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最終回長編シナリオ Heart*Lost:第一話
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JKな奴ら Last*Story

Heart*Lost

第一話 終わりの始まり

*目次

第一章
第一話:終わりの始まり
第二話:序章
第三話:失うもの
第四話:夢への入口
第二章
第五話:孤独からの再動
第六話:戦いの絆
第七話:覚悟への道
第八話:凍てついた心
第三章
第九話:目覚めの対価
第十話:矛盾を得た安息
第十一話:王の洗礼
第十二話:救済の灯
第十三話:解放への軌跡
第十四話:罪の意味
第十五話:JKな奴ら





 
「イリスカードとは、思いの力が結晶化し魔法物として存在しているものです」
「は、はぁ……?」
「思いの力とは、人間、モンスターに限らず、様々な物質に宿り、それそのものの心の有無は関係がありません」

目の前の科学者の言葉に、エミル・ガンナーのジンは思わず黙ってしまった。
昨日の朝、ジンは目の前にいる男。ドミニオン・カバリストのカインロストから、イリスラボへときて欲しいと言われ、渋々ここへとやってきた。
イリスラボときいて、最初はどこにあるか分からなかったが、当てもなく元宮へ向かった所、エレベーターの入口でカインロストが待っており、地下へと案内されて今に至る。
その間、カインロストは延々とイリスカードについて話し続けており、たどり着く前に全て話し終えてしまうのではないだろうかとも思う。

「モンスターの中にも様々な種族がありますが、より人に近い種族であればあるほど、心も存在もおおきく、抽出できる思いの力もとても強力なものになります」

やはりいま一つ理解ができない。
つまり人間系のモンスターを狩って来いということだろうか。
カードそのものの理論はどうであれ、なぜここへ呼び出されたのかが疑問だ。

「あの、なんで俺だけ? 他の人よばなくていいんすか?」
「他の方では意味がないのですよ」
「へ?」
「ジンさんに、見ていただきたい。協力して頂きたいことがあるんです」
「俺に?」
「はい」
「なにかあるんすか?」
「以前、セオさんのガイダンスを受講した際、あなたはイリスカードを使おうとしなかった。それは何故ですか?」
「え"……その…まぁ、なんていうか。あんま得意じゃないっていうか、その」

意地だったなど言えるわけがない。しかし相手は科学者だ、理由がなければ理解して貰えるとも思えない。

「えっと……まぁ、せっかくの人の気持ちっつか、思いって大事だと思うし、それを使い捨てにしてしまうのはなんか、あんまりいい気しないっていうか……」
「……」
「カイトさんの研究、すげえとは思うっすけど、俺にはあわねぇなっていう」
「なるほど、やはりあなたでないとダメだ」
「は?」
「目の前におかれた武器を、感情的な理由で使わない。セオ大尉も心配しておられますよ」
「えっとぉ……それは俺だけじゃないような」
「貴方でなければいけない」

どういう意味だろうか。
彼と話していると、変に調子が狂って気持ちが悪い。
言いたい事が分からず、ジンはうーんと呻いた。
そうしているうちに長い階段が終わり、分厚い扉の前へ連れてこられる。
ナビゲーションデバイスを翳し、ロックを解除したカインロストは、快くジンを招き入れてくれた。

「ようこそ、僕の根城へ。ここはイリスカードを生産するための中核となる施設です」
「へぇー」

真っ白な部屋だった。
汚れの一つもない白い部屋。
奥には青い巨大な機械があって、中央に何かを入れるのかガラスのケースがはめられている。
中には青く小さな結晶が光、をはなっていた。

「これは、平原のモンスターから採取した心。この物質から思いの力を発生させ、結晶化を行います」
「……」
「どうかしましたか?」
「やっぱなんか……いい気がしないっつか。帰っていいっすか? 俺、早く帰って相方に飯つくらねーと……」
「残念ですね。ならせめてお茶でも御馳走させてください」

お茶ぐらいならいいか。
研究室の更に奥へ案内され、ジンはソファへ座るよう勧められた。
カインロストはジンに紅茶をだすと、透明な七色の板をトレイに持ってくる。

「これが、プリントされる前のイリスカードです」
「へぇーすっげぇ」
「こうみると、どのアビリティベクトルかはわかりませんが、光の反射具合や透明度、色相の表現度合いによって変わります」

