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Heart*Lost:第十三話
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Heart*Lost
第十三話 解放への軌跡

第一章
第一話:終わりの始まり
第二話:序章
第三話:失うもの
第四話:夢への入口
第二章
第五話:孤独からの再動
第六話:戦いの絆
第七話:覚悟への道
第八話:凍てついた心
第三章
第九話:目覚めの対価
第十話:矛盾を得た安息
第十一話:王の洗礼
第十二話:救済の灯


 沢山の蒸気が吹き出す街がある。
早朝から、運搬用の汽車が動き、人々が忙しなく動くのは、アクロニア大陸の最南端にある街、アイアンアウス連邦の首都、アイアンサウスシティだ。
ここの下層階の一角に職服をきた冒険者達が綺麗に整列をして待機している。
彼らは、治安維持部隊へ所属するある部隊の隊員達だった。
そんな彼らをまとめるのは、グロリアスマントを靡かせる長身のアークタイタニア、ガーディアンの職服を纏う彼は、自らの部隊を眺め真剣な眼差しを向ける。
彼は、アークタイタニア・ガーディアンのホライゾン。大佐の階級をもつ、ギルドランク1stのランカーだった。

「みんな来てくれたかな?」
「4th、7th、8th、10thは既に到着しています。もう一人も前日の段階で確認は終えていますので、大丈夫でしょう」
「そうか、もう一人は?」
「聖堂からの応援です。エミル族ですが、実力は私が保証します」
「セオ君も認めるとは、とても優秀なんだろう」

到着部隊のチェックを行い、エミル・アストラリストのセオが頬を染める。
現場指揮を行うのは、大佐ホライゾン。先陣部隊を率いるのは、セオをリーダーとする8人だ。
過去にジンとカナトが迷い込み、その存在が囁かれたディメンションサウスダンジョンだったが、
ここ最近の調査で、その空間がほぼ永続的に存在していると言う事がわかり、維持していると思われるモンスターもいると言う事が明らかになった。

当初の仮説では、モンスターが異空間を発生させたことから、空間を発生させたモンスターを倒すことで、空間は消滅すると言われていたが、

逆説として、空間そのものは始めから存在し、発生したモンスターの巨大な魔力によって、空間へ亀裂が生じ、冒険者が迷い込んでいるのではないかと言う説が浮上したのだ。

その真意を確かめる為、ギルド評議会は、独自のダンジョン攻略として治安維持部隊が選んだ。
また、ギルド評議会が危険とされるディメンションサウスダンジョンの消滅を望んでいるのもあり、アイアンサウス軍も全面的に後押ししてくれるそうだ。

「……先陣部隊の彼らは?」
「作戦概要の説明は午前中に終わり、入り口付近にて待機中です。ジ……5thと、もう一人の到着が少し遅れていますが、午後の出発前にはつくかと」
「朝に弱いって聞いてたけど、本当だったんだね……」
「治ったと聞いていたのですが……」

少し呆れた。
遠足気分で眠れなかったのだろうか。
ため息をつきつつ、セオは作戦概要の書類へ目を通す。

先陣部隊としてランカーが選ばれるのは、おかしな話ではない。
行動制限の解除により、個々に動く彼らは、大隊としての動きより少人数でのパーティプレイに慣れている。
また個々の実力も飛び抜けているため、万が一取り残されたとしても生き残る為の判断力も十分にあるだろう。
しかし、それでも彼らは一年近く部隊から距離を置いている。
個々の実力は申し分ないが、チームワークとしての不安がぬぐいきれずにいた。

「でも、今期のランカーの何人かは、集団行動苦手だったし、知ってる顔じゃないと無理じゃないかな?」

セオがぎくっとした。
確かに、ジンとかジンとかジンとかジ……

「あれ……」
「どうかしたかい?」

考えるのはやめた。
ある意味適任だとは思うからだ。

「師匠! ジンさんとカナトさんが到着しました!」
「こら、カズヒ。任務中は、名前ではなく。5thと嘱託の冒険者さんと言うと言ったでしょう?」
「ふぇ!? ご、ごめんなさい!! お二人が到着されました! 本人確認も終えています!」
「分かりました。出発までまだ時間がありますので、待機場所まで向かいましょう」
「了解しました! 準備してきます!」

