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外伝:キリヤナギのエピローグな話
出演:グランジさん

あらすじ
兵器テストが終わったその日、グランジは一度カナトとジンの自宅に寄った後、住み込みで働く屋敷へと戻る。
彼が仕えるキリヤナギは、その日使用人を部屋に入れることを拒み閉じこもっていた。

参考
カナトが傭兵として治安維持部隊に協力する話(前編)
カナトが傭兵として治安維持部隊に協力する話(中編)

カナトが傭兵として治安維持部隊に協力する話(後編)


 カナトの自宅にて夕食をごちそうになったグランジは、自分から離れようとしないココッコーを連れて暗い夜道を歩く。
以前までは宿ですごし、出費も馬鹿に出来なかったが、今は貴族の護衛として住み込みで働いている。
24時間勤務ではあるが、こうして自由な行動も許されているので不自由もなく気楽でもあった。
そうして夜道から屋敷への帰路へついていると、うしろから「ぷんっ」という声が聞こえる。
自分についてくるココッコーは足が遅くてついてこれないのか、待ってくれと呼んでいるらしい。
グランジは仕方なく、ココッコーを抱き上げ持ち上げたまま連れ帰ることにした。

掌程度のおおきさのココッコーはついてくることに疲れたのか、そのまま手の上で眠りだす。
まだ生まれたばかりなら仕方がないのだろうか。ペットは黒猫のラオ意外あまり連れ歩いたことがなく、よくわからない。
ラオは、グランジが屋敷に住みついてからあまり姿を見せなくなり、時々戻ってきてはえさをせがんでまた出ていく。
黒猫のラオからすれば、自分が方針転換したことにいまだ納得がいかないのだろう。
なぜなら、今自分が使える主は、以前まで討伐の対象としてみていた相手なのだから。

数分歩いて、グランジはようやく自らが寝泊まりしている屋敷へと帰ってきた。
思えば変な屋敷だとおもう。
巨大というほどでもない屋敷だが、使用人が一人しかおらず、新しい人間を雇おうとすれば、自然と去っていくらしい。
結局、今の使用人一人しか残らず今までやってきたのだ。
入り口に近づくと、この家の唯一の使用人が現れ鉄格子の門を開けてくれる。

「おかえりなさいませ、グランジ様」

黒羽のタイタニアだ。
タイタニア・フェンサーのディセンバル。この屋敷の唯一の使用人だ。

「お部屋にお着替えを用意しております」
「奴は戻っているか?」
「はい。しかし今は、私めも入室を禁じられております」
「? 何故だ?」
「存じませんが、貴方の入室についても存じておりません」

なるほど。
頭のいい執事だと思い、自らを雇う王の元へと向かう。
昼間の出来事は全てみた。恐らく唯では済んでいないだろう。
グランジは自室で軽装に着替え、自らの主の元へと向かった。
ここは治安維持部隊総括、総隊長キリヤナギの自宅だ。


そっとグランジが、向かいの部屋の扉を開ける。
薄暗い部屋だった。
質素なデザインではあるが、天井付きのベッドと、ソファー。
奥にはアンティークデスクと本棚がある。
いつも通りの風景だ。

しかし、ひとつだけ違うものがあった。
キリヤナギのベッドの下に光の魔法陣が敷かれ、淡い光を放っている。

初めはそれにも驚いたが、がさかざと物音が聞こえ、グランジはそちらへと振り向いた。
するとそこには、青い髪の小さな少年が、お皿に盛り付けられたクッキーを、貪っている。

口の周りにたくさんクッキーをつける少年は、グランジをみて「あ」と、納得したようだった。

「お前は……?」
「ぼく? ぼくは……キリヤナギ……かな?」
「違う」
「えっと……じゃあ、ティー?」
「お前が……か?」
「うん、でも、人間にはパーティザンってよばれてた」

パーティザン。
マイマイにいるモンスターだ。

「貴様がキリヤナギに封印されいるモンスターなのか?」
「そうだよ! いまは違うけどね」
「言葉は?」
「僕はモンスターだけどキリヤナギだから、キリヤナギの記憶を共有してるんだ」
「なら何故、人の形をしている?」
「うーん。キリヤナギの心と完全に融合した時にキリヤナギ自身の人間のイメージが投影されたのかな? よくわかんないけど」
「ならキリヤナギの心である貴様が、何故ここにいる?」
「へ? だってぼく、キリヤナギだし? 同じだし?」
「キリヤナギは、そこで眠っている」
「あれは入れ物だよ。飲み込んだ呪いが大きすぎて、僕じゃ処理できなかったの。心を乗っ取る呪いだったから、心が外にあれば乗っ取られないし、安全でしょ? ぼく、あったまいい!」

