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(C) BROCCOLI/ GungHo Online Entertainment,Inc./ HEADLOCK Inc.

外伝:セオさんの過去の話(後編)
著:紘斗さん

出演:セオさん、ホライゾンさん、

あらすじ
いつも通りの日常を過ごしていたセオは、ある日。治安維持部隊最高管理者、キリヤナギと街で出会う。
その中で突然騎士に誘われ戸惑うが、キリヤナギのとった不自然な行動に対し、セオが尾行を開始する。

前回:セオさんの過去の話(前編)


 治安維持部隊に入ってから1年が過ぎ去ったある日のこと。
その日の任務を終えた僕と煌牙はアクロポリスシティアップタウンの繁華街を歩いていた。

「あ~・・・ったくあのお貴族様はぁ~・・・あの程度の事で俺らを呼ぶんじゃねーよ・・・」
「同感」

とってつもなくくだらない用事で呼び出さされ(しかもなんで依頼受理されたのだろうかっていうくらいくだらない内容だった)、元宮に戻る前になにか食べていこうって事になって繁華街の飲食店を物色してたのだが。
不意に、後ろから声を掛けられた。

「ねえ、ちょっといいかい?」
「?はい?」

後ろを振り向いた先にいたのは。
身なりの良さそうな(今思えばあれはフェンサー系でも一部にしか与えられない筈の翔帝装備だった)モモンガを連れた青年だった。

「ギルド元宮に行きたいんだけど、場所解るかい?」
「はい。それじゃあ一緒に行きますか?」
「え?いいの!?」
「ええ」
「おい、ちょっとまて!!昼飯どーするんだよぉー!?」
「ラウンジでなにか作ってあげる。行きましょうか?」
「うん」

そういって(渋る煌牙を押し切って)その人を連れて元宮までいった・・・は、よかったんだけど・・・。

「やあ2人とも、任務ご苦労様。しかもついでにその方も連れてきてくれるなんてさすがだね」

なぜか元宮入り口フロアでホライゾン大佐が待ち構えていた。

「あれ?ホライゾン大佐?」
「どうしたッスか?」
「いやね、そこにいる方が『また』執務室を脱走したっていうんでね。今から探しに行くところだったんだ」

え?
『また?』『脱走?』
このときはホライゾン大佐の言葉の意味解らずに?マークが飛び交っていたけど・・・。

そして、その人物はさっと僕の後ろに隠れてしまう。

「まったく。すももが脱走したからってご自分も脱走しないでくださいよ、総隊長!!」

「そう・・・」
「たい・・・」
「「ちょう・・・?」」

この時、僕たち2人の時間は確かに停止した。
いや、まさか総隊長が街中で、しかも治安維持部隊本部があるギルド元宮の場所聞くなんてありえないって思ったし・・・。

さすがに観念したのか、僕の後ろから出てきた総隊長が僕たちの砲へ向き直り礼を取った。

「うん。自己紹介がまだだったね。僕はキリヤナギ。治安維持部隊の・・・」
「一応名目上は総隊長だよ」
「一応名目上は・・・って!!ホライゾンってば酷い!!」
「それならせめて脱走したりせずに書類整理していてほしいですね」

総隊長はいじけて、その場にしゃがんでのの字を書き始めた。
こんな人が総隊長で大丈夫なのか正直不安でしょうがなかったのを覚えている。

「さて、それじゃあ総隊長は僕が預かろう。ご苦労様!」
「それじゃあまたね、『セオ』」
「はい!」
「はい!・・・・・・え?」

そのとき、総隊長はたしかに自己紹介できなかった僕の名前を言い当てたのだ。
僕が総隊長と面識をもったのはこれが初めてだ。
なのになぜ僕の名前を知っていたのか?