ハキハキと走り去る弟子に、セオはふっと笑みを零す。
ホライゾンもそれをみて安心し、自分のデバイスをみた。

届いていたメールは、キリヤナギからの物で、その内容に思わずため息をつく。
風邪を引いたらしい。
セオには、心配をかけるので言うなと追記しているが、時間の問題だろう。
しかし、ホライゾンはある意味ほっとしていた。

ここ最近のキリヤナギは、回廊の攻略に意地になり、酷く無茶をするフシが見える。
これをきっかけに頭を冷やして欲しいとは思うが、彼を止められる人間が治安維持部隊には存在しない。

ランカーがある意味そうではあるが、行動制限を解除している手前、信用が得られず、ホライゾンは少し危機感を得ていた。
総隊長の自覚はあれど、キリヤナギもまだ若い。
間違いも犯すだろう。
頭がよく、自分が未熟であると何よりも理解しているが、それを補えるものをキリヤナギはまだ得られていないのだ。

しかし、彼が必要とすべきそれは、恐らくキリヤナギが生きていく上で、最も入手が難しいものだろうと、ホライゾンは心に思う。

「ではホライゾン大佐。お昼休憩を挟み、行ってまいります」
「あぁ、気をつけてね。セオ君、くれぐれも油断しないよう」
「はい」

ゆっくりと一礼し、セオがホライゾンのテントをでた。
次に会うのはダンジョン内部で、あるいみ戦場だろう。





朝だった。
春の日差しが柔らかい、優しい朝。
とても静かな朝に、エミル・ガンナーのジンは違和感を覚えつつ体を起こした。
今日という日の為に、対モンスター用の弾丸を集め、コンディションも整えた。
少し銃のメンテナンスで夜更かしをしてしまったが、寝覚めはよく寝不足の億劫さはない。
いい朝だと思い、大きく伸びをした途端。

目に入った壁掛け時計に、ジンは首を傾げた。

現地集合時間は10時。
アイアンサウスへは、定期便の乗り継ぎで二時間の距離だ。
つまり、8時前には自宅を出なければいけないのだが、壁掛け時刻は朝9時半を指している。
ジンはしばらくの間、その意味を理解できなかった。
少しずつ理解した現実は、ナビゲーションデバイスの目覚ましアラームをセットし忘れた事と、どうやっても間に合わない事実で――、

「カナトぉぉお!!」

自分より寝覚めの悪い相方の名前を叫ぶ。
案の定、起きていない。
睡眠障害は完治しただろうと言いたかったが、デバイスをにぎりブーストを抱きしめているのを見ると、アラームを止めて二度寝したのだろう。

頬を叩いて起こし、ジンは着替えを急いだ。
デバイスを片手にセオへ通信を飛ばすと、ジャケットを羽織ながら遅刻の連絡を入れる。

通信を切ったあとに腰のベルトを締めつつ、カナトを見に行くと、
横に倒れて三度寝に入ろうとしていたので、無理矢理部屋から引っ張り出して起こした。

カナトがコーヒーで目を覚ましている間、ジンは顔を洗って寝癖も直す。
必要最低限の準備を終え、荷物を自室へ取りに行こうとすると、寝巻きのカナトに裾を引かれた。

「どした?」
「朝食……」
「だぁ! 外で買ってやるから、さっさと着替えろよ!!」

寝ぼけてスケジュールを忘れて居たのか、私服を着て出てきたカナトに、ジンは全てを諦めた。
焦っても仕方ない。

結局、鎧の着用を丁寧に手伝い。
2人は集合時間後の10時30分に自宅をでた。
無理矢理起こしたからか、カナトは定期便でも1時間程眠る。
降りる頃にはちゃんと起きてはいたが、朝食を抜いてきた為、機嫌が悪い。

「空腹……」
「駐屯地ついたら昼飯あるから、もうちょっと我慢しろって」

ジンは定期便で売られていた軽食をつまんだが、如何せん量が少なく空腹感が酷い。
カナトはイライラするのか、黒いマントで顔を隠し、フードまで被っている。
あまり話しかけない方が良さそうか。