まじまじと見ると、一枚一枚がまるで宝石のようだ。
カードを通した下の影に七色の虹が写り込んでいる。

「思いの力に、限界や法則は有りません。形においては無限といっても過言ではないでしょう。この力は、これからさらに人の可能性を広げていくと思います」
「……そうっすね」

そう返したはいいが、長い話を聞いて酷く眠くなってきた。
紅茶は目覚まし作用が有るとは、聞いたが効きが悪い。

「ジンさん、お疲れですか?」
「いえ、その……」
「長い話でしたからね、無理なさらず休憩して下さい」

酷く眠い。瞼が重くて寝てしまいそうだ。
ジンは、ティーカップを落とす前に、そっと皿へ戻し、頭を抱える。

「無理なさらず……」

目の前のカインロストの言葉に少し安心した。
彼は、目が虚ろになるジンをソファへ横にならせる。

「お休みなさい」

その瞬間。ジンは全てを察した。



気がついた場所は、先ほどと同じ、イリスラボだった。
脇には、先ほどの巨大な機械があり、ジンは、はっとして顔を上げる。
だが、体が全く動かず、自分の体を見直すと、簡単な椅子へ、まるで全身を固定する様にロープで括られている。
両足は椅子の足に縛り付け、両手も体と一緒に固定されていた。
ご丁寧に親指までしばってある。

やられた。全て罠か。

「ジンさん。おはようございます」
「か、カイトさん。笑えない趣味っすね……」
「ふふ、足枷や手錠、首輪も考えましたが、治安維持部隊の訓練において、手錠や枷の抜け方がありますからね。並の拘束ではだめだと判断しました」

教本の隅に補足で乗っている程度だった筈だが、この男はその辺の知識があるらしい。
確かに動きようが無ければ、抜け出しようもない。

「何か言いたいことは?」
「帰りたいっす……」
「それは、無理な相談ですね。協力して頂くためにきてもらいましたから」

いやな予感がする。
拒否権があるなら、わざわざ眠らせる必要はない。
つまり、ただ利用するためだけに呼び出したのか。

「なにするんすか? 俺死にたくはないし、痛いのも……ちょっと」
「大丈夫です。死にはしませんし、痛くもない……」
「なら、俺、何を……?」
「貴方の心を、どうか私に提供して頂きたい」

ぞっとした。まさか

「イリスカードの生産において、未だ人の心を使われた事はありません。いえむしろ、タブーとして口にする事すら許されない」
「……」
「人の心は、心なきものにすら、思いを付与するほど強力な余波をもちます。それを利用した場合どうなるのか。私は考え何度も実験の許可を請いましたが、誰もが認めず、赦す事はありませんでした。より強力なイリスカードが手にはいるにも関わらず、誰もが口を揃えて否定する。納得がいかない。ならやってみるしかないと思いませんか?」
「俺、帰りたいんすけど、相方いるし、幼馴染もいるし、あいつら俺いないとダメなんで……」
「そうですか……大丈夫です。心はどんな形であれ、いずれは元の場所へと帰ります。砕けてもね」

ぐっと腕を絞ったが小指と親指が括られ、力も出ない。
だめだ。こんな場所で、終わりたくないのに……。

「……っ。カナ……」
「大丈夫です。痛みは感じません」

そっと、頭に触れられジンは意識が無くなって行くのを感じた。
眠気とは違う。ゆっくりと体から何かが消えて行く感覚。
気がつけば目の前の景色すら、分からなくなって……。

ここは、どこだ?

俺は……誰――

まるで蝋人形の様に瞳から力がなくなり、ジンはがっくりと首を落とした。
手を離したカインロストの手には、七色に光る結晶が浮かび、宝石の様に輝く。

「美しい……。真っ直ぐな、慈愛と勇気を持つ心。やはり貴方で正解でした、ジンさん」

何も答えない。
心はここにあるのだ、応えられるわけがない。
ジンとう入れ物が、今目の前にいるだけだ。

「大切にします……」

そう言ってカインロストは、ジンの虚ろな瞳をそっと閉ざした。


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本編 | 【2014-02-06(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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