その答えは結構すぐに知ることが出来た。

翌日、姉と2人でラウンジでお昼ご飯を食べていた時だった。
その席で、昨日の出来事を姉に話していたのだが・・・。

「え?そりゃそうよ。私が毎日のように貴方との思い出話を延々と聞かせてあげてたし、貴方の入隊の推薦状だしたの私だし」
「・・・・・は、い?」

毎日?思い出話?
なんのことじゃい?って思って聞いてみたら詳細はこうだ。

姉は総隊長やホライゾン大佐はもちろんのこと、酷いときにはランカー全員を(総隊長の名前で)呼び出してほぼ毎日のように僕のことを語っていたらしい。
子供の時の恥ずかしい思い出とか、ノーザン魔法学校時代の事とか。
酷いときは丸一日使ってたらしい・・・。

そして。
僕が入隊する2週間ほど前のある日。

「というわけで、私(わたくし)、ランカー2ndエミル・ガーディアンのセリアの名で実弟・エミル・アストラリストのセオの治安維持部隊への入隊を推薦します!」

入隊推薦状をもって総隊長の執務室へ押しかけたというのだ。

「推薦状・・・。君も・・・好きだねぇ・・・・・・」
「うふふ、当然です。私の弟ですもの。優秀なのは私とノーザン魔法学校の教諭陣やあの子の同級生たちが保証します」
「ふーん。・・・まあ、選考はしておくよ」
「いいお返事を期待しますわ」

という感じだったそうだ。
後に総隊長に聞いたところ。

「ああ・・・うん。ついに来たか・・・って感じだったね。え?断るなんて選択肢なんてなかったよ・・・。なにせ眼で威圧してきてたし・・・」

ということだったらしい。
さすがに総隊長を威圧するのはまずいんじゃないだろうか?
というか僕の入隊の裏でそんなことがあったんですか?
僕を眼に入れても痛くないほどかわいがってくれるのは嬉しいんですがもうすこし遠慮というか・・・うん、もうすこし控えてくれるとうれしいな?
って色々思っていたところ。

僕のデヴァイスに着信が来た。

「はい、セオです」
「"あ、セオ君かい?ホライゾンだけどちょっといいかい?"」
「はい?なんでしょう?」
「"ちょいと小耳に挟んだんだけど、人の場所や距離なんかが解る特殊能力があるんだって?"」
「え?ええ・・・」
「"よかった!それでね、ちょっと人捜しをお願いしたんだけど・・・その・・・"」
「?どうしたんです?」
「"そばに誰か居たりするかい?"」
「はい。姉と昼食を取ってましたけど?」

そう答えると、デヴァイスの向こうの相手はあからさまに安堵した感じだった。

「"そうか・・・よかった・・・。それじゃあ安心して頼める"」
「どうしたんですか?」
「"実はね・・・総隊長がまた居なくなって・・・困った事にデヴァイスが執務室に置きっぱなしなんだよね"」
「ええっ!!??」
「"だからできるだけ秘密裏に総隊長を見つけて連れ戻して欲しいんだ。お願いできるね?"」
「はい」
「"済まないね、頼むよ"」

そういってホライゾン大佐は通話を切った。

「誰から?」
「ホライゾン大佐。総隊長が・・・」
「また迷子なのね」

姉は呆れた顔でため息を吐いた。

「うん。しかもデヴァイスを執務室に置きっぱなしのおまけ付き」
「呆れた。通信手段おいていってどーするのよ・・・」

ぼやく姉に僕は苦笑する。

「そんなわけだからちょっと行ってくるよ」

そういって席を立ち上がり、ラウンジを出ると、意識を集中させる。

「・・・・・・アップタウンの南のはずれあたり・・・たしか一部の特殊な嗜好の人たちが集まる飛空庭のあるあたりだね・・・」

総隊長の居る場所を発見した僕はさっそくそこへと向かう。







「参ったな・・・ここどこだろう?」

見つけた総隊長はあっちをうろうろこっちをうろうろしていた。
もしかしてこの人方向音痴なのだろうか?
なんて当時は思った。
まさか本当に方向音痴だとは思わなかったけど。

「総隊長!!」

僕が呼びかけると、総隊長は即座に反応しこちらを振り向いた。

「あ、セオ!?」
「見つけましたよ。さ、帰りましょう?」
「あ、ああ・・うん・・・でもどうしてここにいるってわかったの?」
「そういう能力をもっていますから」
「へえ・・・」
「さ、帰りましょう?」

そうして、総隊長を先導して無事に執務室まで送り届けたのだが・・・。

「な・・・・・・に・・・これ?」

執務室へ入って目に飛び込んできたのは、書類の山脈だった。
しかもどう考えても未決済・・・。

「テヘッ☆実はさあ・・・セリアから聞いたけど、優秀なんだって?」
「え・・ええ。・・・たぶん・・・」
「それじゃあさあ・・・この書類片付けるの手伝ってくれない?だめ?」