そう思った矢先、アイアンサウスシティ下層階の一角に、職服をきた大勢の人間が集合している。
ざっと100名ほどはいるだろうか。

人数に圧倒され呆然としていると、ジンとカナトに気付いた一人がこちらへと歩いてくる。
エミル族の彼は、アストラリストの職服をまとい、チェック表を携えていた。

「ジンさん! カナトさん!」

聞き覚えのあるその声は、とても久しぶりのもので、ジンも「お」と声をあげる。
彼は、エミル・アストラリストのセオの弟子、エミル・アストラリストのカズヒだ。

「お待ちしておりました! お疲れ様です」
「久しぶり! わりぃな。遅刻して」
「いえ、まだ出発時刻ではないので大丈夫です。しかし、出発前の任務概要の説明がありますので、とりあえずランカーさんの控えテントに――」
「わ、わりぃカズヒ、俺ら実は昼飯食ってなくて、その……」
「ふぇ!? すみません! そういえば今は午前の出発式が終わってお昼休憩中でした。お弁当が支給されているので、ランカーさんの控えテントにて――」
「ぁぁあ、わかった! とりあえず、ランカーのとこ行けばいいんだな?」
「はい、そうです! 配置図をお渡ししますので向かってください。それでその、ジンさんはランカーだとわかるよう、光砲・エンジェルイロゥを見えるように歩けば誤解がないかと……あと、人が多いのでカナトさんと離れないようにお願いします。カナトさんに至っては一応全員が参加を周知していますが、流石に容姿まではわからないので、誤解される可能性があるからです」

早口でチェック表を読み上げるカズヒに、ジンは少し感心した。
自分達が遅刻した為に駆り出されたのだろうが、言われた仕事をちゃんとこなしているのだ、とても頼もしい。

「サンキュー、カズヒ!」
「ほぇ!? ぼ、ぼくは師匠のお手伝いをしてるだけでその……あ、お二人がついたら報告するよう言われているので、ぼくはそろそろ行きます」
「おう、 悪かったな! セオによろしく!」

チェック表に印をつけ、カズヒは駆け足で消えてゆく。
後ろには、終始無言のカナトがいてジンは思わず生汗を流した。
気分が悪いのはわかるが挨拶ぐらいしてほしい。
ジンは結局、光砲・エンジェルハイロゥをカバーケースに入れたまま、堂々とテントへ向かった。
職服ではなく、私服の人間が歩いていることに、道は自然と空いて気まずさを感じる。
ジンはひどく肩身狭い思いだったが、カナトが人混みで熱気を感じ、被っていたフードをゆっくりと脱いだ。
これをみて、ジンはぎょっとする。
途端出現した光輪としなやかな茶髪に、周りの部隊員の視線があつまった。

カナトはアークタイタニアだ。
部隊でも数が少ない高位種族。
その容姿は、全種族で最も優雅であり美しいとも言われている。
そんなカナトが、この人だかりの中、突然顔を出せばどうなるか。
考えなくてもわかってしまう。
真っ白な淡い肌と青い目、機嫌が悪いため眉がしゅっとたち、クールな顔立ちになっている。
悪目立ちしたカナトは、さらに道を開けられ、ジンは思わず手で顔を覆った。
そそがれた視線は、誰だあいつと言う目だ。

そんな事をしながら、ようやく言われたテントへとたどり着くと、簡易なテーブルとホワイトボートがあり、お弁当も用意されていた。
そのお弁当を1番手間で頬張っていたのは、赤い髪をアップにするドミニオンの彼女。

「あらまぁ、遅刻したくせに派手な登場ね。どうしたの」
「すんません……。リゼさん。おはようございます」

ギルドランク7th。イクスドミニオン・ホークアイのリゼロッテだ。

「カナトさんにジンさん! こんにちは!」
「ジンさんにカナトん、久しぶりぃ!」

黒髪にアークタイタニアの少年は、ギルドランク10th、アークタイタニア・グラディエイターのカルネオル。
白羽にワンピースの彼女は、目隠しをした、アークタイタニア・フォースマスターのぬえだ。
そんな2人のテンションにジンは少し安心する。
しかし、この場に三人しかいない。

