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(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

カナトが傭兵として治安維持部隊に協力する話(前編)

出演:グランジさん、セオさん、ホライゾンさん、リアスさん、

あらすじ
平和な日々が送られる中、治安維持部隊の総隊長キリヤナギのもとに、アイアンサウス連邦国家の南軍から一つの封書が届く、
最初は拒否するキリヤナギだったが、セオに乗せられ無理やり見せられた時、それは始まった。


 

アクロポリス、ギルド元宮。
ここの最上階にある、こじんまりとした執務室で1人のエミルが突っ伏していた。
背中から差し込む暖かい窓の光。午前中の日光は暖かくとても心地がいい。
まさにお昼寝日和と言っても過言ではないだろう。
ブーストを枕に抱きついて机で眠っているエミルは、熟睡していて目覚める気配がない。
机には大量の紙が束で置かれ、報告書とか加入書類とか領収書とか、戦闘許可とか、様々な分野の書類が重ねられており、机を見るだけで眠る本人の立場が見てとれた。

そんな散らかっている執務室へ小さくノックが響く。
しかし、気候があまりに心地よく、彼の夢の中へそれが響くことはなかった。
しつこく鳴らされ、徐々に苛立ちにすら聞こえるノックは、強硬手段としてその扉を開く。

「失礼しま……」

一歩入り、新たに入ってきたエミルが言葉を失った。
グッスリと眠り、ブースト抱きしめる総隊長を確認すると、無言で腰の伸縮式の杖を取り出す。
プッシュすると、1.5メートルほど長さになり、ギルドランク6th、エミル・アストラリストのセオは、だんっと杖の先で床を打った。
びくっと震えた目の前のエミルは、何事かと顔を上げるとこちらの姿を見てぎょっとする。

「おはようございます。総隊長」
「や、やぁ、セオ。い、いい天気だね」
「よく眠れましたか?」
「とてもきも……まさか! ちゃんとやってたよ!」
「……」

ブーストを膝の上に隠し、書類を手前に置くのはエミル・ガーディアンのキリヤナギ。
突然動き出した彼に、足元にいたモモンガがブーストの上に飛び乗る。
セオはそれに「はぁ……」とため息をついて、持ってきたファイリングケースを開いた。

「混成騎士団の南軍から封書が届いています。今すぐ確認を……」

あからさまに嫌な顔をするキリヤナギに、セオは無表情で返す。
この時期、定例で開催されている行事だ。

「その封書。見ないで燃やせば……なかったことにならない?」
「見てください」
「いやほら、セオ魔法なら……」
「見てください」
「あの……」
「見てください」

ごり押しされ、言い返す言葉もなくなる。
ポーカーフェイスで誤魔化していた所、更に後ろからノックが響いた。
キリヤナギが「誰?」と返すと、聞き慣れた低い声が帰ってくる。

入ってきたのは、長身のタイタニアの男性、ギルドランク1st、アークタイタニア・ガーディアンのホライゾンだ。

「おや、起きておられましたか」
「ホライゾン大佐、何故こちらに?」
「いやー、今日はいい天気だし、寝てるかなと思って……」

身も蓋もない。
この二人キリヤナギの事を恐らく普段のキリヤナギ以上に理解している。
その上で、立場を超えて口出しできる人間といえば、ランキング入りしている二人だけだ。

「えっと、丁度良かったホライゾン。僕ちょっと今日用事があって……」
「昨日、溜まっている書類を全部やるから、模擬戦はキャンセルしたいといったのは誰ですか?」
「う……」
「総隊長たるもの、たまには我々部下に対して実力誇示をして頂けないと、ついてくる人もきてくれなくなってしまいますよ」
「えっと、その……僕戦うのはあんまり……」
「その上で今日はちゃんと書類を……」
「まぁまぁ、セオ君。総隊長が戦いたがらないのはいつものことじゃないか。それ以外の用事があるから、君が来たんだろう」
「……はい」
「今日は、どうしたんだい?」
「混成騎士団の南軍から、封書を預かってきました」
「あぁ、なるほど、嫌がるわけだ」