首を傾げて聞いてくる総隊長に、この人は自分が総隊長の自覚あるんだろうか?って疑問に思ってしまったのは此処だけの話だ。

「いいですよ」
「やったー!!じゃあ、さっそく片付けちゃおう」

総隊長の『お願いという名の命令』に調子を狂わされながらも書類の束を手にとって決済を始めたのだった。






総隊長の仕事(主に書類整理)を手伝うようになってから大体1ヶ月経ったくらいのある日のこと。
依頼を数件こなして帰ってきた夕暮れ時。
ギルド元宮にある治安維持部隊本部ロビーに人だかりが出来ていた。
とりあえず、僕は近くにいた先輩隊員に声をかけた。

「なにかあったのですか?」
「おう、セオか。さっき煌牙がSS級の指名手配犯の1人を捕まえてきたんだよ!」

へえ。
って思いつつもう少し近づこうと試みたら前方から声が聞こえてきた。

ちなみにSS級というのは危険度を指す。
C級からはじまり、B、A、S、AA、SS、AAA、SSSの順で危険度は増していく。
今回のこの指名手配犯はSS級なので上から三番目の危険度ということだ。

「お、セオ、居んのか!?」
「うん、居るよ!」

僕は道を空けてもらうと、目に飛び込んできたのは満面の笑みを浮かべる煌牙と、特殊な拘束器具を取り付けられて暴れるSS級の指名手配犯と、連行しようとする混成騎士団員達の姿だった。

「聞いてくれよ!!ついに捕まえたんだよ!!」
「SS級指名手配犯でしょ?」
「違う!!いや、そうなんだけどよ・・・。俺の村を滅ぼしたヤツの1人なんだよこいつ!!」
「そうなの!?間違いないの?」
「ああ!間違いねぇ!本人も肯定してたしな!!」

これで残りも一網打尽にできるぜ!!
そういう煌牙はとても嬉しそうだった。

数日後。
尋問にかけられたSS級指名手配犯はあっさりと背後の組織の存在を吐いたらしく、混成騎士団が壊滅に乗り出した。

当時と現在の当事者である煌牙は騎士団員から詳しく話を聞いたらしく。
「これでやっと親父たちや村のみんなに吉報を報告できるぜ」
と僕に話してくれた。






それからさらに2ヶ月ほど経ったある日のこと。
いつもの通りに総隊長の部屋で書類を裁いていた時のことだった。

「ねえ、セオ?」
「はい?」
「僕の騎士にならない?」
「・・・騎士?僕はアストラリストですよ?ナイト系の職業には今更なれませんよ?」
「いや、そういうことじゃなくてね。セリアや他の皆から聞いた事無い?えーっとね・・・要するに・・・」

騎士。
総隊長の近衛兵で、治安維持部隊とは別の、有り体に言ってしまえば私兵部隊だ。
所属が別なので、当然部隊の階級における命令を受け付けない。

「本来なら志願制で、僕が誘ったりはまずしないんだけどさ。僕としてはセオくらい優秀な人材を手放さずに手元に置いておきたいわけ。だからさ」
「嫌です」

総隊長が言い切る前に即座に断る。

「ええー!?なんでなんでぇ!?」
「だって総隊長って僕が総隊長個人に忠誠を誓っていいと思えるだけの魅力が見当たらないっていうか・・・」

書類整理は嫌がるし、なんだかんだで模擬戦は出ないし、脱走するし・・・。
これで忠誠誓って欲しいって言われても無理ですよねぇ?
と断る理由を挙げてみれば、総隊長は完全無欠に石になっていたようで、総隊長専用の椅子の上で固まっていた。

なので、書類整理を終えると、僕はそのまま総隊長を放置してその場を後にしたのだった(ちなみに聞いた話ではホライゾン大佐が様子を見に来るまでそのまま固まってて、相当怒られたらしい)