キリヤナギの心へモンスターが封印されているという話は以前聞いたことがある。
自分じゃないもう一つの何かであるにもかかわらず、それは自分自身であるのだと、

「今は、呪いが力を失うまで光属性の魔法で清めてるんだって」
「……キリヤナギは何を考えていたんだ?」
「ん? 今日はトルマリンの呪いが広がらないようにしただけだよ。あの呪いはトルマリンという形から開放されると、霧散して誰かに呪いをかけるからね。回復ができなくなるやつかなぁ……、いつかは心まで乗っ取られてモンスター化するかんじ? でも今は、キリヤナギにそれが取り込まれたから、大丈夫」
「奴は平気なのか?」
「さぁ、僕は平気だけど、人間の体って弱いから大変だよね。ベッドに飛び込んでぼくを開放したら寝ちゃった。あ、魔法陣はあのディセンバルが用意してくれたみたい、着替えもしてくれて、僕のおやつもくれたんだ」

なるほど。
使用人であるディセンバルも、キリヤナギの事は理解しているらしい。

「使用人に気づかれていることをキリヤナギはーー」
「うーん。不思議には思ってるみたいだけどねー。ぼくにはキリヤナギの記憶しかないし?ぼくの感じた心は、キリヤナギにもわかるけど、何を聞いて何を話したかまでは、体で経験しないとわかんないから、わかんないかなぁ」

見聞きした記憶をキリヤナギとして体験しなければ、キリヤナギはそれに気づかないのか。
目の前にいる少年はあくまで、心そのもので、感情という一つの形でしかないのだ。

「何故あの時、貴様が呪いを取り込む必要があった?」
「ぇぇ……。別に特に理由はないみたい。でも呪いはやっぱりリスクが大きいからさ、自分ぐらいしか処理できないだろうって思ってたよ」

無茶をすると思う。
確かに誰かにかかる呪いを自分が引きうければ、それだけ被害が減るだろう。
だが、モンスターであるパーティザンが何故人間を救う事に協力したのか。

「パーティザン、貴様は人間を恨んでいるのではないのか?」
「恨む? あぁ、別々で封印されてた時はそうだったけど、今はもう僕もキリヤナギだしなぁ、キリヤナギは僕を受け入れてくれたから、好きだよ」

モンスターと人間の心の融合。
あり得ない話だが、目の前の少年は口調も態度もキリヤナギそのもので、疑い用もなくなってしまう。

「でもさ、とても怖いんだ。いつ裏切られるか、人がいなくなってしまうのか、考えただけでも怖くて苦しい。だからいつも惚けてゆるい自分でいて、助けてくれる誰かを探してる。人が嫌いになれなくてみんな怖がって離れてゆくのがとても寂しくて悲しい、それでも、誰も気づいてくれない。ひどいよね」
「……」
「グランジはずっと居てくれるの? それともまた何処かにいっちゃう?」
「生きる意味を見つけるまでは、貴様を見張る」
「そっか、グランジは僕の殺し方を知ってるもんね。でも苦しいんだ。生きることが、生きる呪いは長い。こんな身体になって、本当に寿命を得られる確証もない。モンスターみたいに、何百年も人に怯えられて生きていくぐらいなら、いっそ今すぐに終わらせたほうが楽だと思う。だけど、それはしない」
「……」
「全ての王になり、全てを手に入れるまでは、ボロボロになるまで生きて、全てを守る立場を手に入れる。いづれ人々が、安息の世界を手に入れられるように」
「……そうか。ならば王よ。俺はそれを見届けよう」

「ありがとう。グランジ。そろそろ落ち着いてきたみたいだし、キリヤナギを起こすね。少しナイーブになってるかもしれないけど、あとはよろしく」

どういう意味だろう。
少年はソファから、ゆっくりと立ち上がり立ち去るようにして消えた。
グランジがベッドをみると、軽く寝相をうったキリヤナギがゆっくりと目を開ける。

「起きたか……」
「やぁ、おかえり。グランジ」
「無茶をしたな」
「わかった?」
「今の貴様を見ればわかる」
「そっか……」

キリヤナギがため息をつく。
浮かない表情を見せる彼はやはりナイーブなのか、視線が下に落ちていた。

「どうした?」
「……みんな見てたよね」
「見てたな。今回はアイアンサウス軍から、詳細な情報を求められている。誤魔化しは難しいかもしれない」
「そっか、まぁ、仕方ないかな……アイアンサウス軍はどうでもいいや」
「なら、どうした?」
「部隊のみんな、怖がってないかなって、 ……前に海岸で見せたとき、10人ぐらい怖がって脱退しちゃったみたいだからさ。悲しくて……」
「……そうか。ならまた募集すればいい、貴様を怖がらない奴をな」
「ありがとう……」


王は小さく呟き、目を閉じる。
残された騎士は王はの眠りを守る為、日が登るまでそこに居た。
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本編 | 【2014-01-02(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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