章付きの首輪を付けた狼姿のワーウルフ、ルナもいた。

「兄上」
「立場の違うものに、同情を求めるな。毅然としていろ」

「は? カナト……」
「貴様も深入りはするな。私たちがこうして平和に暮らしていられるのも、”ノブレスオブリージュ”、外国の封建騎士やキリヤナギが、その義務を全うしているからだ。カナサがここで私語を述べるのは、それらの貴族達を侮辱することになる」
「……!」
「話だけでも、聞いてもらえたことに感謝しておけ……カナサ」

「はい……」

カナサはぐっと歯を食いしばり、ジンに対して小さく一礼をし、広げた自習セットをカバンへと直す。
駆け出すように出て行くカナサを、ジンは引き止めることが出来ず、呆然と見送る。

「夕食は要らない。明日の午後に戻ろう。留守は任せる」
「……」
「返事」
「わ、わかってるよ。ちゃんとかえって来いよ……」

カナトはフッと笑みを見せ、ルナと共に自宅をでる。




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本編 | 【2015-05-14(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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