その1週間後の午後。
午前中の任務を終えて(かなり久々の単独での任務だった)本部のあるギルド元宮へ戻る途中のことだった。

「あれ?」

目に映ったのは総隊長。
しかし・・・。

「一緒にいるのは・・・」

見間違いでなければそこそこの階級の、言ってしまえばどこにでも居る治安部隊員だ。
職服から察するにイレイザーだろう。
なにやら2人して周囲を伺っているようだ。

そして
誰も見ていないと判断したのだろう。
治安部隊員A(仮名)は総隊長を憑依させるとアクロニア西平原へと歩いて行く。

「(なんか嫌な予感がする・・・)」

こういう予感は過去一度だって外したことはない。
なのでこっそりと尾行してみることにした。



彼らが着いた先は、西平原の近くにある、いかにも地下組織が根城にしてそうな洞窟だった。
ちなみに見張りは完全に伸されてしまっている。
見た感じ、ダークストーカーのスキル・ダークフレアによるものだ。

「(・・・?こんなところに何の用だろう?)」

そんな疑問を持ちつつ、尾行していると、やがて最奥へとたどり着く。

「ようやく見つけたよライトナー氏?」

そこにいたのは、まあいかにも犯罪者やってます的な格好のエミルの男たちと・・・その場に不釣り合いな身なりの良さそうな、それでいていかにも裏で悪事を企んでいます!的な風貌の小太りした下卑た笑みを浮かべるエミルの男だった。

「いけないなぁ。仮にもモーグ議会に名を連ねている貴方がこんな犯罪組織と横のつながりなんて持ってちゃ・・・」

そう言いながら総隊長が憑依を解いてその姿を現す。
その手には血剣ダインスレイブとセンチネル・シールド。
こちら側からではその表情は解らないが、その声色からは普段からは到底考えられない威圧感を感じ取れた。

「き・・・貴様は・・・『第一級特異点』!治安維持部隊総隊長キリヤナギ!!!!!!」
「な・・・アイツが!?」
「なんで治安維持部隊の総隊長がここにいんだよ!?見張りの連中は何やってやがった!!!!」

治安維持部隊総隊長。
治安維持部隊の名前だけでもその効力は絶大だというのに、それに加えて総隊長の肩書き。
阿鼻叫喚になるなというほうが無理というものだ。

僕は『第一級特異点』という二つ名のほうが驚いた。

「え・・・ええい!怯むな!!相手はたった1人だ!!しかも話に聞けば模擬戦すら嫌がるような実力しかないと聞く!!やってしまえ!!!」

号令一下。
組織員と思しき連中がそれぞれ武器をもって総隊長に襲いかかる。
しかし。
次の瞬間、広範囲に神速の薙ぎ払いによる鎌鼬が巻き起こり、組織員たちを次々に切り裂いていく。
ガーディアンの攻撃スキル・スパイラルスピアだ。
そしてすぐさま横から襲いかかろうとしている組織員に対してライトオブダークネスを当てる。

ほんの1~2分しないうちに立っている組織員は1/3以下になっていた。

「もう終わりかい?」
「く・・・くそぉ!!お前等、何をやってる!?さっさと消してしまえ!!!」

そうは言っても、残ってる組織員ももうすでに立っているのがやっとな状態だ(ちなみにパッと見た感じでも彼らは相当な使い手だ)
総隊長は容赦なくスパイラルスピアで残る組織員たちを切り裂く。

鎌鼬が収まったとき、敵側立っていたのはライトナーと呼ばれた男只1人だった。

「く・・・くそぉ!だ・・・誰か・・・他に誰か居ないか!?」

ライトナーが焦って周囲を見渡すも、組織員は全員倒されてしまっている。

「さあ、観念してお縄についてもらおうかな?」
「お、おのれぇ!!」

顔を真っ赤にしたライトナーが懐から銃を取り出すが、相手が撃つよりも早く総隊長は相手の懐へ潜り込み、ダインスレイブを振るい一閃を繰り出す。
ライトナーが持っていた銃は弾かれ、間髪入れずに当て身を食らわせる。
もとより一般人でしかないライトナーは当て身を食らってあっさりと床に倒れた。