黙ってしまった総隊長は、回転椅子をぐるりと回し背中を向けてしまう。

「……合同演習ですか」
「だね」

毎年この時期に開催される、軍規模の合同演習。
混成騎士団南軍を率いるアイアンサウス連合国が、自国の軍事力を示すために毎年行っているものだ。
300人から500人規模で行われ、実弾は使用せずペイント弾で戦うのだが……。

「各国と中立である僕達に、勝つことは許されない。勝利してしまえば、アイアンサウスの軍事力の拡大が懸念されるからね」
「去年の演習では、アイアンサウスのサウスダンジョン一階にて150人が怪我、行方不明者一名でましたね。行方不明者は……ジン君」
「毎年出たくないって言ってるのに……上はいいとこ見せろっていうし……」
「我々が応戦すればするほど、評議会はアイアンサウス軍の軍事力を把握できますし、敗北すれば多少のご機嫌取りにでもできるということですか」
「そんな感じ、そうやって力加減しながら戦うからさ。毎年怪我人多いんだよね……やめて欲しいよ」
「しかし、総隊長。先ほど南軍の団長と会いましたが今年は違う形式で行われるみたいですよ?」
「違う形式でとは?」

それを聞いた直後、キリヤナギは、机に置かれた封書の隅を破り、中身を取り出した。
一連の動作ではあるが、治安維持部隊に拒否権はないため、目を通した時点で承諾したことになる。

「新型兵器実験においてのトルマリンの使用許可と、ウテナ湖演習場の周辺の警備……」
「兵器実験ですか……」
「……トルマリンかぁ、危険なんだよね。あれ……」
「下手したらアクロポリスが陥没しますね」

トルマリンは、モンスターを呼び寄せる危険物質であり本部でも厳重に封印されている。
これを使用したいということは相当の自信があるか、周囲考えていないかのどちらかだ。

「なんでトルマリン使うのに僕の許可なんだろ? Goサイン出すのは上だよね」
「使用許可じゃなく、使用報告ですね。おそらく書き間違いでしょう」
「うぇー、やだなぁやだなぁ……でも見ちゃったしな……」
「諦めてください」
「うー……」
「どうされますか?」

改めて言われ、キリヤナギは戸惑った。
また人が傷ついてしまうことは避けたい、だが、これ以上好き勝手にさせないためにも、今はいうことを聞いておくか。

「じゃあ、そうだね。警備兵として希望者募って、上限なしで、最低100人かな? あとランカー皆にも賞与だすから、良かったら来てくれって伝えて」
「了解しました」
「セオ。ウテナ湖でやるから当日は人が巻き込まれないよう、広報部にも報告」
「おまかせを」
「あと、治安維持部隊、大尉以上の隊員を10名。討伐に長けた人をお願い」
「すこし大袈裟では?」
「備えあれば憂いなし……トルマリンは呪われているし、何が起こるか分からないからね」
「分かりました」

そうして、ホライゾンとセオはキリヤナギの指示を得て、動き出した。
そして次の日。ランカーの彼ら全員ナビゲーションデバイスに、出動依頼のメールが届く。




ポケットのナビゲーションデバイスから、イヤホンコードをのばしヘッドホンを付ける青年。
黒のファージャケットの彼は、治安維持部隊所属。ギルドランク5thのエミル・ガンナーのジンだ。
両手はポケットに突っ込み、手首に白い袋。中身は、最近発売した、色付きの弾丸と銃の洗浄キットだ。
時刻は正午を周り、普段通りの賑やかさを見せる街を浮かれ気分ですすむ。
数カ月振りの新しい洗浄キットだ早く帰って綺麗にしてやりたい。

鼻歌を歌いながら帰路についていると、流していた曲が遮られ、メールの着信音が流れた。
確認すると、本部からの警備要請のメールであり、思わず首を傾げる。
元少尉ではあるが、降格し実働兵である自分に、要請が来るものなのだろうか。文面を下まで読んでみると賞与が割高で魅力的でもある。
受注が可能か後で確認しよう考え、ジンは庭の紐を合鍵で呼び出した。

「ただいまー」

そう言って、扉を開けた直後。
目があった相手を、ジンは理解出来なかった。
黒髪に眼帯をつけた、長身のエミル。
ホークアイの職服に身を包んでいるのは、左手に丼を持つ、エミル・ホークアイのグランジだ。
足元には、以前散々マラソンさせられた黒猫が、グランジの足にしっぽを巻きつけている。