「あれ、足りなくないすか?」
「いますよ。セオさんはもう少しでくるそうです」

後ろから聞こえた声に、ジンは悲鳴をあげた。
眼鏡をかける彼は、ギルドランク8thエミル・イレイザーのリアスだ。

「大分悪目立ちしてましたね」
「俺じゃねぇし」
「カナトさんではないです。ジンさんが武器を隠すせいで、みんな何者かと騒いでいますよ」
「また俺かよ!! いちいちうるせぇ!!」

空腹が一周回り怒鳴りたくもなる。
カルネオルに席を勧められたジンは、カナトと隣同士に座り、お弁当を配った。
食べて良いと言うと、ようやく表情がゆるんで口をつけだし一息。

「二人揃って、大分遅刻じゃない。珍しい」
「すんません。まさか寝坊しちまって……目覚ましかけ忘れちまって」
「普通なら帰らされるレベルだけど、ランカーでよかったわね」
「本当すんません。反省してるっす」

「……でもでも、別に参加しなくても良いし、大丈夫ですよね!」
「そうそう! ジンさんなら多分夕方まで寝てても、現地をみにきそうだし!!」

フォローなのか罵倒なのか分からない。
ため息を着いて自分のお弁当を見ると、添えてあった大根の煮物がなくなっている。
文句言うべきか迷ったが、犯人は隣で黙々と食べているので、敢えて黙ることにした。

「全く、久しぶりの大規模任務であるにもかかわらず、呑気なものですね」

口いっぱいに惣菜を詰め込み、ジンが新しい声の主へ視線を送る。
後ろに弟子のカズヒを連れて現れたのは、右手に宝杖・レッドルナを携えたギルドランク6th、エミル・アストラリストのセオだ。

「わりぃな、セオ。遅刻して……」
「とても手間はかかりましだが、来たので良しとします。この休憩が終わり次第、私達はダンジョンへ突入ですが、遅刻してきたお二人のために今回の任務概要の説明を……食べながらでいいので聞いてください」

ホワイトボードを土台に、セオは二人のため簡単に内容を説明してくれた。
一つはディメンションサウスダンジョンの攻略。これについては、先陣部隊として突入し、密集しているモンスターの駆除を行うこと、そして後発部隊への道を切り開き、悪魔ベルゼビュートを探す事だ。

「悪魔ベルゼビュートは、恐らく最奥にいると予想されています。発見次第、後発の本隊が来るまで足止めを行うつもりですが、出来ない場合は素直に後退し、援軍の到着待ちます」
「後退させてくれるのかしら?」
「わかりません。最悪、次元安定石を使用しての脱出を考慮して進みます。任務そのものは、本隊と合流し、ベルゼビュートの討伐が終了次第完遂となりますが……ダンジョンが崩壊しなかった場合、行方不明者の捜索も行う予定です」

セオの言葉にカナトが顔を上げた。
任務の目的は討伐だ。
討伐後に崩壊する可能性のあるダンジョンで、なぜ逢えて行方不明者の捜索があるのか。

「討伐がおわったら、好きに歩き回っていいって事でしょ?」
「ジンさんとカナトさんが始めてあった場所に行ってもいいって事ですね!?」

「あくまで、行方不明者の捜索です。観光ではないのですから、そこはわきまえてください」

セオがピシャリと言い放つが、まんざらでもない。
ジンは首を傾げているが、カナトは少し頬が緩んだ。

「ありがとうございます……」
「行方不明者の捜索ですので、それをわきまえた行動を、一度あの場所へ堕ちた貴方は、何より生きてあの場所から出て来た。地形を把握していると同時に、貴方と同じ方法で生き残ろうとしている人がいるかもしれない。長居はできませんが……」
「わかりました。最大限の助力を行いましょう」