「ふぅ」
「ご苦労様です、総隊長」

ほぼ・・・というか完全に見てるだけだった治安部隊員Aがねぎらいの言葉をかける。

「ありがとう。さて・・・と。とりあえず、出てきなよ、セオ?」
「「・・・え?」」

げっ・・・バレてるし・・・。
さすが総隊長というべきか・・・。
僕はすぐさま観念して物陰から姿を見せる。

「い・・・いつから・・・気がついてたんですか?」
「稼働橋あたりかな?気配を感じたからさ。まあ、そこの彼は今の今まで気がついてなかったみたいだけど・・・」

そ・・・そんな前からですか・・・。

「尾行するくらいなら声かけてくれればよかったのに」
「何をしにいくのか興味ありましたし。それに・・・」

そこで一呼吸おいて次の言葉を紡ぐ。

「総隊長がここまで強いとは思いませんでしたよ?」
「へへへ。皆にはナイショだよ?あまり自分の強さをひけらかすのは好きじゃないんだ。まあホライゾンは知ってるけどね」

ちょっと照れくさそうに話す総隊長。

「その分だと、普段からの・・・」
「あーっと!ストップ!!さすがにそれ以上は・・・ね?」

どうやら本当の実力を知られるのは総隊長にとっては不利益が大きいらしいのは感じ取れた。

「しかし、総隊長?こいつ等・・・」
「ああ。こいつ等は人身売買や臓器密売、武器の密輸入に他にも色々・・・まあ言ってしまえば裏の組織だね。こいつ等自体はあまり問題ないんだけど・・・裏に中堅どころとはいえ貴族が関わっててさあ。あ、そこで転がってるヤツのことね。そいつモーグの議員でもあったのね。それで騎士団はおおっぴらには動けなくて・・・かといってうちの人員もヘタなの裂けなくてさあ。ホライゾンとどうしようかって困ってたわけ」
「それで総隊長が動いたわけですか?」
「うん。ホライゾンは自分が何とかしてみるとは言ってたんだけど。さすがに居ても立っても居られなくなってね。」

なるほど。
こりゃ、事の顛末を知ったホライゾン大佐が怖いぞ・・・。

「さてと・・・それじゃあセオ、悪いんだけど、本部へ連絡して捕縛用に何人かここへ寄越すように伝えてもらえる?」
「はい!」

ちなみに少しして治安維持部隊から捕縛・連行用に部隊が来たのだけど、その指揮を執っていたのがホライゾン大佐で、一目見て総隊長が1人で突撃したことを看破。
なぜか僕まで巻き添えで説教されるハメになってしまった(曰く、止めなかったので同罪らしい(泣))






そのさらに翌日のこと。

「おいセオ・・・本気かよ?」

煌牙である。
彼は珍しく剣帝装備を身に纏っている。
その背には彼の愛剣である緋ノ迦具土がある。

「うん。本気だよ煌牙」
「どういう風の吹き回しだよ・・・ったく。お前一度断ったんじゃねえのか?」
「断ったよ。あの時は総隊長個人に忠誠なんて誓える要素が見いだせなかったし・・・」
「あの時?今は違うのかよ?」
「うん。総隊長の事を知った今ならはっきり言えるよ。あの人になら忠誠を誓ってもいいって」
「ふーん・・・まあ、いいけどよ・・・セオ・・・?」
「なに?」
「まさかこれを理由に治安維持部隊辞めますとか言わねえよな?」
「それこそまさか・・・だよ」