「遅かったなジン。作ってしまったぞ」

カナトの冷静な言葉にも反応ができず、思わず持っていた袋を落とした。
上品に親子丼を頬張るグランジをようやく理解し、ジンがようやく口を開く。

「ちょ、ちょとまて! なんでグランジさんが……」
「……たまたま立ち寄ったのでよらせて貰った」
「は?……というか職服!?」

職服は治安維持部隊における制服のようなものだ。つまり結論的に言えばグランジは治安維持部隊に加入したと言うことになる。
その変化に驚くジンをみて、グランジはどこか納得すると、頬にご飯粒をつけたまま立ち上がった。

「治安維持部隊、騎士・グランジだ」
「騎士!? 騎士ってあの総隊長の……!?」

治安維持部隊の騎士。それは部隊の階級に関係なく存在する役職であり、最高権限をもつ者へ絶対服従を誓う代わり、他の階級の隊員の命令義務を持たない者を指す。

「マジっすか、グランジさん……」
「二言はない。俺はキリヤナギに負けた」
「負けた?」
「だが、キリヤナギは、俺を生かした……あいつを倒すまで、俺は死ねない」
「えっと、どういう意味っすか……」

そこまで言って黙ってしまった。
再び席に着き、親子丼を食べるグランジを見て、ジンがその横に座る。
するとカナトが、意味深にグランジを睨むジンへ問いた。

「ジン、騎士とはなんだ?」
「あぁ、うちの総隊長の親衛隊みたいなもんさ、ただ親衛隊だと人数がいるから、騎士って言って10人ぐらいで編成してる小隊。治安維持部隊ってなってるけど、別物の私兵だよ」

そんな立場に何故グランジがいるのか、以前通り魔として追いかけたのに、一体なにがあったのか。

「ジンに出会ったその日の夜、俺はキリヤナギに捕縛された」
「!」
「一週間ほど留置されていたが、キリヤナギと契約し今に至る。10thも無傷であったことから、処分は保留。契約において免れた……」
「そ、そうっすか……」

それを聞いたカナトは、ジンを睨みそっぽを向く。
カナトの前であまり本部の話をしたくない。

親子丼を食べ終えたグランジは、丁寧に箸を置くと、小声でご馳走さまと述べた。
すると、聞いた事のない電子音が響き、グランジがナビゲーションデバイスを取り出す。
すぐ出るかと思ったが、数秒画面を眺め、なにも言わず親子丼を食べるジンへ見せた。
見せられたジンは、思わず噴き出し更にむせこむ、表示されていたのは五文字。キリヤナギだ。

「出ていいか?」
「なんで聞くんすか!?」

止まる気配のない呼び出し音を、グランジはさらに三回程鳴らし、ようやく通話ボタンを押した。
さらに拡張設定をして、2人へ聞こえるようにする。

「"グランジー! 今どこにいるの?"」
「キリヤナギ、10回鳴って出なかったら諦めろと言ったはずだぞ?」
「"あれー? そうだっけ? でもグランジなら、待ってれば出てくれると思ってさー、今どこにいるの?"」
「5thのいる友人の自宅だ……」
「“5th? 5th……あ、ジン! ジンがいるの!”」

辞めたくなった。

「”じゃあちょうどいいや! グランジ! ジンと一緒に本部きて!!”」
「へ?」
「”さっきメールしたんだけど、みてないかな? 警備の仕事! 手伝って!!”」
「そんな突然……」
「”あれ、ジンの声聞こえるけど……?”」
「拡張モードにしている」
「”あ、成る程! じゃあ、1時間後ぐらいに、本部きて! 絶対だよ! 約束だよ!”」

そうして通信が切れてしまった。
呆然とする3人は、全員グランジのデバイスをみて、カナトがふぅとため息をつく。

「夕食には帰れ」
「あ……はい」

そっぽを向かれてしまった。
月光花に作られなければいいと願い、ジンは半ば連行される形で、本部へと向かう。
受付を手早く済ませてエレベーターを上がると、扉が開いた真正面に、茶髪のメガネをかけたエミルが立っていた。