カナトの意思をセオは心で受け取った。
ディメンションサウスダンジョンは、二人が出会い、全てが始まった場所だ。失ったものがあるなら、取り戻せるだろう。

「カナト、お前は入ったことあるのか?」

きょとんとしたジンの疑問に、一同が黙り込む。
一瞬で冷めた空気にジンは戸惑い、ぎょっとした表情をみせた。

「二年程前の、サウスダンジョンでの合同演習は覚えていますか?」
「あぁ、俺なんか大怪我してここの病院で治療されたような……あんま覚えてないすけど」

「大怪我した理由は、覚えてないんですか!?」
「へ!? えーっとぉ、直ぐ月光花に直してもらったしなぁ……」

ディメンションサウスダンジョンでの記憶が、抜け落ちているのか。
カルネオルが話してくれはするが、ジンは返答にこまるばかりだ。
それを見たセオは、自分の顎に触れて少し考察する。

「きっかけさえあれば、ある程度は戻る筈ですが妙ですね。やはり何かがあるのかもしれません」

ジン自身はやはり複雑なのか、言葉にすら出来ず黙り込んでしまう。

「ジン」
「何?」
「お前は、取り戻したいと思うか?」

何をとは、言わなくてもわかる。
今更だとは思ったが、会えて問うのもやはり意味があるからだろう。
取り戻して欲しいという願望は、カナトのものだ。
ジンにない記憶は、カナトと二人だけのもので、必ずしも必要なものではない。
極端に言うなら、不要だろう。

カナト自身、期待をしていないのか今日は朝から酷くいい加減だった。
本当に取り戻したいならちゃんと起きる筈だし、真面目に準備もするだろう。なのに、カナトは寝ていた。
期待していなかったのだ。
ジンがその気なら無理矢理連れ出してくれるだろうと、カナトは信じていた。
だからここであえて問う。

共に行こう。
全てを取り戻して、もう一度行こうと、

「当たり前だろ! 俺だけとり残されていんのがきにくわねぇし、糞真面目なてめーが、なんで俺みたいなんについてきたのか、気になるしな」
「私は、お前について来いといわれたんだが?」
「しらねぇよ!」

カナトの後ろで、セオがため息をついた。
だれも彼もがほっとして肩をなでおろす、いつも通りだ。

「仕方がありませんね。任務概要の説明は以上です。時間もあと15分程で出発ですが、ここで我々に同行する一名を紹介しましょう」

セオが時計を確認し、脇へ視線を移す。
いつの間にか居たそのエミルは、タヌキ耳に飾り型のナビゲーションデバイスをつける、青年。
カジュアルロングTシャツを羽織、青いハープを携えている。

「聖堂管理協議会からの応援で駆けつけて下さった、コトラ中尉です。今回はカーディナルとして私達の支援をお願いします」
「こんにちは、お初にお目にかかります。エミル・カーディナルのコトラです。お見知り置きを」

「中尉さんすか。よろしくお願いします」
「中尉と言ってもまだまだです。お手柔らかに」

「カーディナルさんと一緒なんて、久々ね。これは暴れられそう」
「やったー! 魔法うち放題!」

「僕も僕も! ラウズボディでジリオンブレイド!」

怖い。
はしゃぐ二人に戦慄したが、今はとても心強かった。
その後セオは、全員に次元安定石を配り、8人パーティを組んで入り口へと向かう。
後続部隊は20分後に突入し、先陣部隊が切り開いた道をさらに広げる。
一層毎に確実にモンスターの数を減らして行く作戦だ。

「カナトさん。敵の強さは?」
「強力ではありますが、それはあくまで私一人の場合です。魔法を使えるお二人がいれば、苦戦はしないかと、ただ”リフレクション”を使います」

「えへへ、スィー君にイリスカード沢山もらってきたよ! 我が”ランチャー”に敵なし!」

戦慄してしまうのは何故だろう。
彼女は手加減をしない分、”リフレクション”がなにより怖い。

「では、行きましょうか」

セオが透明なガラス玉を指で弾く。
途端。
8人を支える床が抜けた。
周りが真っ暗になり、皆が着地を決める中、ジンが尻から落下し尻餅を付く。

「いってぇぇぇえ!!」

「あははは、ジンさんのどじー!」
「どんくさいわねぇ! ばーかばーか!」

ぬえとリゼロッテに容赦と言う言葉はないらしい。
痛む腰をゆっくり持ち上げると、カナトが真っ青になり、唖然としている。
声をかけようした直後、カナトはふわりと横に倒れ、気絶した。


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本編 | 【2014-05-08(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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