煌牙の問いかけに微笑みで返す。
いかに所属が違うといっても治安維持部隊と両立させてはいけないというルールはない。

そう、今日この日。
僕は総隊長に騎士の忠誠をしにいく。
すでに昨日のうちに打診済みだ。

もっとも。

「「嫌です」っていうのはもう無しだからね!」

と念押しされてしまったが。

「そういえば煌牙?」
「あん?」
「なんで付いてきてるの?」
「聞いてねぇの?」
「ふぇ?何が?」

僕の反応を見た煌牙がニィ・・・と笑う。

「ふーん。なるほど・・・聞いてねぇのね・・・」
「え?」
「なら後でのお楽しみに取っとくか。ほら、着いたぜ?」

そうこうしているうちに総隊長執務室へ着く。
僕は一呼吸置いてからドアをノックする。

「どうぞ」
「「失礼します」」

入室を促され、部屋へ入ると。
そこにはいつもと違う小綺麗な執務室があった。

「普段からこれくらい綺麗にしておいて欲しいですね」
「全くだな」
「セオと煌牙の意地悪-!!」

ははは・・・と2人で笑い合う。
しかし、すぐに総隊長が顔を引き締めた。

「2人とも・・・今日ここへ来たってことは僕の騎士として僕に忠誠を誓ってくれるって判断していいのかな?」
「はい!」
「はい!・・・て、え?ええっ!?」

「あれ?セオ、まさか煌牙から聞いてなかったの?」

不思議そうな顔をする総隊長。
そんな話は聞いていない。

「聞いてないですよ!!!」
「言ってなかったからなぁ」

あははと笑う煌牙。
なんで一緒に付いてきてるのかと思ったらそういうことか。

「セオに打診して少ししてからかな?煌牙が騎士に加えてくれって言ってきてね。今の煌牙なら問題ないかと思ってさ。セオが騎士になりたいって言ってくれたんで、2人一緒にって思って了承したんだよ」
「総隊長なら確実にセオを騎士に加えると思ったからさ。それに前々から身の振り方も考えてたし・・・」

まさか一度断ってるとは思わなかったがな、と煌牙が言う。

「まあ、そういうことだから2人とも、これからもよろしくね」

そうして差し出された手を取ると、僕は片膝を付いてその手の甲にそっと口づけを落とす。
いわば騎士の忠誠の口づけだ。

「じゃあ、俺も・・・」

僕は横にすこしずれ、僕が居た位置で煌牙が跪く。
そして僕と同じように忠誠の口づけをする。

「なんか照れくさいな・・・ってか他の騎士達ってこんな作法してなかったよーな・・・」
「そうなんですか?」

なにかの書物に騎士って主人に忠誠を誓う際に必ずやってたって書いてあったような・・・。

「まあいいや。2人とも、これからよろしくね」
「「はい!!」」






その数ヶ月後。
僕はランカー6thに選ばれることになるのはみんなも知っての通り。
その間に中尉に昇格したり、ホライゾン大佐の隊から独立して自分の隊を作ったり色々なことが起こるのだが、それはまた別の機会に・・・。


END



*GEST
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エミル・ガーディアンのセリア

セオの実姉で元ランカー2ndの実力者。
絶世と呼べるほどの大美女でかつてはミスコンの常連でもあった。
現在は現役を退き、1人の母としてアクロポリスで平和に生活している。
現役当時の二つ名は【薔薇の花嫁】。

年齢:20代後半・・・らしい
身長:170cm前後
体重:最重要機密事項らしい

生い立ち
セオと同じ隠れ里の出身。
とある事情から差別され、不当な扱いを受ける弟のセオを守るためにフェンサーの道を志す。
その一方で、自分自身でも身を守れるようにと両親と共に色々な事をセオに教え、時には共に学んでいた。
セオがノーザン魔法学校へ入学し、寮生活を始めたのを期に治安維持部隊へ入隊。
6年間もの間ランカーを務め、最終的には少佐にまで上り詰めた。
セオがランカーになったのを見届けて、現役を引退。
現在は三児(うち2人はお腹の中。つまり双子)の母としてアクロポリスで平和に生活している。
時々こっそりと剣術の練習をして旦那をハラハラさせている。




Chara:紘斗さん



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タイタニア・グラディエイターの煌牙

口は悪いが、実力と実績は確かな剣士。
元・治安維持部少尉で、現在は部隊を辞してキリヤナギの騎士となっている。
大のスペルユーザー系職業嫌い。(ただし命の恩人と呼べるセオは別)

年齢:エミル族の年齢で大体20歳前後
身長:178cm
体重:62kg

生い立ち
生まれ育った村を悪人達に滅ぼされた過去を持つ。
彼だけが言いつけを破って村の外で遊んでいたので事なきを得た。
以後、生きるために色々な事を(時には汚れ仕事も)やってきた。
治安維持部隊入隊後は、自分の村を滅ぼした悪人達を自分の手で捕まえるべく、がむしゃらに任務をこなしながら身を鍛えていた。
そんな過去から誰にも心が開けなかったが、後に親友となるセオと接するうちに段々と彼にも変化が現れるようになる。
現在はキリヤナギの騎士の1人として総隊長を支えている。
ちなみに上位種族ではないのでコミュニオンが使えない。



Chara:紘斗さん
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頂き物 | 【2013-10-24(Thu) 12:30:00】 | Trackback(-) | Comments:(0)
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