「こんにちは」
「り、リアス!?」
「やっぱり来たんですね。ジンさんはわかりやすい」
「うるせぇ、今日はなんだよ」
「グランジさんが気になります」

じっとグランジを見上げるリアス。
グランジは表情を変えることなく見下ろし、視線を合わせていたが、リアスがふっと視線をずらしジンを見る。

「なんだよ……」
「なんで一緒なんですか?」
「たまたま飯食いにきてたんだよ! 俺は連れてこられただけ……」
「それでもくるんですね」
「うるせぇ、なんだよさっきから……」
「ジンさんのくるか来ないか気になったので、聞きに行こうと思っていました」

言葉もない。言い返す余力すら出てこず、がっくりと肩をおとした。
そんな事をしていると、突然グランジに腕を掴まれ、連行される。
彼にとって、キリヤナギに言われた事は命令で、ジンを連れて来いということらしい。
当然、リアスも同じくその後についてくる。

「騎士・グランジさん。何故ジンさんを?」
「キリヤナギの言葉に従っているだけだ」
「なぜです?」
「二度は言わない」

むっとするリアスは、ジンを睨みつける。
自分が聞きたかったのにとも言いたげだ。
引きずられる様に、総隊長の執務室へ連れてこられたジンは、ノックもなく部屋に入るグランジにぎくっとした。

部屋には、お弁当をたべるキリヤナギがいて、水筒のお味噌汁とほうじ茶をすすっている。

「おかえり、グランジ!」
「連れてきたぞ」
「ありがと、とりあえずお茶いれて座って」

そう言われ、ジンがおいてあったお湯から4人分のお茶を入れて座る。
キリヤナギは執務机に座ったまま、お弁当を食べて、手元の資料へ目を通していた。

「総隊長って、お弁当つくってたんすね」
「えへへ、セオが作ってくれたんだー。すっごい美味しいよ!」
「へぇー」

「セオさんに聞きましたが、下手にラウンジに行かせると話し込んで戻ってこなかったり、そのまま勝手に外出してしまうので、執務室から出したくないそうです」
「え" 、ぼ、僕知らないよ! そんなの……」

リアスの言葉に思わず手を止める。
ジンも結構な問題児とは言われるが、この総隊長もある意味相当の問題児だと思う。

「で、要件を言え。キリヤナギ」
「えぇー、僕もご飯食べたいんだけど……」
「人の昼飯を邪魔しておいての言い草か?」
「グランジはピリピリしすぎだよ。……まぁいいや。来週ぐらいに南軍の新兵器の運用テストがあってね。そこでトルマリンを使うから、後処理の人材を探してるんだ」
「新兵器っすか?」
「うん、フォックストロットR4とかギガント3とか、内部のファームウェアの更新と自律駆動システムを書き換えたみたいでね。モンスターを相手に実験したいんだって」
「……トルマリンですか」
「うん」

「トルマリンは、モンスターを呼び寄せる危険物質。おもにダンジョンの奥底に鉱物として埋まっていると聞きます」
「いつかは分からないけど、かつてモンスターが溢れた時代に一定の強さをもつ魔物を一箇所に集約する為に開発されたものだ。お陰でこの周辺には弱いモンスターしかいないんだけどね」
「しかし、トルマリンは大きさによって呼び寄せる敵の強さが変わりますが……」

このリアスの言葉で、キリヤナギが口を噤んだ。
お弁当の手を止め、水筒の味噌汁をすする。

「……大きさとしては、演習で使われるレプリカの一回り大きいぐらいだね」
「相当ですね……」

「どの位なんだ?」
「ダンジョンボスより上でしょうか」
「基準は、うちの実働兵5、6人がいるぐらいかな。一人だとちょっときついぐらい。でもうちは対人専門だから、倒し慣れてる人はすくないけど、グランジは前まで冒険者だったし、結構慣れてるよね。ジンも最近は討伐が多かったみたいだから来て欲しくて」
「おれ……火力ないっすよ」
「部隊で募集して見たのはいいんだけどさ……実際、全然経験者が集まらなくて、結構切実なんだ。カナト君と一緒でいいしお願い!」
「おれ、あいつ巻き込みたくないんですけど……」
「……だめ? お給料弾むからさぁぁ!」

ぐっと両手を重ねられても、正直困ってしまう。
いろいろ世話にはなっているが、本部の問題にカナトは無関係だ。ここで変な関わりを持つことはカナト自身あまり良くないと思う。

「あいつ、俺がここに来ること自体あんま気に入らない見たいなんで……」
「じゃぁじゃぁ、カナト君に直接聞いちゃダメ?」
「そ、それは……卑怯じゃないっすか?」
「えぇーなんで?」
「えーとぉ……」

「カナトさんに、断る理由がありません。ただでさえ、恩を売られているのですから、拒否権もない」

言いづらいことを率直に言ってくれるリアスが、始めて味方に見えた。
今までなんだかんだで総隊長の頼みごとを聞いてきたが、ここで初めて意地を見せるのもありか。

「誘拐事件の話は、僕は知らなかったよ? だからジンに怒ったんじゃない」
「そ、そうっすけど護衛……」

「あれは、おれが自分でやったことです。カナトさんの受け取り方次第でしょう」

やっぱりどっちの味方か分からなかった。
ひたすらお願いされているジンの後ろで、リアスが音もなく立ち上がり、部屋の出口へと向かう。
どこかしら嫌な予感を感じたジンは、リアスが部屋を出かけたところで止めた。

「どこいくんだよ?」
「カナトさんの反応が気になったので聞きにーーー」
「だぁもう!! 俺が連絡するよ! いちいち聞きにいくんじゃねぇ!!」

リアスから関節的に聞かれた方が怖い。
このやり取りに嬉しそうに笑うキリヤナギは、安心したのか再びお弁当に手をつけ出した。

「これで貴様の思惑通りという訳か……」
「僕は、お願いしただけなんだけどなぁ……あんまり深い意味はないよ?」

淡々述べるグランジの言葉は意味深だ。
負けた気分なりながら、デバイスを取り出し、ジンは簡易番号からカナトを呼び出す。

「"なんだ……"」
「あのさぁ…なにしてた?」
「"バイオリンを弾いていた"」
「そっか……」
「"? 塩がきれていたので、さっさと買って帰れ"」
「わかったから……いま本部なんだけど、警備の仕事。お前も来ないかって言われんだけど……」
「"警備?"」
「モンスターの討伐だってさ、経験者が少なくて人材居ないらしい。俺は一応断ってんだけど……お前どうする?」
「"……そこに、責任者がいるのか?"」
「……いる」
「"肩書きは?"」
「えっと……」

言葉につまり、ふとキリヤナギをみると、スケッチブックへひらがなの文字があり、ジンは噛まないようゆっくり述べた。

「治安維持部隊、代表……最高管理者、部隊総括……司令官……総隊長……きりやなぎ……かな?」
「"そうか……なら、伝えろ『その申し出は受ける。だがこの機会を持って、一切関わりを持たないと約束してもらおう』と"」
「カナ……」
「"貴様もあまりフラフラするな、気に障る"」
「わりぃ……」
「"他は?"」
「いや、それだけさ」
「"なら、さっさと戻れ"」
「おう」

そうして通信を切った。
拡張設定にはしなかったが、十分聞こえていたらしく、キリヤナギが両手を挙げて喜んでいる。

「カナトさんらしいですね」
「まぁな……」
「ジンさんは、どうするんです? 討伐苦手なんですよね」
「でるよ! あいつ一人で行かせられっか」
「カナトさんの方が火力をお持ちだとおもうんですけど」
「うるせー!! 余計なお世話なんだよ!」

リアスの言葉は気に障るが、参加が決まった以上全力を尽くす以外ない。
そうして、リアスを黙らせたところで、お弁当を食べ終えたキリヤナギがジンの方を見ていつも通りの笑顔を浮かべていた。

「それじゃ、今週中にカナト君の嘱託登録の書類と職服のサイズ採寸。あと形だけの面接したいから、連れてきて」
「職服!? あいつ、……ジョーカーっすよ」
「大丈夫。安心して!」

いつも通りの笑顔に、不安しか覚えないのは何故だろう。
その後、塩を買ったジンは、ついてきたグランジと一緒に帰宅する。

続く
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本編 | 【2013-12-12(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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